福と宝、それぞれが、それぞれの母親に「妊娠した」「妊娠させた」と打ち明ける。問題はこれからです。修羅場にならないわけがありません。ドラマとリアルがミックスして、見ている私たちを混乱の渦に…
それでは、いってみましょう!
宝の母親の反応
「妊娠、させた。相手は、福」
そう聞いた宝の母(直美・三村里江)の表情は、柔らかい母のそれから「氷の表情」へとみるみる変化していきました。
直美の頭の中は、すごい回転で回り始めていました。
「いつ妊娠が分かったの?」
「今、何週?」
それを聞くと、テーブルの上の食べかけの夕飯に、テーブルごとラップをかけなら、同時にスマホでタクシーを呼んでいました。(こういうことを瞬時に同時にできるのが女性です。男性だとオロオロしてしまって、こうはいきません。)
私は、この場面はすごいと思いましたね。相手に真っ先に謝りに行く、お金を払う、早く問題を終わらせる。息子のために。もちろん、相手の福のことも気遣いますが、やはり息子の事をいの一番に考えます。それが息子を持つ母親の気持ちです。
どんな親も、自分の子どもを守りたいと真っ先に考えますからね。
福の母親の反応
福が「妊娠した。相手は宝」と言ったとき、福の母親(晴美・石田ひかり)は一瞬泣きそうになりましたが、すぐに「泣きそうな笑顔」になりました。
「かわいそうに、福。まだ高校生なのに。」
「でも大丈夫、すぐに『なかったこと』にするから」
「病院、一人で行ったの?大変だったね」
「こんなに近くにいるのに、気づいてあげられなくてごめん」
そんな思いが、晴美の頭の中を駆け巡りました。
二人の母親の思いには、共通点がありました。
「まだ高校生。早く問題を片付けないと。自分の子どものために。」
そういう思いです。
これが、親の頭が悪ければただ怒るだけでしょうが、二人の母親は「やるべきこと、言うべきこと」を瞬時に判断し、子供に怒りをぶつけることはしていません。
実際はどうでしょうね…まあ、娘の母親の場合は、男の母(あるいは父)を呼びつけて謝らせるでしょうし、男のほうの親は「娘さんを傷つけてしまって申し訳ない」とひたすら謝る、それが一般的でしょう。
直美、タクシーを待たせて20万円引き出す
宝の母、直美は途中タクシーを待たせてコンビニに寄り、20万円を引き出します。
とにかく、ここまでのスピードが異様に速い。すべて駆け足で進んでいきます。
20万という金額が、リアルすぎて怖いほどです。
お金を渡せばすむ話ではないのですが、こういう場合、「まずはお金を渡して誠意を見せる」ことが最も大切です。
相手が受け取っても受け取らなくても、それがまず最初の「誠意の見せ方」になります。この点、直美のやっていることは最も適切と言えましょう。
見ている私たちは、これからおきる恐ろしい事態がある程度予想できるので、緊張感が高まります。
直美、川島家へ到着して謝罪
ものすごいスピードで駆け抜けていく月島家(宝と直美)に対して、川島家のほうでは時間がゆっくりと過ぎていきました。
福の母(晴美)は、まずは自分も落ち着こうと思い、福に温かいミルクを用意します。福の食欲が最近ない理由は、つわりだったと気づいたのです。(つわりの時にミルクが飲めるかどうかは人によります。)
「明日、一緒に病院に行こう。大丈夫、福は何も心配することはないから」
母の言葉を、ただ黙って聞くことしかできない福。
この時点では、福と宝は、子供を産むか産まないか、まだ決めていませんでした。ですが、親は当然のことながら「高校生が子供を持てるはずがない」と思っています。
ミルクを飲んでいるとき、ピンポンとチャイムがなります。モニターには直美の顔が。
福の母が出ていくと、門の向こうから深々を謝罪をし、頭を下げる直美がいました。(まあ、こうなるでしょう)
家の中へと促された直美は、あらためて謝罪しながら先ほどの20万が入った封筒を差し出す。
「双方の問題ですので」とお金を受け取るのをためらっている晴美に、無理矢理受け取ってもらう直美。このあたりは、母親同士の話し合いになる。
ここで頭の悪い母親だったら「あんたの息子、うちの娘に何をしてくれたんだ」と怒るだろうが、客観的に判断しようとする晴美の態度は感服するものがあります。
現実には、なかなか、こうはなりません。嫌みのひとつやふたつ、言いたくもなるところです。
宝が例のノートを持って参上
普通ならば、この母親同士の話し合いによって、問題はどんどん解決(でもないけれど)へ向かって進んでいきます。親ならば、早く問題を収束の方向へ進めないと大変なことになると分かっているからです。
ですが、そこへ例の「妊娠・出産シミュレーションノート」を持って宝が駆け付けます。(文字通り、走ってきました。さすが陸上部)
宝は、「オレたち、ちゃんと考えたくて」と自分たちの思いを伝えようとしますが、宝の母は「ない!ないの!選択しなんて、無いの!」と、話を聞こうともせず、帰ろうとします。
「あなたたちは、まだ子供なの。高校生で、16歳。まだ結婚もできない。それでどうやって育てていくの?」と問いかけます。
福は、宝のノートを見せながら「育てられなくても、こうやって、養子縁組とか、里親制度とか、乳児院だったら、あとで迎えに…」と、宝の母に必死に訴えかけます。
直美は続けます。
なんのために産むのか?まだ5週、間に合う。罪悪感を持つ必要はない。人に渡す前提で産むのか?これから何か月もお腹の中で育っていく我が子を、人に渡せるのか?渡すとき、どんな気持ちになるのか…考えたことある?
