2024年10月27日投開票の衆院選で、東京15区の自民新人大空幸星さん(25)は小選挙区で落選した。だが、結果的に比例東京ブロックで当選をした。
25歳という若さが話題になったが、もっと話題になったのは、彼が発している言葉の数々が、すでに炎上しているということだ。このままでは、今回当選した議員の中で、ダントツの「お騒がせ議員」確定だ。
この記事では、「大空幸星」という名前を知らない人のために、簡単に彼の略歴と、発言内容を解説する。
大空幸星の略歴
ここでは、大空幸星のプロフィールをざっと紹介する。
氏名:大空 幸星(おおぞら こうき) 本名である。
生年月日:1998年11月26日 現在(2024年現在)25歳
最終学歴: 慶應義塾大学(SFC)総合政策学部
職業:日本の社会活動家。現在は、政治家。自由民主党所属の衆議院議員(1期)。
内閣官房孤独・孤立の実態把握に関する研究会構成員、こども家庭庁こども家庭審議会こどもの居場所部会委員、東京都こども未来会議委員、NPO法人あなたのいばしょ理事長などを歴任
大空幸星は、両親の離婚、母親との確執、高校での恩師との出会いなどを経て、大学在学中に「信頼できる人に確実にアクセスできる社会の実現」と「望まない孤独のない社会の実現」を目的に、国内初の24時間365日、誰でも無料・匿名で利用可能なチャット相談窓口を運営するNPO法人「あなたのいばしょ」を設立した。
大学時代から政府へ「孤独を防ぐ」提言書を提出した。大空による様々な提言を受け、国会や与野党関係者が動き、国から補助金も出た。
メディアに出演→自民党から出馬
このように、華々しい活動をしている大学生を、メディアは放っておくはずがない。ルックスもいいし、しゃべりも上手い。何よりも、「孤独な弱者に寄り添うためのNPO代表」という肩書も視聴者から好まれる。
私自身は、今回大空氏が当選するまで、彼の顔も名前もまったく知らなかった。私のような人間も多いのではないかと思う。
テレビでは、NHK、民放、ネット配信など、ありとあらゆるメディアに出演しているようだ。SNSでの発信も多い。
そして、そのような「若手コメンテーター」を放っておかない自民党。「票が取れる」と見込まれたのか、東京15区から自民党推薦を受けて立候補した。
東京15区は、江東区単独です。
テレビに多数出演していた大空氏だが、やはり若いというのが長所でもあるが、知名度という点では今ひとつだった。党選対委員長の小泉進次郎氏が遊説に3度駆けつけるなど、重点区としてテコ入れし、党の手厚い支援を受けてきたが、結果的に落選した。
東京15区の小選挙区では、当選した立憲民主党の酒井菜摘氏、須藤元気氏に次いで大空氏は3位。比例復活は個人として民意を受けたわけではないので、本人は重々自覚しているはずだが…
大空幸星はどんな問題発言をしたのか?
