ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」で助演男優賞を受賞した、脳外科医の三瓶(さんぺい)役・若葉竜也。
番宣のために出演した「めざましテレビ」での若葉竜也の態度が悪いとちょっとした話題になっている。
この記事では、そもそも「態度」が本当に悪かったのか、そしてその「本当の理由」に迫る。
「態度が悪い」のは誤解だった
「若葉竜也の態度が悪い」ことがネット上で話題になったのは、4月15日の「めざましテレビ」に若葉が生出演した直後だった。
2024年4月15日、「アンメット」が初回放送された日に、若葉竜也は主演の杉咲花、共演の生田絵梨花と一緒に、めざましテレビに出ていた。
若葉がワイドショーに出るのは、おそらく初めてだったのではないだろうか。他の「ワイドショー慣れ」している共演者たちとは、明らかに雰囲気が違っていた。
番宣に出る俳優は、とにかく笑顔で、たまに笑いを取り、いかに楽しい撮影か、いかに素晴らしいドラマかを語り、今後の視聴率のためにひと役買う役割を背負っている。
だが、若葉竜也はワイドショー慣れしていないこともあり、一見やる気がないような雰囲気が感じられた。アナウンサーに質問されても「特にないです」を繰り返すなど、視聴者にとって「感じ悪い」という印象を持たれてしまったのだろう。
ただ、ドラマの中の若葉が演じる三瓶は、まさに「感じが悪い」「ぶっきらぼう」「雰囲気を読まない」人間なので、むしろワイドショーに出ていたのは「三瓶」そのものだったのだ。
めざましテレビが放映されたのはドラマの初回の日。つまり、視聴者はこれからの展開を誰も知らない。三瓶がどのような人間なのか、これから明かされるのだ。このテレビ出演の日が、ドラマの最終回の日だったならば、視聴者の反応は180度違っていただろう。「あ!三瓶先生が出てる!」と、狂喜乱舞したに違いない。
若葉は、ワイドショー(めざましテレビ)に出ているときも「三瓶先生」だったのだ。つまり、態度が悪いと感じた視聴者からは、大きな誤解を受けてしまったということになる。
若葉竜也は「愛想をふりまく」タイプではない
最近は、ドラマや映画の番宣のみならず、オフショットのシーンが後悔されたり、YouTubeで出演者たちのフリートークが多く上がっていたりして、「番組の裏側」や「今だから言える話」「とっても仲良しな共演者たち」をそちらでも宣伝しているのが普通だ。
そういう意味では、若葉竜也は「場違い」な人間かもしれない。もともと静かなタイプの若葉は、いつも同じ態度で、裏表なく人に接する。それが、プライベートでも、全国ネットで放映されていても、彼にとっては同じ空間なのだ。若葉竜也はそういう人間だ。
自分では「素の自分」を出しているのだが、ボソボソと話すし、表情も大げさではなく、それが「無愛想」と取られてしまうのは、タレントも一般人も同じなのではないだろうか。むしろ、「人間ぽくて」私は大好きだし、そういう人間のほうが信頼できる。
若葉竜也の態度を東野幸治も絶賛
若葉竜也はバラエティータレントではない。バラエティやワイドショーでひな壇に座ってワイワイやるタイプでは、絶対にないし、若葉はそのような番組は自分には無理だと思っているだろう。
若葉が一番大切にしていることは、自分の出演するドラマや映画での「演技」だ。若葉は誰よりも演技にこだわりを持つ。
以前より若葉の作品を数多く観ているという東野幸治は、ラジオ番組『東野幸治のホンモノラジオ』(ABCラジオ)で、若葉の番宣での態度について、「愛想なんて振りまいてほしくない」「これこれ!いつまでもこうやっていてほしい」とコメントしている。
