Netflixで世界同時配信された「地面師たち」。配信と同時に世界中に大反響を巻き起こしたのはすでに知られている通りです。
日本では熱狂と共に迎えられた「地面師たち」ですが、世界ではどのような反応だったのでしょうか。
この記事では、アメリカの有名な映画・ドラマのレビューサイト「IMDb」から、「地面師たち」のレビューを抜粋してご紹介します。
IMDb(Internet Movie Database)は、映画、テレビドラマ、俳優、監督、脚本家などの情報を提供するオンラインデータベースです。映画やドラマに関する詳しい情報が掲載されており、ユーザーはそれに対してレビューを書いたり、評価をつけたりできます。映画ファンや業界関係者にとって、作品や出演者について調べたり、評価を確認したりするための便利なサイトです。
それではさっそく、アメリカでのレビューをひとつひとつ見ていきましょう。
「出だしは良かったが、最後がバラバラ」という意見
前7話のうち、5話までは良かったが、最後の2話で崩れてしまった。
最初は「詐欺師」や「強盗もの」のシリーズとして非常にうまく始まり、緊張感、ウィット、キャラクターの成長、そして楽しさのバランスが完璧だった。詐欺師たちがなぜ詐欺師になったのか、という背景に興味が湧き、キャラクターたちも単純で薄っぺらい存在ではなく、次第に感情移入していく。最初の5話までは順調に進んでいた。
しかし、6話と7話で一気に崩れてしまった。突然「すべてをまとめなければならない」と言われたかのように、急速にストーリーが陳腐になってしまった。プロットのご都合主義や非合理的な思考、展開の急ぎすぎが目立つ。
あのドラマを5話で止めて、残りをシーズン2に持ち越していれば、もっと良い作品になっていただろう。それでも、見る価値はあったが、終盤に向けて本当に崩れてしまった。
5話と6話は話が急展開すぎたのでしょうか(アメリカ人にとって)
「日本のテレビドラマと違い、Netflixになると面白い!」という意見
一気見する価値のあるドラマ!日本のテレビシリーズでは珍しい。
日本はアニメで卓越していることはみんな知っているけど、テレビシリーズに関してはほとんどがイマイチだった(少なくとも私にとっては)。多分、韓国ドラマと比べてしまうからかもしれない。でも、このドラマ「地面師たち」には驚かされた!
プロットのペース配分が完璧で、ずっとハラハラドキドキさせられる。キャスト全員の演技が素晴らしく、音楽もとても良いけど、少し使いすぎだったかな。脚本も良く、制作のクオリティも高い。
唯一気に入らなかったのは、最後を少し引き延ばしていた点。もしかして、次のシーズンを作るため?よくわからない。でも、このシリーズは7話で十分に終わらせることができたと思う!週末に一気見できることは間違いない!
この方は、日本のテレビドラマもよくご覧になるようですね。やはり、地上波のドラマと、Netflix配信のドラマとの違いは大きいようです。それは、私たち日本人も同じ意見です。
「最終話で自滅した」という意見
スマートで大胆だった、途中までは。
最初は、制作のクオリティや脚本、感情を揺さぶり次に何が起こるのか気にならせる大胆な展開に感心していました。それに、アニメ由来の誇張表現がない、新鮮な日本のドラマのアプローチにも惹かれました。
しかし、プロットの中で特定の人物があまりにも完璧なのに、一方で肝心な部分では鈍感であるという矛盾が目立ち始めました。
そして、最終話では、最後のエピソードで自滅してしまいました。いくつもの非現実的なやり取りがあり、人物や場面が突然、典型的な引き延ばしや誇張、馬鹿げた展開に陥り、シリーズを特定の結末に無理やり持って行き、金儲けのための第2シーズンへの布石を打とうとしたのが明白でした。
やはり、最終話の持っていき方が強引すぎると感じた人が多いようです。そうですかね?まあ、最後の手りゅう弾はやりすぎだったかなと私も思いました。あの部分は小説とは全然違いますね。小説では、辰さんがハリソンを追いかけるが見失う、という終わり方です。(そっちのほうが自然だし、逆に怖い感じもしますがどうでしょう)。小説では辰さん生きてるんですよ。あー、ドラマでも生きててほしかった。
