静岡県伊東市の前市長・田久保真紀被告をめぐる「学歴問題」が、再び大きく動きました。
2026年8月25日、田久保被告の自宅から静岡県警が押収したパソコンをサイバー捜査で解析した結果、偽造された卒業証書の作成に使われたとみられるデータが見つかっていたことが報じられました。
田久保被告は現在、大学の卒業証書を偽造して市議会議長らに示したなどとして、有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴されています。一方、弁護側は一貫して偽造を否認し、裁判では無罪を主張する方針です。(テレ朝NEWS)
では、田久保氏はそもそも何をしたとされているのでしょうか。そして、辞職したのか、現在は何をしているのか、逮捕される可能性はあるのでしょうか。
最新情報を整理します。
田久保前市長は何をした?
問題の発端は、2025年の伊東市長選後に浮上した「学歴」の問題でした。
田久保氏は2025年5月の伊東市長選で初当選しましたが、その後、自身の学歴について「東洋大学法学部卒業」とされていたことが問題化。
2025年7月2日の会見で田久保氏は、実際には東洋大学を卒業しておらず「除籍」であることが判明したと説明しました。当時、田久保氏は「卒業していると認識していた」と説明しています。(NEWSjp)
さらに問題となったのが、田久保氏が市議会議長らに示したとされる「卒業証書」です。
起訴状によると、田久保被告は2025年5月29日から6月4日までの間に、東洋大学の卒業者として自身の名前を記載した文書を作成し、業者に作成させたとされる学長らの印鑑を押して卒業証書を偽造。6月4日に市役所で議長らに示したとされています。(ライブドアニュース)
この件について静岡県警は捜査を進め、田久保被告は2026年3月に有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴されました。
なお、田久保被告側は「卒業証書は本人が作成したものではない」としており、第三者が作成した可能性を主張するとみられています。つまり、現段階では裁判所による有罪判決が出たわけではありません。(ライブドアニュース)
パソコンから何が出てきた?
今回、最も注目されているのがここです。
報道によると、静岡県警は2026年2月、田久保被告の自宅を家宅捜索。その際にパソコンを押収し、サイバー捜査によって内部のデータを解析しました。
その結果、偽造された卒業証書の作成に使われたとみられるデータが見つかったとされています。(TBS News Dig)
捜査側は、田久保被告がパソコンで偽の卒業証書を作成し、別途入手した印鑑を押したとみていると報じられています。
つまり今回の新情報は、単に「偽造卒業証書そのものがパソコンから出てきた」という話ではありません。
現時点で報じられているのは、
田久保被告宅から押収されたパソコンの中に、偽造に使われたとみられる卒業証書のデータが見つかった
ということです。
このデータが誰によって、いつ、どのような目的で作成されたのか。さらに実際の卒業証書との関係がどうなるのかは、今後の裁判で重要な争点になるとみられます。(LOOK 静岡朝日テレビ)
「卒業証書そのもの」はパソコンから見つかったわけではない?
ここは混同しやすいポイントです。
現在報道されている情報では、パソコンから見つかったのは卒業証書のデータです。
一方、問題となっている紙の「卒業証書」は、弁護側が押収拒絶権を行使するなどして東京都内の弁護士事務所の金庫に保管しているとされています。そのため、2月の家宅捜索では紙の卒業証書自体は押収されていません。(ライブドアニュース)
したがって、
「自宅から偽造卒業証書が発見された」
というより、
「自宅から押収されたパソコンを解析したところ、偽造に使われたとみられる卒業証書のデータが発見された」
と理解するのが正確です。
田久保氏は辞職したのか?
結論からいうと、田久保氏は現在、伊東市長ではありません。
ただし、ここに至る経緯は少し複雑です。
2025年7月、伊東市議会は田久保氏に対する辞職勧告決議を全会一致で可決しました。
田久保氏は当初、辞職して出直し市長選に立候補する意向を表明。しかし、その後の7月31日には辞職の意向を撤回し、続投する考えを示しました。(アットエス)
その後、2025年9月1日に伊東市議会が田久保氏に対する不信任決議を全会一致で可決。
田久保氏はこれを受けて市議会を解散しました。
しかし、解散後の市議選を経て新しい市議会が招集され、2025年10月31日に再び不信任決議が可決されました。
伊東市議会によると、この2度目の不信任決議によって田久保氏は市長を失職しています。(伊東市公式サイト)
つまり「自分から辞職して現在の状態になった」というより、最終的には不信任決議を経て失職したというのが正確です。
田久保氏は今何をしている?