「東野さんの発言は、俳優が表現する場は映画やドラマであり、ワイドショーで愛想を振りまく必要はないという意図です。演技に最大限の熱を持っている若葉さんに、番宣での態度をアレコレ言うのは、ピントがずれているということですね。むしろ、自身のスタンスを崩さなかった若葉さんは、この騒動で俳優としての評価を高めたとも言えると思います」
東野幸治(東野幸治のホンモノラジオ)
若葉竜也は舞台(一座)出身
若葉竜也は、よくある「モデル出身」でもなく、「〇〇レンジャー」などの戦隊もの出身でもない。
若葉竜也は大衆演劇の一座を営む家族のもとに生まれた。5人兄弟の三男である。一歳半から舞台に立ち、大衆演劇の「チビ玉三兄弟」として知られた。
「大衆演劇」は一般人にはなじみがないかもしれないが、昔から大衆の娯楽として大人気だった、いわば「ドサまわり」の演劇だ。
大衆演劇は、いわゆる「舞台」とは違い、家族の一座が中心となって行われる。一座の子どもに生まれることは、ある意味「運命」が定まってしまうと言っても過言ではない。多くは、若葉竜也のように1歳半ぐらいから舞台に立たされることになる。「下町の玉三郎」で知られる梅沢富美男も「大衆演劇」のひとりである。
幼い頃から舞台に立っていた若葉は現在35歳。以前は多くのテレビドラマにも出演していたが、最近は映画を中心に活躍している。私が初めて若葉を知ったのも、映画「生きちゃった」である。映画の詳細は伏せるが、あまりにも衝撃的な内容で、映画を観たあとはしばし呆然としてしまった。 若葉が俳優としての実力を見せつけた映画とも言える。ぜひ観てほしいと思う。U-NEXTで絶賛放映中だ。
他に、若葉の代表作は『葛城事件』(16年)、『愛がなんだ』(19年)、『あの頃。』(21年)などがあげられる。『ペナルティループ』では主役を演じている。
杉咲花とは、NHK連続テレビ小説『おちょやん』(20年後期)や映画『市子』(23年)などで共演しており、今回のドラマ「アンメット」では、杉崎から若葉に直電で「出演の依頼」があったということだ。
若葉竜也「有名になることに興味はない」
若葉竜也は、「アンメット」出演において、インタビューを受けている。(mantan web)
その記事の中に、非常に興味深い「語り」があったのでご紹介しよう。若葉らしいインタビューである。
インタビュアー:ネットでは若葉さんが「世界に知られてしまったか」と話題になりました。それは、「俺たちの若葉竜也が世間に見つかってしまった!」というようなファンの熱量を感じます。そういった声は、ご本人に届いていますでしょうか。
若葉:めちゃくちゃ届いています(笑い)。昔から応援してくださっているファンの方、僕がまったく仕事をしていない時から見てくれている人は、ある程度認識してるんで。本当に礼儀正しくて、秩序が守られたファンの方が多くて、人格がすごくすてきなんだろうなと思います。ただ、やっぱり僕はひっそりと暮らしていたいですね。有名になることとか、ブレークとか、本当に興味がないんだと思います。
若葉竜也は、ほとんど外出しないらしく、今回のドラマ出演でいつも行くコンビニ店員に顔が知られてしまったぐらいではないか、とも語っている。
まさに、アンメットの三瓶先生そのものではないだろうか。
若葉は、作品に対するこだわりが強い。ドラマのオファーを受けるかどうかを判断するのも、しっかり脚本を読んでからである。スポンサーの意向や視聴率によって内容が変わってしまう可能性がある民放局の地上波連続ドラマについては、消極的だと言われている。
「アンメット」が高評価を受け、おそらくはドラマや映画へのオファーが殺到しているだろう若葉竜也。だが、彼のことだ。きっちり脚本を読み込んで、納得のできる作品にだけ取り組んでくれることだろう。
私も、若葉竜也の出演する作品を観続け、感動し、自分の人生の糧にしたいと思う今日この頃である。