「日本のテレビドラマの質が低い」ので、Netflix配信は最高だという意見
素晴らしい日本のドラマだ。
最近、日本のテレビドラマの質が低下していることに対して、失望感が高まっています。日本のテレビ局は、外部の制作会社に年間4回、四半期ごとにドラマを委託しています。しかし、この長年の伝統のために、現在では独創性に欠けた予測可能な作品が量産されているのが現状です。テーマ、ストーリー、役柄、俳優まですべてが決まりきったパターンに従っており、消費されてはあまり影響を残さずに捨てられていく日本のテレビシリーズが増えています。
それに対して、このNetflixオリジナルシリーズは、すでに高く評価されている小説を基にした堅実なストーリーが土台となっている希少な傑作です。各キャラクターの演技や個性がしっかりと描かれており、非常に引き込まれます。日本のドラマシリーズにありがちな10話構成ではなく、7話に圧縮されているため、無駄な部分がなく、テンポの良い展開が可能となっています。これが大きな強みです。
ストーリーや役柄、題材がうまくかみ合い、素晴らしい最終作品になっていることを称賛したいです。特に、定年まであと6カ月という老いた警察官の描写が秀逸です。誇張することなく、経験豊富な捜査官のリアルで説得力のあるイメージが描かれており、やせ細った疲れた風貌の老年男性に魅力を感じさせるのは驚きです。この演技が一層印象的です。
「やせ細った疲れた風貌の老年男性」に魅力を感じてくれてありがとう!この男性はリリーフランキーです。この方は日本のドラマと制作状況にすごく詳しいですね。業界の人かもしれません。この方の言うとおりで、このままだと日本のテレビドラマは衰退の一歩をたどります。
「綾野剛に魅力を感じてくれた」アメリカ人の意見
荒々しくてクレイジーな音楽が最高!
このシリーズは『イカゲーム』以来、Netflixで観た中でも最高のアジア系ドラマの一つだと思いました。素晴らしい俳優陣が揃っており、大人数のキャストの中でひとりとして駄作な演技がありません。特に、猫好きの詐欺師でPTSDを抱えた謎めいたタクミ役を演じる綾野剛が印象的です。
彼は、悪魔のように邪悪なサイコパスのメンター兼首謀者に対する不可解な対抗者として登場します。このシリーズの評価がもっと高くない理由は、あまりにも生々しい扱いが原因かもしれません。とても汚いビジネスが描かれ、暴力的で嫌悪感を抱かせる奇人たちが次々と現れ、病的な処刑フェチを披露するからです。
アメリカのマフィア映画もかなり汚いと思うんですが、そのアメリカ人から「汚い」と言われる手口って相当なものですね。ゾンビ映画では手や足が普通にちぎれたり、内臓が出たりしていますが、ハリソン山中の手法はアメリカ人すら震え上がらせる恐ろしいものなのでしょう。くわばらくわばら
結論として、このシリーズは、血を見ておびえやすい人や、奇跡的にすべての弾丸を避けるヒーローを応援するために犯罪ドラマを観る人には絶対に向いていません。
特に称賛したいのは、テーマ音楽を作曲した石野卓球です。彼のテクノポップは、各エピソードのスリリングな詐欺が展開される中、指でテンポをとりながら観るのにぴったりです。(もし私のように石野のテーマ音楽にハマったら、各エピソードのエンディングクレジットを観て、4分間たっぷりとそのトランス誘導的な雰囲気に浸ってください。)
この方は、ハリソン山中のことを完全なサイコパスと断言しています。アメリカ映画にもサイコパスはたくさん登場しますが、彼らと同等に扱ってもらえるのはある意味「誉め言葉」かもしれません。
この方が石野卓球の音楽を推してくれているのは、日本人として嬉しい限りです。確かに、テンポのよいパーカッションで始まると共に、私のアドレナリンも爆上がりしていくのを感じていました。
日本独特の「地面師」を驚きを持ってみた人の意見
一気見できる日本のドラマです!
