2024年衆院選で、改選前の4倍となる28議席を獲得した国民民主党。与党につくか、野党につくかで大勢が大きく変わる立場になり、がぜん勢いを増している。
なぜ国民民主党はそれほど伸びたのだろう?この記事では、国民民衆党の急伸の理由を探っていく。
国民民主党は20代、30代から圧倒的に支持を得ている
国民民主党の得票の内訳を見ると、20代から30代の支持層が厚いことが分かった。
共同通信の出口調査によると、国民民主党の比例票の得票は、すべてのブロックで1位か2位という結果である(東北信越ブロックの30代のみ3位)。
つまり、20代と30代の投票者は、圧倒的に比例代表の政党に「国民民主党」と書き込んだ、ということになる。
なぜ、国民民主党はこれほどまでに若者の支持を得ることができたのだろうか?
SNSを効果的に活用
今回の総選挙は短期決戦を強いられた。石破茂首相が就任直後に衆院を解散し、投票日まで1か月という短い期間で選挙を戦わなければならなかった。
政党としては規模が小さく、選挙で使える資金も不足している国民民主党。この中で国民民主党が勝利するには、ネットを通じる選挙戦略だった。
実は、国民民主党は以前から20代、30代からの指示が他の層と比較すると厚い、という結果が出ていた。そこで、今回は20代から30代への有権者に向けて、国民民主党の存在をもっと浸透させる戦略に出たのだった。
石丸伸二氏のやり方を研究
そこで国民民主党が注目したのが、7月に行われた東京都知事選だった。落選ことしたものの、都知事選で2位と躍進したのが石丸伸二氏だ。元広島県安芸高田市長である。
石丸氏の演説には特徴がある。たとえば、街頭演説で「まだまだ話したいことはありますが、続きはウェブで」と発言するのだ。
これまでの選挙演説では考えられないような誘導の仕方だが、なんと言われてもネットに誘導させれば価値である。法律に触れることはしていない。石丸氏は、その方法がうまかった。ネットを見てくれれば、街頭演説で政策もより深く知ってもらえる。
ネットを見た人たちが賛同してくれれば、そのままシェアしてくれ、拡散にもつながる。SNSを利用しない手はないのだ。
今回、国民民主党は石丸氏のやり方を研究し、SNSをうまく活用した。
実は、街頭演説からSNSに誘導するほかに、もうひとつ「秘策」があった。それは「あなたが世の中を変える力を持っている」と強く訴えることだ。
「LINEのお友達の、上から順番にこちらの動画を送ってください」と、演説を聞きに来てくれる聴衆に直接訴えかけた。聴衆に「自分が世の中を変えるんだ」という意識を持たせ、そのための具体的な行動を促す。
実にうまいやり方である。古い政党の古い頭では、なかなか思いつかない戦略でもある。
安野たかひろ氏の方法を研究
もう一人、国民民主党が選挙戦略に注目した候補者がいる。安野(あんの)たかひろ氏だ。
AI(人工知能)のエンジニアでSF作家でもある安野貴博氏は33歳。知名度もなく、若干「怪しい」雰囲気すら感じられる安野氏だが、30代の候補者として歴代最多得票を獲得したのだ。
安野氏の特徴は、市民からの情報や意見を自身の政策に取り込む作戦だ。
国民民主党もさっそくその手法を取り入れた。公示日から3日に1回、YouTubeで「拡大選対会議」という番組を生放送。つまり、選対(選挙対策)をオープンにして、全国民から意見を募り、考えて、戦略をアップデートしていくという、これまでにない方法をアピールした。
国民民主党の看板政策は「年収が103万円を超えると所得税がかかる『年収の壁』を取っ払って、103万円から178万円にまでひっかげる」というものだ。
YouTubeで「選対会議」を配信しているとき、「学生やパートだけでなく、控除の拡大は全国民に当てはまるとアピールしたほうがいい」との書き込みがあった。
国民民主党はこの意見を採用し、すぐに動画を作って配信し、街頭でも重点的に訴えるようにした。
