2024年衆院選で7議席から28議席と4倍に議席を増やした国民民主党の玉木代表が、一躍「時の人」となり、毎日ニュースをにぎわせている。
11月11日には特別国会で首相指名が行われるのですが、野党がまとまれば「政権交代」になる。(野党が過半数を上回っているから。)
だが、玉木さんの思惑はどうやら「政権交代」ではないということ。どういうことだろうか?この記事で詳しく説明する。
政権交代は無理なのか?
2024年10月27日投開票の衆議院議員選挙では、下の図のように、野党250、与党215という結果で、与野党逆転となった。233議席以上確保すると「過半数」となる。自公民は215なので、「過半数割れ」となった。
普通に考えれば、「野党がまとまれば過半数を超えるから、与野党逆転で、政権交代だよね?そうすれば?」と思うし、そう考えた人も多いのではないだろうか。
でも現実は、そうはならない。なぜでだろう。理由は大きく3つあると考えられる。
玉木さんが立憲を嫌っている
もともと玉木さんは「民主党」から枝分かれして「国民民主党」を立ち上げた。東京都知事の小池さんが「希望の党」を立ち上げ、そこに合流するという理由だ。
合流しないで独自で立ち上げたのが、枝野さんの「立憲民主党」だ。民主党の内紛だ。
内紛というのは、深くしこりを残す。兄弟げんかのようなものだ。かくして、玉木さんは立憲が大嫌いなのだ。それを裏付けるのが、今回の衆院選直後に行われた国民民主党の定例会見だった。
詳しくは別の記事で解説するが、ジャーナリストの佐藤章さんが「首班指名で石破さんと野田さんの決選投票になるのは明らかだが、なぜ野田さんの名前を書いて政権交代をおこさないのか」と問われたとき、玉木さんはこう答えている。
「小選挙区で、われわれが候補を立てた後に、立憲が割り込んできた。そのせいで、あやうく落選しそうになった。そんなことをした立憲民主党の代表、野田佳彦の名前を書けとはとても言えない」
これが本音でしょう。国政にあたっても、過去の恨みつらみのほうが勝つということです。まさに「骨肉の争い」と言ってもよいでしょう。
来年の参院選をにらんで、どっちつかずの状態
国民民主党は、今は「こっちが賛成しなければ、与党さんの法案は何も通らないよ」という強気の姿勢を見せている。
数の上では過半数に届かない自公は、何をするにも国民民主党に賛成してもらわなければ何もできない状態に追い込まれている。
今は自民に恩を売っておいしい思いができる国民民主党だが、来年の参議院選挙でも与党が過半数に届かない状態であれば、すばやく立場を「野党寄り」にするつもりなのだろうか。
国民民主党、つまり玉木雄一郎は、将来は自分が首相になることをあきらめてはいない。そのために、どちらにつけば有利なのかを見定めている。
野党連合を達成したとしても、自分が首相に任命されることはないだろう。だが、自民にべったりでは、国民に愛想をつかされたら終わりだ。
玉木代表は「こうもり」のように、あっちへ行き、こっちへ行き、変貌自在なのだ。
「減税」をうたっていないのは立憲民主党だけ
実は、野党はどうしたって一枚岩になれない大きな理由がある。それは「減税」だ。
今回あらためて調べてみたが、野党で「減税」を公約に入れていないのは立憲民主党だけだ。
国民民主党、日本維新の会、れいわ新鮮組、共産党、社民党、保守党、参政党といった野党は、のきなみ「減税」「消費税減税」「消費税撤廃」をうたっている。
減税しないのは立憲民主党だけだ。これはもう、与党と言っても良いのではないか。
立憲民主党は、直近の国政選で訴えた消費税減税は盛り込まず、給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を明記した。
読売新聞オンライン
特に「消費税減税」は国民の悲願と言ってもよいが、立憲民主は「給付付き税額控除」という、何やらややこしいことを言っており、国民には理解ができないし、納得もできない。
国民の生活を少しでも上向きにすることを考えているならば、消費税減税は必須だろう。そうすれば景気も上向くだろうし、税収もプラスに転じるのは間違いない。
それを頑固に公約に盛り込まない立憲民主党とは、国民民主党だけではなく、他の野党も組むことはできないのが実情だ。
野党が一枚岩になれないのは、玉木さんが理由ではなく、もっと大きな理由は「立憲民主党」のだらしなさ(財務省寄りの考え方)によるものである。
もはや、立憲が与党と組むのが一番分かりやすい構図かもしれない。そうすれば財務省も胸をなでおろすだろう。
野党が過半数でも政権交代が実現しない理由:まとめ
政権交代がおこらない理由は、大きく分けて以下の3つが考えられます。
1.玉木代表と立憲民主党の対立
玉木雄一郎代表が立憲民主党を嫌っており、立憲との協力を拒んでいる。過去の内紛が原因で、個人的な感情が政治的決断に影響を与えている。
2.国民民主党の中立的立場
国民民主党は自公政権と対立せずに強気の姿勢を見せつつ、どちらの陣営とも手を組む可能性を残している。来年の参議院選挙を見据えて、状況を見定めている状態。
3.「減税」をめぐる野党の不一致
立憲民主党は他の野党と異なり、消費税減税を公約にしていない。これが野党間の一致を阻害し、協力を難しくしている。