「地面師たち」は新鮮でよく練られたドラマです。唯一の欠点は、たった7話しかないことです。シーズン1の最終回はクリフハンガー(続きが気になる終わり方)で、シーズン1が成功した後に、どうやってシーズン2を作るのかは不明です。
このシリーズは、詐欺師が行う嘘や裏切り、殺人といった醜い側面を描いています。全キャストの演技が素晴らしく、各エピソードを通してキャラクターを見事に演じています。
「新鮮だ」と言った理由は、現実には本当に人を騙す人がいるからです。このシリーズを観ると、不動産や土地を購入する際には、決断を下す前にしっかりと調査を行う必要があることを視聴者に気づかせてくれます。
日本の狭い土地をめぐる地面師詐欺は、おそらくは日本独特の不動産詐欺手法かもしれません。アメリカ人に「印鑑」「戸籍謄本」「権利証」などの細かい書類の数々が理解できたとは到底思えません。でも、だからこそ恐れをなして視聴されたのではないでしょうか。「日本、怖っ」と。ヤクザが出てきたらもっと震え上がったでしょうね。
「生々しい場面にはご注意」との意見も多い
ドラマを観て、鳥肌が立ちました。
キャストの相性が素晴らしく、この日本のテレビシリーズは西洋のテレビ番組と比べても非常に独自性のある筋書きです。テンポが変わって新鮮です。音楽は圧倒的でドラマチックでしたし、次に何が起こるのか本当に予測できませんでした。この感情のジェットコースターをぜひ楽しんでください!
Netflixは偶然にも素晴らしいコンテンツを生み出すことがありますが、この作品もその一つです。シーズン2があるといいですね。綾野剛の演技が大好きでした!ただ、視聴者に警告しておきたいのは、このシリーズには非常にグラフィックな(生々しい)内容が含まれているため、家族向けには注意が必要です。このテレビシリーズを観て、日本には隠れた暗い一面があるのかもしれないと感じさせられました。
ハリソン山中の狂気じみた葬り方は、アメリカ人のやり方とは違いますからね。また、家族で見ないほうがいいと言う人もいますが、やっぱりあの場面でしょうね。私も、家族で見るのはおススメしません。気まずいですからね。
「どうしても素晴らしさをレビューしたかった」という意見
「地面師たち」は素晴らしいドラマだ!
このショーをレビューするために、わざわざIMDbのアカウントを作りました。こんなに引き込まれるドラマを観たのは久しぶりで、英語ネイティブとして正直、日本のスリラーにはあまり期待していませんでした。しかし、テンポ、展開、キャラクターの成長、主演俳優の全てが一流でした。時々、演技が少し大げさで不自然な場面もありましたが、そんな瞬間は420分中のほんの1分程度です。
このシリーズがうまく機能している理由の一つは、第1話がドラマ全体の方法や行動パターンをうまくまとめてくれている点です。(※マイクホームズの詐欺事件を指しているのでしょう。)
その後、シリーズ全体が最初の詐欺事件を基盤として、複雑さやプロットの分岐を徐々に加えていき、次の大きなエピソードにつなげていくので、最後まで観ずにはいられません。
アメリカ人ならずも、私たち日本人も、最初のマイクホームズの小さな事件で地面師たちのやり方が大まかに分かりました。だから、石洋ハウスの詐欺事件もすんなり入ることができたのです。
「実際の積水ハウスの事件を知っているアメリカ人」の意見
60~70%は実話に基づいている!
このストーリーは、2017年に東京で実際に起きた犯罪を基にしています。犯罪グループはテレビドラマで見るような詐欺師とはスケールが違いすぎます。ですが、大部分のエピソードは実話に基づいており、よく演じられています。シリーズに登場するハリソン・ヤマナカという人物は、実際の話では伝説的な土地詐欺師で、テレビシリーズのように過去にも多くの不動産詐欺を行っていました。観ていて興味深いドラマです。
ただ、一部のフィクション要素にはあまり乗り気になれませんでした。例えば、突然車に轢かれるシーンなど、いくつかの部分がとても非現実的だからです。
それでも、キャストやシリーズ全体は楽しめました。
確かに、青柳が車にひかれるのはあまりにも出来すぎていて、あそこで殺さなくてもいいだろうと思いました。もう、何が何でも死んでもらいたいんですね、ハリソンは。
「俳優、脚本、筋書き、監督ともに素晴らしい」という意見
このドラマは傑作だ!
