海の7歳の誕生日プレゼントに、イルカのぬいぐるみをプレゼントした弥生。実はこの事はなかなか深い問題を投げかけているのです。
この記事では、「ピンクのイルカ」について徹底検証します。
なぜ、イルカのぬいぐるみなのか?
弥生はなぜ、イルカのぬいぐるみを選んだのでしょうか。
もうすぐ海の7歳の誕生日だと知った弥生は、海と仲良くなるチャンスと考えます。早く親しくなりたいですもんね。ですが、7歳の女の子はどんな物だったら喜ぶのか、さっぱりわかりません。
会社でもネットでいろいろ見ていますが、どうも決まらず、「お父さんに聞いてみようかな」とつぶやきます。
弥生は夏に、海が何が好きなのか聞いたのでしょうが、夏が分かるはずもありません。ですので、夏は朱音(あかね)(おばあちゃん)に聞いたことでしょう。すると、朱音はちょっと考えて、「イルカ」と答えたのでしょう。
水希がイルカが好きなのは、分かっていたからです。水希が好きな物は、海も好きです。そう思ったに違いありません。鳩サブレも同じです。
イルカが好きと聞いた弥生は、じゃあ、7歳だったらぬいぐるみにしようかなと、無難な路線を選んだに違いありません。
そういうわけで、弥生はプレゼントにイルカのぬいぐるみを選びました。
なぜ、ピンクを選んだのか?
ではなぜ、ピンクのイルカを選んだのでしょう。答えは簡単。「女の子だったら、やっぱりピンク好きだよね」と思ったに違いありません。
もちろん、その子によって色の好き嫌いはありますが、弥生にとって、「女の子ならピンク」という固定概念があります。弥生だけではなく、一般的に、「女の子はピンク、男の子はブルー」と決めてかかる傾向にあります。出産祝いを買った経験のある人なら、すぐにわかります。薄いピンクか薄いブルー、それ以外の色はほとんどありませんから。
だから、女の子が生まれると、家に出産祝いでもらうピンクのモノがあふれかえります。弥生も、あまり深く考えずに、一般的な選択をしたのでしょう。「色は何が好き?」までは聞けませんものね。
もちろん、子供はプレゼントをもらったら喜びます。海も「ピンクのイルカ、初めて見た」と喜んでくれました。
イルカはママが好きだから海も好き
そもそも、イルカが好きなのは水希なんです。
夏と水希が出会ったばかりのころ、テーブルに座って「何が好き?」ゲームみたいなことをしていました。
水希:じゃあ、犬か、猫か、コアラか、ハムスターか、ウサギだったら、何が好き?
夏:えっと、南雲さんは?
水希:イルカでーす!
そんな会話を覚えていませんか?もともと、水希はイルカ大好きなんです。
階段教室で、先生に隠れて二人でこっそり鳩サブレを食べていたシーンがありましたが、その時水希のそばに水色のイルカのペンケースがありました。フカフカの、かわいいペンケースです。
だから、ママが好きなイルカだから、海も大好きなんですよね。海は、イルカを通してママを感じているんです。
親子の部屋にあったイルカのぬいぐるみ
水希が、海の背丈を部屋の柱で測るシーンがあります。「すくすく」です。
ベッドの奥に、イルカのぬいぐるみがあるのがお分かりでしょう。ママの好きなイルカです。海にとって、イルカのぬいぐるみはこれだけです。これがすべてなんですよね。
海は青が好き
このドラマは、海岸を水希と海が歩いている場面から始まります。二人は、よく海へ来ていました。テーマが海。色も海のブルーが基本です。
下の海の色ですね。これが全編を通して重要な色として出てきます。海の好きな色は、この色。つまり、「海の色」なんです。
ランドセルの色
海が夏にランドセルを見せるシーンがあります。女の子には珍しい、濃い青です。これが、まさに海の青です。水希が選んだのではなく、水希は海に選ばせました。
同じ海でも、これが沖縄だったらエメラルドグリーンになったでしょうね。でも、水希と海は小田原に住んでいました。まさにこの「青」が、小田原の海の色なんですね。
海にとって、「青」という色も、母との想い出と共に大事にしている色なのです。
ピンクのイルカは失敗だったの?
では、弥生が海にピンクのイルカをプレゼントしたのは失敗だったのでしょうか?
本当のところは分かりませんが、想像するに、かわいいプレゼントをもらった海は喜んだことと思います。
ですが、イルカのぬいぐるみだったら、ママといつも一緒だったあのブルーのぬいぐるみが好きです。
色も、ピンクよりはブルーの何かが好きです。
失敗とも言えませんが、このプレゼントをあげたことで弥生と海の距離が縮まったかと言うと、そう簡単なものではありません。
ここに、弥生の焦りを見て取ることができます。プレゼントひとつにしても、あげてよかったのか疑問が残ります。
私は、弥生がプレゼントを渡すのは、まだまだ早かったのではないかと思います。弥生の「早く仲良しになりたい、だって私はママになるんだから」という気持ちは、もう少し自分の内にしまっておいたほうが、よかったのではないかと考えます。