二階の息子 三男の伸康はなぜ落選?長男との不仲・世耕氏の戦略勝ち  

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2024年10月27日の衆院選。和歌山2区から出馬した、二階俊博・自民党元幹事長(85)の三男伸康氏(46)が落選した。比例でも復活当選とはならなかった。

盤石と思われた親の地盤を引き継いだ二階伸康氏はなぜ敗北したのか?この記事では敗北理由をまとめて解説する。

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父・二階俊博氏の影響力が弱体化

地元和歌山県で1983年に衆議院議員に初当選した二階俊博氏は、これまで当選13回という長期にわたって国政に携わってきた。ゆえに、県連とのパイプも太すぎるくらい太い。

だが、正直言って二階俊博は年を取りすぎた。現在85歳の二階氏は、テレビで観ても最近は以前のような「ボスらしさ」も見る影をひそめ、そのなりは痛々しいほどである。(同時に同じことを麻生氏にも感じる。)

今回、三男が立候補したわけだが、地元入りしたのは最終局面の3,4日間のみ。しかも、体力がないので街頭演説に立つこともできず、集会に一度顔をだし、後は事務所にこもって首長たちに挨拶した程度。

飛ぶ鳥を落とす勢いだった二階氏も、年齢に逆らうことはできない。しかも、裏金問題が足を引っ張った。特に二階氏は自民党から50億もの金を、使い道を公表する必要のない「制作活動費」として渡されている。

俊博氏は2024年3月、自民派閥の裏金事件を受けて政界引退を表明したが、ここで引退しなければ、東京地検特捜部が入ってもおかしくなかった。(政治の世界では、引退と逮捕がバーターになることはよくある話だ)。まあ、これはあくまでも私の想像だが、当たらずしも遠からずではないだろうか。

そんな俊博氏の息子が、もろ手を挙げて地元で受け入れてもらえると思ったら大間違いだった、ということが民意で証明されてしまった。

地元での評判が良くなかった 世耕氏に負けた

三男の伸康氏は46歳。すでに「ふてぶてしさ」が顔に出ているのは、父親譲りだ。(いや、これはある意味誉め言葉でもある)

伸康氏は、和歌山県内の選挙に強い影響力を持つ県町村会などの要請を受ける形で出馬していた。

和歌山は「二階王国」として知られ、選挙区の大半の首長や地方議員らが伸康氏の支援に回った。にもかかわらず、世間は伸康氏に味方しなかった。

伸康氏の地元での評判は、芳しくない。「悪い」とまではいかないにしても、父親におんぶに抱っこの姿勢が強かったのだろう。ライバルで、参院から鞍替えして同じ選挙区に乗り込んできた世耕氏のほうが、地元に早い段階から根を張っていたのだ。

同じく裏金議員で自民党から離党した世耕氏は「無所属」で立候補したが、知名度では圧倒的に伸康氏に勝る。世耕氏は、地元の有力者に次々と挨拶をし、ネットワークを築いていたのだ。世耕氏の戦略勝ちである。

長男・俊樹氏との不仲

二階伸康氏の選挙事務所を手伝っていたのが、長男の俊樹氏だ。普通なら長男が親の地盤を引き継いでもおかしくはないのだが、この俊樹氏、以前からめっぽう地元で評判が悪い。

すぐにキレる性格で、とても長男には政治家は務まらないと早々に見限った二階俊博氏が、三男の伸康氏にバトンを手渡したということだ。

もちろん、長男の俊樹氏は面白くないことこの上ない。長男・俊樹氏と三男・伸康氏が犬猿の仲であることは、地元では有名なことだ。

夏にも、俊樹氏が伸康に「地元を抑えているのはワシや」と詰め寄り、大喧嘩になったことは大きな話題になったそうだ。

今回の選挙戦でも、世耕氏の有利が投開票日の1週間も前からささやかれており、選挙事務所は重い空気に包まれていた。父親の支持でしぶしぶ弟・伸康氏のサポートにまわった俊樹氏が、「票を取れないのはお前のせいだ」と伸康氏につかみかかり、最後は大喧嘩になったというのだから始末が悪い。

一致団結して戦うのが選挙事務所である。選挙は戦いだというのに、内部で戦って勝てるはずもない。伸康氏の選挙選は、身内から崩壊していたのだ。

二人の喧嘩を見た人、それを聞かされた人は皆「この選挙は勝てないだろう」と確信したに違いない。

伸康氏、来年の参院選に出馬か?

今回の衆院選では敗北してしまった伸康氏だが、このままで終わる気配がない。どうやら、来年の夏の参院選への出馬を狙っているそうだ。

そのころの自民党は、おそらくまだ逆風にさらされていることと思うが、果たして伸康氏が出馬して当選できるかどうか、まったくの未知数である。

それにもまして、長男との決裂状態が続いているようでは、選挙戦略を立てるにも一枚岩でいくはずもない。

今から波乱含みの展開が予想される。

二階俊博の三男・伸康氏が落選した理由:まとめ

  • 地盤、看板、カバンを引き継いだ二階伸康氏だったが、親(俊博氏)が85歳という高齢で、以前ほどの力がなくなっていた
  • 地元の戦略において、ライバルの世耕氏に負けた
  • 裏金問題もひびいた。ましてや、50億もの大金を「政治活動費」として自民党からもらっていた俊博氏の悪評を追い払えなかった
  • 選挙を手伝っている長男・俊樹氏との不仲により、事務所の雰囲気が悪かった
  • 来年の参院選に出馬する噂があるが、このままでは雲行きが怪しく、当選するかどうかは未知数だ
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