確かに、ただ「103万円の壁」と言われても、パートやアルバイトをしていない人には関係のない話としてスルーされてしまうが、自分も得をすると思えばよく知ろうとするし、賛同したくもなる。
生放送のアクセスは、最大1万5千人をも超えるまでに成長した。
国民民主党はさらに、選挙区ごとの情勢を隠すことなく大衆に明かし、候補者の演説の場面の切り抜きを作成し、拡散してくださいと呼びかけた。
動画を観てそのままボランティアに
国民民主党をSNSやYouTubeでたまたま見た若者が、「わかりやすいし、話が面白いし、説得力がある」と思い、実際に選挙演説に足を運ぶことも多い。
その場で演説を動画に撮り、ネットにアップするのも若者の特徴だ。こうして、自然な流れで「無償の運動員」が作られていくのが国民民主党の特徴でもあった。
こうして、国民民主党は若者たちの支持を得ていった。最終的に、20代の比例投票先は全国11ブロック中、8ブロックで1位。東京ブロックでは、10代、20代、30代で1位を占めたのだ。まさに「国民民主党のひとり勝ち」である。
消去法で「国民民主党」に一票
ここまでは「能動的に国民民主党に投票」した例を挙げてきたが、実は国民民主党が得票を大きく伸ばした理由は他にもある。
今回の総選挙は、何が焦点なのか全く見えない選挙だった。
「消費税を上げる」とか「安保法案に反対」とか「郵政民営化」とか、テーマを掲げて「反対か賛成か」を国民に問う選挙ではなかった。
では、私たち有権者は何をもって投票すればよいのだろうか?どの党に投票すればいいのか、まったく分からん!
そういう有権者が多かったように感じる。特に無党派層は頭の中でクエスチョンマークが100個ぐらい並んでいたのではないだろうか。
考えた結果として、「自民党は裏金で嫌だ。かといって、何を目指しているのか分からない立憲も嫌だ。公明は自民党にくっついているだけだから論外。共産党も、トップが田村さんに代わって弱くなったような気がする。だからと言って、維新もダメ。ということは、『国民民主党』か『れいわ』のどっちかしかないんじゃない?」
というわけで、消去法の結果、国民民主とれいわが大躍進したという結果になった。
おおよそ、この推測は正しいのではないかと思っている。
二階氏の次男・直哉氏について
実は、二階氏には次男坊がいる。当たり前だが、長男と三男がいるのだから、次男がいるに決まっている。だが、二階氏の次男・直哉氏についての情報は、ほぼ見当たらない。週刊文春である事をすっぱ抜かれたようだが、ネットからは見事に消されている。
各メディアでも、長男、三男ときたら次男に触れるのが普通だろうが、まったく触れていない。何か事情があるのだろう。
なので、ここでも書かないことにする、というか、分からないことは書かない主義だ。
いずれにせよ、二階氏には3人も息子がいるのに、政治家に向いている人間はいないのだろうか。まあ、子育てというのは難しいもので、親の思うように育たないのが子育てだ。
その点では、二階氏も頭を抱えているだろう。
国民民主党 急進のカギは? まとめ
- 国民民主党は、選挙戦でSNSをうまく活用し、20代から30代の有権者を味方につけた
- 国民民主党は、YouTubeで選挙戦略を公開し、書き込みを活用しながら柔軟に臨んだ
- 分かりやすい言葉で演説をし、若者は演説の動画をアップロードして、結果的に「無償の運動員」が増えた
今回の国民民主党の躍進をみると、必ずしも大政党が選挙に有利ではないことが分かった。小さい政党でも、ネットをうまく活用し、直接的に国民に語り掛けることで賛同者を増やすことができることが証明された。
古いやり方に固執していると、新しい勢力がどんどん台頭してくるだろう。今は選挙のやり方も大きく形を変えつつあるし、柔軟な頭を持つ政党が国民の支持を得ていくだろう。