【柚木さんちの四兄弟。】第29話:あらすじ「岳の日記帳」

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今回は岳ちゃんが主人公です。岳ちゃんはたくさんの「ひらがな」が書けますよ!文章力はお察しのとおりです。さて、今日はどんなお話になりますか。

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目次

日記帳、もらいました

岳は公民館の催し物で日記帳をもらってきた。

隼:よかったな、岳。今日からさっそくつけてみれば?

岳:ああ、だが、オレの毎日は至って普通だ。改めてしたためることなど、何もない。

尊:日記っていうのは、出来事だけじゃなくて、その時の気持ちだって書いていいんだ。もう一人の自分と対話するような気持ちで書くといいよ。

湊:わーい、岳ちゃん、オレへの気持ち、どんなふうに書いてくれるのか楽しみだな。

尊:ダメだよ、湊。日記っていうのはプライベートなものなんだから。人の日記は見ちゃいけないんだ。

シュンとする湊。

岳、はじめての日記を書く

というわけで、岳は日記を書くことにした。

いつもより早く帰って来た隼にいさん。今日の晩御飯は、前から岳が食べたいと言っていた「鰆(さわら)酒蒸し」だ。

そのために早く帰ってきた?なんだか申し訳ない。岳が「気を遣わせてしまってすまない」と謝ると、

隼は「そんなことない」と優しく言ってくれる。そんな二人の様子を見て、後ろからいきなり隼に長ネギで不意打ちを食らわせたのが湊だ。

「痛い!」「オレの岳ちゃんを取るな!」

そんなやりとりの中、尊が帰ってきた。

今日の夕飯は鰆の酒蒸しだと聞くと、肉がいいという湊。だが、岳の希望だと聞くと、オレも酒蒸しが好きだと言い出した。「岳ちゃん愛」は止まらない。

岳は日記に書いた。

「変にあやまると、かえって相手に気を遣わせてしまうものだ」

「とは言え、湊にいさんのように気安く言うと、相手になって負担にならないのかもしれない。いろいろ勉強になった。これからも精進したい。」

おそるべし、岳ちゃん!

日記を読みたい湊

朝食を食べながら、まだ日記を続けていることを話していた。

湊:読ませて!

尊:だから、日記はプライベートなものだから。

隼:どうだ岳、日記は?

岳:なかなかよい。おのれの考えの整理にもなるし、その日にあったことの復習にもなる。

尊:さっそくコツをつかみましたね、岳ちゃん!

岳:がんばる!

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小さな記者さん誕生

そんな会話があった日。

湊は学校のテストで点数が悪かったため、尊に教えてもらっていた。

二人の会話はときどき、いや、しょっちゅうかみ合わないと、岳は二人を見ながら考えていた。こんなことも日記の題材になる。岳はちょっとした記者さんだ。

岳は普段の小さな事柄を、前よりも丹念に研究、見つめるようになった。

「この年の近い二人には、わからない世界があるのだろう。ちょっと、うらやましく思った。」

そこへ隼が登場。「こら、湊!なんだその態度は。ちゃんと勉強やりなさい!」

「いつも温厚な隼にいさんだが、勉強のこととなると厳しい。きっと、オレたちを思えばこそ、厳しくなってしまうのだろう」

二人のことを日記に書いていたら、新たな疑問がわいてきた。隼にいさんは、尊兄さんが生まれるまで、長らく一人っ子だった。そんな隼にいさんは、オレたちが生まれたことをどう思っているのだろう?

隼の気持ち

次の日、さっそく隼に湊が生まれたときのことを聞いてみた。

隼:オレが小学校4年生までは一人っ子だったからさ。尊が生まれたときはすっごく嬉しかった。ただ、あまりにも都市が離れていたから、弟って感じはしなかったな

岳:息子って感じか?

隼;いや、孫って感じ。親は育てなきゃいけないけど、孫ならかわいがるだけでいいだろ。だから、オレはただひたすら可愛がればいい!って、素敵なおじいちゃんポジションになったわけだ。

「なるほど。今は隼にいさんは親がわり。だから隼兄さんはオレたちに厳しい目を向けなければならなくなったのだ」

岳:なるほど。尊にいさんが孫なら、さしずめオレは、ひ孫って感じかな。

隼:岳さんは、「ご隠居」って感じです。

「ご隠居?」

尊、隼の気持ち

あらたな疑問もわいた。岳は、尊と湊から見た自分はどのような存在なのか、知りたくなった。

湊:オレが岳ちゃんをどう思ってるかって?岳ちゃんはかわいい…いや、岳ちゃんはオレの天使です!

続いて、尊にいさんにも聞いてみた

尊:岳さんの存在?小さくて愛おしい存在でありながら、同時に湊を思って…オレの心を激しくかき乱す、ライバルです。

「ということで、人間、百人いれば百とおり。このように身近でも発見がある。難しいものだ。」

筆者の意見

岳ちゃん、「百」という感じは習ったようですね

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お墓参り

次の日は、朝ごはんを食べたら出発だ。

毎月、行く場所がある。両親のお墓参りだ。

墓石を磨いて、お花を供える。お線香をあげる。手を合わせて、天国の両親を思う。

ただ、優しくて、温かくて、とても好きだったという気持ち。会いたくて、でも会えないという現実に胸が苦しくなる。

オレのことを「かわいそう」という大人もいるが、オレは毎日幸せだ。優しい兄さんが、3人もいるから。

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