Z世代の論客として知られる大空さんは、NPO法人「あなたのいばしょ」を学生時代に立ち上げた実績を踏まえ、これらの対策の推進を訴えた。「政治家最大の責任は命を守る政治だ」と力説してきた。
若手コメンテーターとして活動し、「ようやく知名度が上がってきた」と、本人は思い込んでいる節がある。そして、比例区ではあるが当選し、25歳にして国会議員(しかも衆議院議員)になってしまった大空氏。まわりからもチヤホヤされ、今が一番気を引き締めないといけない時期だが、誰も止める人がいないのだろう。
「立場が違うから」
大空氏は、当選直後の28日、ABEMAのニュース番組「ABEMAprime」に出演。自民党から出馬した理由のひとつとして「コメンテーターの仕事が嫌になっちゃった。言論空間には存在意義があるとしても、私個人としてはその人生が嫌になった。」とし、批判しているだけでなく、行動に移したいと思ったと述べた。
さらに、「(コメンテーターの中には)どこにも当たらないような誰でも言えるようなことをフワッと言って軟着陸させるっていうやり方を好まれる方もいらっしゃるじゃないですか」と持論を述べた。当選前には同列でコメンテーターとして語っていた大空だが、この発言にカチンときた人も多かったようだ。
大空氏の発言に対して「以前とは人間が180度違う」と指摘を受けたが、「今の自分は(あなたたちとは)立場が違うから」という趣旨の発言をしている。
この「立場が違う」発言が炎上しているのだ。
確かに、「一人のコメンテーターとして自由に意見を言えたけれども、今は国会議員になったから、ふわっとした発言をするだけでなく、やりたいことを行動で示しますよ」という意味だったし、彼の言っていることは間違いではないのだが、同じ意見でも反発を買いそうな物言いである。
共演者からは「端的に言ってうさんくさい。コメンテーターを馬鹿にし過ぎ。政治家の方が偉いのか」と批判を受けた。
国会議員は、国民から選ばれた人間であり、国民のために働いてもらわなければならない。コメンテーターも立派な「国民」であるからして、議員である大空氏は、彼らの気持ちにも寄りそう発言をするべきである。
「35歳のおばさん」発言
大空氏は、過去には討論番組のデート代にまつわる議論を展開したことがある(そんなことまで議論するんですね)。大空氏は、持論を展開した元AKB48のタレント大島麻衣さんに「35歳のおばさんがおごられたいとかって……」と年齢をディスって炎上した経緯がある。
大空氏は「ああ言えばこう言う」タイプの人なので、問われれば知らなくても何でも答えてしまう傾向があるようだ。
また、語数が多く、思ったことをツラツラと述べる人間のようだ。そういう人は、「ひと言」がどうしても軽くなるので、誤解も受けますし、炎上しやすいのが特徴だ。
過去にも、東京都知事選に立候補した石丸伸二氏と大激論になったあげく、「(石丸氏の)下では働きたくない」と発言し、一部から批判されたこともあった。
「朝鮮学校」への批判が問題に
2024年6月19日に放送された東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)「堀潤モーニングFLAG」内で、朝鮮学校に対する大空氏の発言が問題になったことがあった。
どういうことかと言うと…
今、高校の授業料は、日本政府や東京都からの援助や補助金で、都立高校は無償化、私立高校の場合は一部負担になっている。
だが、朝鮮学校だけがその制度から排除されているのだ。
その事実を受けて、メインキャスターの堀潤氏が「朝鮮学校だけが排除されているってことは、すべての子どもたちが平等に教育を受ける権利を侵害しているのでは?」と問題を提起した。
それに対して、大空氏は「子どもたちへの直接補助になっていないし、朝鮮学校の経営が下手くそすぎることが問題である」と、朝鮮学校への補助金には反対している。
さらに、これらの発言内容が事実関係でも間違いであり、重大な差別として国連や人権団体から改善勧告が出されている
この大空氏の発言は、
・子どもたちへの直接的な補助になっていないというが、学費免除がなぜ補助になっていないのか?
・朝鮮学校の経営が下手くそすぎると言うが、補助金とは関係ない。そもそも、その根拠は?
と、朝鮮学校側から反論が来ている。おそらくは、大空氏の「朝鮮学校」に対する知識の無さと、高校無償化や補助金に関する勉強不足から来ているので、このような間違った発言になったのだと思われる。
この時点で、大空氏はただの「NPO法人の代表」だったのだが、これからは国会議員としての発言としてとらえられる。たったひとつの失言でも大炎上する時代であるし、どんな発言で足元をすくわれるか分からない。
大空氏は、「国会議員になった自分とコメンテーターとは立場が違う」と公然と言ってのけた。その気持ちを「国民のために自分は何ができるか」を常に考え、丁寧に発言してほしい。
国会議員になったからと言って、えらくなったわけではない。「公僕」と言う言葉があるとおり、「国民のしもべ」であるという気持ちを持っていれば、失言することもなかろう。
25歳という若さに賭ける有権者も多かったと思う。小選挙区では落選したのだから、頭(こうべ)を垂れて、国政に臨んでほしい。