考えなくていい、考えないほうがいいこともある、そう直美は二人に語り掛けます。
宝のお母さんの言うことはもっともです。せっかく産んだ赤ちゃんを人に渡すなんて、悲しすぎる。
この話はここで終わりかと思いきや、福から出た言葉は「それでも、考えたいです。」(ひょえー、強い子だ!)
これまでの会話を黙って聞いていた福の母、晴美も言った。
「私からもお願いします。考える時間をあげてください。私たちも、考えてさがしませんか?」
すごい母親だ。一方的に自分たちの考えを押し付けるのではなく、子供の意思を尊重しています。
子供を信頼しているからこそ、出る言葉でしょう。
「おっしゃいましたよね、娘を傷つけてごめんなさいと。だからもう、これ以上娘を傷つけないでください。これから考えていきましょう、娘が傷つかない方法を」
そういって、とりあえずこれはお返ししますと、先ほどの20万円を返しました。
やっぱり、つきあうなら頭のいい男ですね。バカな男なら逃げるだけでしょう。学校の成績だけで決まるわけではないですが、宝は優秀な私立高校へ行きました。福は頭がついていかないので、宝と同じ高校を受けたのですが、合格しなかったので、1ランク低い別の高校へ行っています。福ちゃん、宝君でよかったね。
事態は白紙に戻る
最初こそ、「高校生だから当然産まない」という選択肢しかなかった二人の母親。
最後は急転直下の結末となりました。「考えてみる」という結末に。
この問題には、正解がありません。ましてや、福と宝は「ずっと一緒にいたい」と、おそらくは結婚まで考えている仲です。まだ高校生ですから、結婚という言葉こそ出しませんが、心の中では同様のことを考えているはずです。
であるならば、産むという選択肢は当然二人にはあるでしょう。
ですが、産めばいいということではありません。現実は厳しい。
世間の目、二人の将来(学業や仕事)、お金の問題、子供が子供を育てるという苦難。
二人だけでは当然乗り越えられないことばかりです。まわりの大人の力を借りなければなりません。
ましてや、福には海外出張している父親がいます。これから、父親も登場してくるでしょう。その時はどうなるか。
何しろ、父親は「野間口徹」ですからね。そう簡単にことが運ぶとも思えません。
ちなみに、今日も少し登場したんですが、福の兄の幸(こう)を演じているのは野村康太です。彼の父親は沢村一樹。野村康太は、同時に放映されている「夫の家庭を壊すまで」で不倫相手の息子という、微妙な役柄を演じています。
たまに、沢村一樹と似ているな、と思うときがあります。やっぱり親子ですね。
まだまだ「ハラハラドキドキ」が止まりません。
心の中では、「こんなしっかりした高校生、本当にいるのかな、いたら素晴らしい」と思って観ています。来週の展開が今から楽しみですね。
と、ここでこの回が終わるかと思ったのですが、また別のストーリーが始まりそうです。
飯田と矢沢のぞみの物語
突然、飯田((JO1の河野純喜)が定食屋でご飯をむさぼり食っている場面が登場します。飯田は、同じく福のクラスメイト矢沢のぞみにぞっこんです。
どうやら、この二人のストーリーも、何やらありそうです。(というか、のぞみに、何か秘密がありそうです。)
のぞみはすっごい美人。高校生としてはかなり大人びています。性格は、福と真逆で「何を考えているのか分からない」タイプ。だから、友達も少ない。
飯田は、そんなのぞみを救ってくれたのは福だと言いますが、どういうことなのでしょうか。
鍵は、「ヒヨコラムネ」にあると思います!毎回、のぞみがヒヨコラムネを大量に買って、開けて、ハズレみたいですからね。おそらく、福が大切に箱に入れているヒヨコラムネが「当たり」なのでは?と勝手に思っています。
のぞみの話にも乞うご期待!ですね。