私の意見では、とても良い作品で、かなりの可能性を秘めていました。俳優たちの演技は素晴らしく、脚本も優れており、ライティングや監督も全てにおいて優れていました。
日本の作品は以前よりも良くなってきていて、この調子で続けばとても良い方向に進むと思います。
このシリーズを7話でうまくまとめたことが素晴らしかったです。何人かの友人にもこのシリーズを紹介しましたが、彼らも気に入ってくれました。全体的に素晴らしいシリーズで、始めたら瞬きする暇もないほど引き込まれました。最初から最後までとても楽しめました。他の人にもぜひ観てみることをお勧めします。
この方も、いろいろな日本のドラマや映画を観ているようですね。今回のNetflix配信の地面師たちは、おおむね「成功」のようで、日本人としても嬉しい限りです。
「地面師たち」海外での反応:まとめ
「地面師たち」は海外でどのように受け止められているかを調べたのですが、「英語圏」の人たちの意見、そしておそらくはほとんどがアメリカ人の意見をご紹介しました。
非常に好意的に受け取られていたり、日本のテレビドラマと比較していたり、あるいは実際の事件について知っていたり、よく知っているなという印象を受けました。
ただ、気がついたのは、この「地面師たち」を観て理解するのは、かなり知的なアメリカ人だと思ったほうがいいです。
地面師たちは、結構難しいドラマです。日本人でも、「あれ?」とか「ん?」と途中で何回も考えたり、分からなかったりする部分が多いドラマなんですよね。不動産に関する用語や知識は、一般人にはなかなか馴染みのないものです。
ましてや、アメリカ人にはほぼ理解不可能ではないかと思う場面がたくさんあります。
アメリカの映画でも、たとえば「ジェイソン・ボーン」シリーズで何か国もの偽造パスポートが出てきたりしますが、せいぜいそんなものです。
偽造もさることながら、印鑑が本物かどうかを調べるマイクホームズの司法書士の手さばきを覚えていますか?2枚重ねて、少しずつすごい速さでめくりながら印鑑の真偽を確かめています。あれなんか、アメリカ人には何をやっているのか分からないでしょうね。
以前は、日本でも銀行の通帳にすべて印鑑が押してありましたから、窓口で預金を下ろすときなど、あの真偽を確かめる動作は窓口の新人の女性でもやっていましたよ。それを見ながら「すごいな」と思っていたものです。
アメリカの映画は、基本的にあまり理解できないほど難しい筋書きはないですね。法廷ものは難しいですが、観ていればわかるものばかりです。
アメリカ人は、(ほんと、アメリカ人の皆さんごめんなさい!)、ヒーローものを観てスカっとするとか、ウォーキング・デッドみたいなゾンビものを何十話もダラダラと観るか、死亡フラグが立つホラーものか、戦争映画で銃や爆弾で殺しまくったり、そんなのが大好きなんです。
だから、前知識なしに「地面師たち」を見たら、細かい部分はすべてすっ飛ばして「わからない」と思うでしょう。何しろ日本はスケール的にはアメリカよりもずっと小さいですが、細部に至るまで細かいですからね。
地面師たちが、世界的に思ったよりもウケていないとしたら、「筋書きが難しい」かもしれません。
日本の映画は分かりにくいけれど、どこか神秘的なものが世界から高い評価を受ける傾向にあります。
地面師たちは、かなりリアリスティックな(実在の事件を題材にしているから当然)、さらにサイコパスで男女の大胆な絡みもあり、アメリカ人はさぞ驚いたことでしょう。
だから、私の意見として、地面師たちの本当の面白さは、日本人にしか分からないのかも、と思ったりもします。
あなたはどう思いますか?
(ほんっと、アメリカ人の皆さん、失礼だったらすみません)
その代わりと言ってはなんですが、「極悪女王」のほうが海外ウケはよいようです。「地面師たち」と違って、謎や難解な部分はありませんし、考察する余地もないです。単純に「面白い」ストーリーなので、アメリカのみならず、世界にあの面白さが受け入れられているようです。