1970年代に世間を震撼させた「戸塚ヨットスクール」の事件を覚えている人はどれほどいるでしょうか。
私は、ちょうど社会人になったばかりで、忙しくてニュースもろくに見られませんでしたが、電車で新聞を読んでいるおじさんたちの記事を横目で見て、大変驚いたことを覚えています。
その戸塚ヨットスクールの校長「戸塚宏」氏がYouTubeで復活し、さらに世間から非難されているそうです。どういうことでしょうか。
戸塚ヨットスクールとは?
戸塚ヨットスクールは、1976年に戸塚宏(とつか ひろし)氏によって設立されました。
設立当初から、その独特な指導法と教育方針で注目を集めてきました。ここでは、戸塚ヨットスクールがどのようなスクールであり、どのような教育理念を持っているのかについてご紹介します。
設立の背景と目的
戸塚ヨットスクールが設立された背景には、1970年代の日本社会における若者の「ひきこもり」や「非行」といった問題がありました。これらの問題に対処するために、戸塚氏は「人間を鍛えること」が必要だと考え、自然の厳しさを通じて心身を鍛える場所として、ヨットスクールを開校しました。
スクール名に「ヨット」が含まれているのは、自然の力と向き合いながら自己を鍛える手段として、ヨットが選ばれたためです。
教育方針とトレーニング内容
戸塚ヨットスクールの教育方針は、「精神と体を鍛える」という非常にシンプルで明確なものです。特に、精神的な強さを重視しており、厳しいトレーニングを通じて、参加者が自分の限界に挑戦し、それを超えることを目指しました。
聞こえはいいですが、要するに「スパルタ」です。
ヨットの訓練や、ランニングなどの体力トレーニング、さらに共同生活を通じて、戸塚流のやり方で人間形成をなしとげようというものでしたが、非常に荒っぽい方法で行われました。
ついに死者が出た
ところが、1979年から1982年にかけて、体罰が原因とされる塾生5名の死亡事故が発生したことが明らかになりました。「過度に厳しい」「危険が伴う」「人格否定的な面がある」といった手法で行われた訓練が明るみになり、世間から非難されました。
この事件はマスコミによって連日報道され、社会的に大きな注目を集めました。
その結果、戸塚氏は傷害致死罪や監禁致死罪で起訴され、2002年に懲役6年の刑が確定しました。そして、2006年に刑期を終えて出所しています。
現在の戸塚ヨットスクール
現在も、戸塚ヨットスクールは活動を続けており、その教育方針は設立当初から大きく変わっていません。しかし、過去の批判や議論を受け、指導方法や安全管理に関しては改良が加えられたと言われています。
スクールは、青少年だけでなく、成人向けのプログラムも提供しており、さまざまな年齢層の人々が参加しているそうです。
戸塚宏氏は現在も同校の校長をつとめていますが、今は0~8歳の子どもを指導していると本人が語っています。
YouTubeを開局:「ぶん殴ってもいいですか」
今回開設された戸塚氏のYouTubeチャンネルは、動画の最後に表示される説明によると、「戸塚先生を支援する2人の青年」が運営しているようです。彼らは、「戸塚校長の意思を後世に伝えるために、YouTubeを始めました」と述べています。
YouTubeでは、戸塚ヨットスクールは「体罰を容認する」と述べています。
動画内で、スタッフから「体罰と暴力の違い」について聞かれた戸塚氏は、 「どう違うの? 体罰と暴力。(子どもたちの)進歩を目的とした有形力の行使。これが体罰だ。いいこと。体罰は善なんよ」
逮捕されてなお、体罰は善と言い切る戸塚氏に、SNSでは批判の嵐が吹き荒れています。
体罰を容認する戸塚氏にSNSで非難の声が多数!
まずは、当時の戸塚ヨットスクールの映像をご覧ください。
いやマジで冗談じゃない。
— 藤井 靖 (@yasushi_fujii_) August 19, 2024
戸塚ヨットスクールの体罰ってこれよ?
エビデンスと真逆のこと平然と言い切る思想など全く不要で極めて危険
「体罰はやられる方の利益のため」戸塚ヨットスクール創設者のYouTube、持論に批判殺到 運営スタッフ反論「この思想は後世に残すべき」https://t.co/Xaze1wIjXq pic.twitter.com/8P90YyvA7y
SNSでは、こんな声があがっています。
「世界一体罰を受けるべき人間」
「戸塚さんも、このチャンネルを開設・撮影しようとした運営なのか動画内で喋ってる若い男性の方なのか知らんけど、その人たちもどうかしてると思うよ。」
「この動画のせいで体罰はしていいものだと勘違いする頭のおかしい人たちが出てきて、体罰を受けてしまう人が増えないことを願います。」
「そこそこ良い大学へ行き、世間的にみたら良いと言われる会社で働いてるんだが、大学でも職場でも親から体罰を受けた同僚なんて一人もいないんだよな。体罰を受けた子供が健全に成長できると思えない。」
大変恐ろしい動画ですので、自己責任でご覧ください。
時代は変わった。昭和から令和へ
この戸塚宏という人は、完全に昭和の古い世界から抜け切れていません。刑務所に入っていたから、逆に世の中の変化についていけないのかもしれません。
「昔は殴ってもよかった」「昔の先生は平手打ちも普通だった」などと言う人がいますが、今はそれをやると大変なことになります。ニュースになるくらいです。
時代はどんどん変わっています。小学校の校長先生から聞きましたが、「今は、児童に触ることはもちろん、肩に手をかけるだけでもアウト」だそうです。
セクハラ、パワハラ、モラハラ。何をしてもハラスメントになってしまう時代。
過剰になりすぎてもよくないですが、とにかく体罰は問題外です。
まだ分かっていないばかりか、自分の主張を頑固に変えずに、それをスクールで実践しようとする戸塚宏という人間。恐ろしいものです。
自分の子どもを守りたいなら、戸塚ヨットスクールで体罰を受けさせるのではなく、別の方法を考えたほうが子供のためと思うのですが、どうでしょうか。