2026年8月現在、田久保氏は伊東市長ではなく、刑事裁判を控える被告人という立場です。
2026年3月には、卒業証書を偽造して行使したとする事件などで在宅起訴されています。
また、2026年6月には、学歴問題をめぐって追送検されていた公職選挙法違反など3つの容疑について、静岡地検が嫌疑不十分で不起訴処分としました。(千葉日報)
一方、卒業証書の偽造・同行使などについては起訴されており、こちらは裁判で争われることになります。
静岡地裁は2026年5月、検察側と弁護側が主張や証拠を整理する公判前整理手続きを行うことを決定しており、検察側の証拠開示が進められています。今回発覚したパソコン内のデータも、裁判上の重要な証拠になる可能性があります。(ライブドアニュース)
田久保氏は逮捕されるのか?
今回のニュースを見て「パソコンから証拠が出てきたなら、田久保氏は逮捕されるのでは?」と考える人も多いでしょう。
ただ、現時点で「逮捕される」と決まったわけではありません。
そもそも田久保氏はすでに有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴されています。
在宅起訴とは、身柄を拘束せずに起訴される手続きです。
そのため、今回新たな証拠とされるデータが見つかったからといって、直ちに逮捕されるとは限りません。
今後の焦点は、パソコン内のデータが、
- 誰によって作成されたのか
- いつ作成されたのか
- 実際に問題となっている卒業証書と一致するのか
- 田久保被告本人が作成したことを裏付けられるのか
- 「第三者が作成した」という弁護側の主張を崩せるのか
といった点になると考えられます。
なお、逮捕・有罪については裁判所などの今後の判断を待つ必要があります。
弁護側は「無罪」を主張する方針
今回のパソコンデータ発見は検察側にとって重要な材料になる可能性がありますが、田久保被告側はそれでも無罪を主張する方針です。
報道によれば、弁護側は卒業証書について「本人は作成していない」とし、第三者が作成した可能性を主張するとみられています。(ライブドアニュース)
したがって、今後の裁判では「データが存在した」という事実だけでなく、そのデータと田久保被告本人をどこまで結びつけられるかが重要になりそうです。
これまでの「学歴問題」はどう展開した?
今回のニュースだけを見ると突然パソコンからデータが見つかったように感じますが、問題は2025年から続いています。
大まかな流れを整理すると、
2025年5月
田久保氏が伊東市長選で初当選。
2025年6月
学歴をめぐる疑惑が表面化。
2025年7月2日
田久保氏が東洋大学を卒業しておらず、除籍だったと説明。(NEWSjp)
2025年7月7日
市議会が辞職勧告決議を全会一致で可決。田久保氏は辞職して出直し選に立候補する意向を表明。(アットエス)
2025年7月31日
一転して辞職の意向を撤回し、続投を表明。(アットエス)
2025年9月1日
市議会が不信任決議を可決。
2025年9月10日
田久保氏が市議会を解散。
2025年10月31日
新しい市議会で2度目の不信任決議が可決され、田久保氏が失職。(伊東市公式サイト)
2026年2月
静岡県警が田久保被告宅を家宅捜索。パソコンなどを押収。
2026年3月
卒業証書の偽造・同行使などの罪で在宅起訴。
2026年6月
公職選挙法違反などの追送致分については不起訴処分。
2026年8月25日
押収したパソコンから、偽造卒業証書の作成に使われたとみられるデータが見つかっていたことが判明。(ライブドアニュース)
こうして見ると、今回の「パソコンからデータ発見」は、2025年から続いてきた問題の新たな局面といえます。
今後の裁判で最大のポイントは?
今回のデータが本当に決定的な証拠になるのか。
ここが最大のポイントでしょう。
検察側からすれば、田久保被告のパソコンに偽造されたとされる卒業証書のデータが存在していたことは、作成経緯を立証するうえで重要な材料になる可能性があります。
一方で、弁護側は本人による作成を否定する方針です。
そのため、今後はパソコンのデータだけではなく、作成日時やファイルの履歴、印鑑の入手経緯、問題の卒業証書との一致関係など、複数の証拠を総合して判断されることになると考えられます。
現段階では、「パソコンからデータが見つかった=田久保被告が偽造したことが裁判で確定した」ではありません。
裁判所が最終的にどのような判断を下すのかが注目されます。
まとめ
田久保真紀前伊東市長をめぐる問題は、2025年の学歴疑惑から始まり、市長辞職をめぐる騒動、市議会の不信任、失職、そして刑事裁判へと発展しました。
今回新たに明らかになったのは、県警が押収した田久保被告のパソコンを解析した結果、偽造されたとみられる卒業証書のデータが見つかっていたということです。
一方、田久保被告側は偽造を否認し、裁判では無罪を主張する方針。
すでに在宅起訴されているため、「今回のデータ発見をきっかけに逮捕されるのか」という点よりも、今後の裁判でこのデータがどのように証拠として評価されるのかが重要になります。
今後、公判前整理手続きなどを通じて争点が整理され、検察側と弁護側それぞれの主張が明らかになっていくことになりそうです。
