【宙わたる教室】(2)あらすじ マリ役の山﨑七海は「渇水」の子役だった

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四十歳を過ぎ、夫と娘の後押しを受けて東新宿定時制の高校生になった越川アンジェラ(ガウ)。しかし2年生になって勉強についていけず、通い続けることを諦めかけた時、担任の藤竹(窪田正孝)から物理準備室に呼び出される。

彼女はそこで同じクラスの不良生徒、岳人(小林虎之介)が科学実験に打ち込む姿に驚く。藤竹はアンジェラも一緒に科学部にと誘うが、直後、彼女は学校で事件を起こしてしまう。

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目次

盗みの疑い

定時制の授業の前には、定時制でない全日制普通高校の授業がある。ある時、普通高校の女子高生がやってきて、定時制に通っている池本マリ(山﨑 七海)にペンケースを盗んだと疑いをかけられる。

「私、本当に知りません」ときっぱり否定する池本。女子高生たちは出ていったが、教室は険しい表情に包まれていた。

そこへ、「Hello, everybody!」と英語教師の木内(田中哲司)が入ってきた。教室の異様な雰囲気を感じて、どうしたのか聞いたが、「Nothing, everything is fine」とアンジェラが答えて事なきを得た。

だが、ペンケースを誰かが盗んだのか、それとも女子高生たちの勘違いなのか、答えは出ないままだった。

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越川アンジェラ(ガウ) 店と学校の両立は厳しい

ナサン(越川アンジェラの夫)は、アンジェラにそろそろ学校へ行く時間だと教える。

アンジェラは飲食店をやりながら、定時制の高校へ通っていた。店が忙しいときは学校を休んで店の仕事をやりたいところだが、息子のナサンが母の勉強を応援していた。

アンジェラは靴箱でマリに会った。マリは今日から池袋のホテルに勤務なので、池袋から歩いてきたという。汗びっしょりだ。

池袋から新宿まではJR山手線で4駅9分。マリががんばって歩いて40分ほどの距離だ。歩くなんて信じられない。

マリは母親が病弱なので、母を助けるために自分は日中ホテルで働き、夜は高校で勉学に励んでいる。フィリピンと日本人のハーフだ。母、妹(メイ)、マリの3人家族。

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黒板の落書き

アンジェラとマリが雑談しながら教室へ入っていくと、クラスのみんなが黙りこくって黒板を見つめていた。

いったい何事だろうと二人も黒板を見ると、「犯罪者集団」という書き込みが。

教室へ入ってきた藤竹は、黒板消しで文字を消しながら「確かに、全日制の生徒がペンケースを無くしたと訴えています」と言う。

長峰は柳田岳人(小林 虎之介)を疑っていた。岳人のほうへ向かって「君は、何か心当たりがあるのかね?」と尋ねる。

岳人は「俺がやったっつうのかよ。あ? ふざけんなよ ジジイ。」 と机を足で蹴とばして倒す。

長峰と岳人がやりあうと、中に入ったのはアンジェラだ。「ダメダメ、暴力は絶対だめ。」

二人を引き離したアンジェラ。アンジェラのおかげで、喧嘩にならずに済んだ。

店に戻ったアンジェラ

学校から帰り、店に戻ると客がたくさん入って繁盛していた。アンジェラは、常連客と挨拶をかわす。

店が終わってから、学校のテストを見返すアンジェラ。テストの点数は決して良いとは言えない。アンジェラは店も忙しく、勉強の時間が取れずに成績は落ち込んでいた。

テストに、付箋で「明日の放課後、科学準備室に来ませんか?と藤竹からのメッセージがあった。

藤竹は、店の事が気がかりだったが次のひ科学準備室に足を運んだ。

藤竹は、科学部の部員第一号の岳人と実験をしていた。お味噌汁で積乱雲を作る実験。そして、次はお酢を使って噴火の実験をするという。

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マリをかばうアンジェラ

マリは先日の女子高生(黒田玲奈)に、まだ盗みを疑われ、学校の隅で追い詰められていた。それを見たアンジェラは怒りのあまり、女子高生に馬乗りになっていた。

騒ぎを聞きつけた藤竹と岳人が駆け付ける。英語教師の木内と、看護教師の佐久間(木村文乃)も驚いて駆け付けた。

後日、黒田玲奈が「全治3週間」の診断書を提出した。玲奈は、急にアンジェラが飛び掛かってきたと供述している。その場には、池本マリがいたとも供述している。

玲奈の両親が、アンジェラに退学を要求してきた。それができなければ、傷害事件にすると言う。

アンジェラは、仕方がないと言う。藤竹はマリに事件のことを聞くために電話をしたが、はっきりとした答えがない。本当はあの日に何があったのか。藤竹は腑に落ちないものを感じていた。

「結論が乱暴すぎる。どうも納得いかない。結論を急ぐことで得られるメリットってなんですか?」

藤竹は木内と佐久間に自分の疑問を投げかけた。

越川アンジェラの進路変更

藤竹は、マリの勤務先を訪ね、テストの返却をした。迷惑そうなマリだったが、藤竹から「今、越川さんの進路変更が検討されています。退学、です」

マリは驚き、当日あったことをすべて藤竹に打ち明けた。

玲奈はマリに、定時制をバカにしたようなことを言ったのだった。

「ヤバそうなヤンキーとか、怪しい外人とか、結構いるじゃん、あ、あんたもか」玲奈は見下したように笑った。

そんなに疑うならバッグの中を調べろと言ったマリ。玲奈はバッグからペンケースを取り出し、「100均のじゃん、私のペンケースと一緒にしないで」と笑い、わざとペンケースを床に落とした。

我慢できなくなったマリは、カッターを手に取る。危ないと思った瞬間、アンジェラは玲奈を突き飛ばし、マリに逃げるよう言ったのだった。そして、その時に駆け付けたのが藤竹たちだった、というわけだ。

フィリピーナの苦労

アンジェラは、マリの気持ちがよく分かっていた。マリは中学のころ、「ピーナ、ピーナ」とからかわれ、いじめられていた。それが原因で、一度カッターを振り回して問題になったことがあったのだ。

マリは将来、自分のような、日本に居場所のない子どもたちのために、学校の先生になりたいという夢を持っていた。

アンジェラの母は、日本に来てからショーパブで働いていた。その時の常連さんとの間にできた子どもがアンジェラだ。だが、その男は妊娠が分かると消えてしまった。アンジェラの母は朝から晩まで働いて生活を支えた。

だが、すでにオーバーステイだったので、アンジェラは学校に通うことができず、昼間は家で隠れているしかなかった。アンジェラは学校がうらやましくて、よく外からこっそり子どもたちを見に行っていた。

そんな時、学校の女の先生が声をかけてくれた。親身になってアンジェラのことを考え、小学校に通えるようにしてくれた。悪口を言う子もいたが、良い友達もできて、楽しかった。だからアンジェラも、大人になったらあんな先生になって、子どもたちを助けたいと思ってここまできた。

黙って聞いていた岳人は「そもそもペンケースを盗んだやつが悪い。あんたも池本も、言いがかりつけられたままでいいのかよ」と問いかける。

岳人、全日制高校へ来る

岳人は、昼間に高校へやってきた。全日制の生徒たちがいる時間だ。ちょうど休み時間。岳人は校庭の真ん中で怒鳴り始めた。

「ペンケース盗んだ犯人!もし こん中いるんだったらさっさと白状しろ!こんなくだらないことのせいでな、こっちは退学になりそうなやつがいんだよ!定時制なんかお前にとっちゃどうでもいいことかもしんねえけどな。」

岳人は木内に連れられて退場させられた。それをじっと見ているひとりの女子生徒がいた。彼女は玲奈と一緒に来ている友達の後輩で、ペンケースをフリマで出品してくれと頼まれていたのだった。

「もしかしたら、あのペンケースのことでは?」と、学校に相談しに来たのだった。図星だった。犯人は玲奈の友達だったのだ。

犯人が分かったおかげで、アンジェラも退学せずにすみ、マリも無事に学校へ戻ることができた。これも、岳人が校庭で叫んだから得られた結果だった。

藤竹はアンジェラに言った。

「越川さんがいてくれると、クラスが穏やかになるんですよ。冷え切った場所が暖かくなって、熱い場所が冷めるんです。だから、いてくれないと困るんです」

アンジェラは、クラスの太陽であり、母のような存在だった。

噴火実験のヒント

岳人は悩んでいた。噴火の実験が全くうまくいかない。藤竹から渡された資料を元に再現しようとしているが、まったく噴火しなかった。

岳人も藤竹も首をかしげていた。その時、アンジェラが「ちょっと見せて」と資料を手にした。

「関係あるかわかんないけど、これ、すし酢よ。今使ってるの、米酢じゃない?」

藤竹「え?違うんですか」

アンジェラ「すし酢にはね、いろいろな調味料が入ってるの。お砂糖とか」

そこでピンときた。米酢には砂糖が入っていない。だから粘性が低すぎるんだ!

岳人「それ、早くやってみようぜ」

アンジェラも加わり、すし酢を使った噴火実験が始まった。

すし酢を入れてフタをすると、みるみるうちに中のものがブクブクと膨れ上がり、パン!とフタがはじけ飛んだ。

実験は大成功だ。「もう1回やろうぜ!」と大喜びする岳人とアンジェラ。

科学部、部員二人目はアンジェラだ。でも、部活として成立するためには、あと一人必要。さて、3人目は誰になりますか。

池本マリ役の山﨑七海は、映画「渇水」にも出演していた

今回、ペンケースを盗んだと疑いをかけられたマリを演じたのは、山﨑七海さん。フィリピンと日本のハーフという役でしたが、山崎さんは生粋の日本人です。

2008年6月27日生まれ、現在16歳(2024年)で、東京都出身です。

エキゾチックな顔立ちから、ハーフっぽい感じがしますね。

今回の「宙わたる教室」では病弱な母親の代わりに、自分が働きながら家庭を助ける献身的な女子高生の役を演じています。

ハーフで、しかも定時制ということで、ダブルの偏見の目で見られるマリのやり場のない困惑と怒りを、山崎ならではの演技力で表しています。

山崎は映画「渇水」でネグレクトの姉妹の姉の役の演者でもあります。貧困で水道代を払えない家庭、母親が不在がちの家庭で幼い妹と懸命に生きる姉の眼差しの強さは、視聴者をくぎ付けにしました。

父親はとっくに蒸発、母は夜の仕事で不在がち。電気はとうに停められ、ついに最後のライフラインである水道までもが停められる。生きていくために、公園の水道から毎晩水を持ち帰る。幼い妹と共に、少ない食料で生き延びる。

そんな底辺の毎日を過ごす姉を見事に演じ切った山崎は、「第48回報知映画賞」新人賞にノミネートされた。

NHKはベテランであろうが新人であろうが、演技力のない俳優を抜擢することはない。まだ経験の少ない山崎を今回「宙わたる教室」で重要な役に指名したのは、さすがNHKの鑑識眼が高いことを意味する。

山崎七海の今後の活躍がますます期待できそうだ。

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