パリ・オリンピック第9日目の3日に、柔道の男女混合団体戦が行われました。決勝で日本はフランスと対戦し、3勝3敗の同点となり、代表戦に持ち込まれました。その際の抽選方式の「電子ルーレット」がSNSで「ズルーレット」や「インチキスロット」などと話題になりました。
柔道混合団体の結果:日本はフランスに決勝で敗れ、銀メダル
パリオリンピックの柔道競技混合団体決勝が3日にシャンドマルス・アリーナで行われました。第1シードの日本はフランスに3-4で敗れ、銀メダルを獲得しました。
前回の東京五輪では、決勝でフランスに敗れて金メダルを逃した日本。今回は”完全アウェー”の中で金メダル獲得に挑みましたが、再びフランスに敗れる結果となりました。
ここで、内村航平さんがすばらしいコメントをしているので、こちらにご紹介します。
内村航平さん
— 700yard (@Ffi5a700yard111) August 3, 2024
僕も団体で銀メダルだったら
すみませんでしたと言うと思うし
言ってきたと思います
見ている日本の皆さんが
銀メダルでもいいんだよ
良く頑張ったよと
日本の皆さんに言ってほしいな
と思います。それだけで選手は心が
救われると思います👏
#柔道団体決勝 pic.twitter.com/guTpoGqDH2
ほんとうに、そのとおりですよね。オリンピックに出るだけですごいことなんですよ。それで、銀じゃダメっていう人って何なんでしょうね。自分は何も成し遂げていないのに?
オリンピックに出場した選手、全員に拍手を送りたいです。私たちは、彼らの競技を見て、どれほど勇気づけられたことか。
柔道混合団体、日本VSフランス、どんな試合だった?
男子90キロ級:銀メダリスト・村尾三四郎が登場。一本で勝利を収める
女子70キロ超級:髙山莉加が登場。階級上の相手に大内刈りで技あり。日本が2連勝した。
男子90キロ超級:斉藤立が登場。金メダリスト・リネール相手に粘りを見せるも、最後は内股でやられ敗れた。
女子57キロ級:48キロ級の金メダリスト・角田夏実が登場。2階級の差があるが、得意の巴投げが決まり、一本勝ち。
男子73キロ級:66キロ級の阿部一二三が出場。オリンピック連覇の阿部は、一つ上の階級相手に一本で敗れた。
女子70キロ級:髙市未来が出場。女子63キロ級の銅メダリスト・アグべニェヌに小内刈で技ありを奪われ、敗れた。これで日本3勝、フランス3勝のタイとなった。
電子ルーレット(と呼ばれるコンピューターソフト)で、次の試合は「90キロ級」の対戦が選ばれ、斉藤立が再びリネールと対戦。粘りを見せた斉藤だったが、フランスの英雄・リネールに大内刈で一本を奪われ、敗れた。
混合団体は階級の異なる男女各3人の計6人が戦い、先に4勝したチームが勝ちということになります。
3勝3敗で並んだ場合は、抽選で選ばれた階級の選手の対戦でチームの勝敗が決まるルール。この抽選方法に、今回は「電子ルーレット」という怪しい手法が使われたので、「おかしいのではないか?」という声が高まっています。
ルーレットでリネールに当たった時は「田中 タイキック」を思い出した。
— 飛永翼(ラバーガール) (@tobinaga) August 3, 2024
電子ルーレットとは?
下の電光掲示板が、すごい勢いでグルグルと下方に向かって回る…
日本選手もかたずをのんで見守ります。
選手たちが見守る中、なんと+90 kgで止まりました。
え?というか、ありえない、というか、やっぱり、というか。おそらく、これをリアルで見ていた人たちは同じことを考えていたと思います。日本人は「これはひどい」、フランス人は大歓声でしたね。これがアウェーの洗礼だとしたら、スポーツって何なんだろうと思いました。
闘いにいどむ斉藤選手。隣では必死に阿部一二三選手が背中をたたいて激励しています。見ているこちらも必死です。斉藤選手も、「俺がやる!」と闘志がみなぎっていました。
こちらはリネール選手(フランス)。大歓声はすべて自分のためだと確信しているような後ろ姿です。
混合団体は、異なる階級の男女各3人、合計6人が戦い、先に4勝したチームが勝利となります。もし3勝3敗で並んだ場合は、抽選で選ばれた階級の選手の対戦によってチームの勝敗が決まるルールです。
フランスとの決勝戦で3勝3敗となると、会場の天井付近に設置されたスクリーンに、階級の数字が記されたルーレットのような画面が表示されました。
階級の数字が回転し、「+90kg」で静止しました。これにより、斉藤立選手と、パリ五輪の男子100キロ超級で金メダルを獲得した地元の英雄、テディ・リネール選手との代表戦が決まりました。
その抽選方法が、今回フランス大会で採用された「電子ルーレット」です。専用のコンピューターソフトだということですが、こんなのアリ?とネットでは騒動になっています。
電子ルーレットはいつから使われていた?
IJF=国際柔道連盟によりますと、今大会の抽せんにはコンピューターの専用のソフトが使われていて自動で階級が選ばれるということです。また、このシステムはすでに国際大会では数年前から使われているということです。
SNSでは疑問の声が大噴出
ルールでは専用のコンピューターソフトによって行われているとされていますが、日本のSNSでは抽選方式に疑問の声が大噴出しています。
「本当に抽選かどうか疑っちゃう」
「こんなデジタルルーレットなんてどうにでもできる」
「忖度しやがったな」
「さすが開催国」
「絶対リネール来ると思った」
「できすぎやん」な
どと怒りの声が続々と上がっています。
フランス柔道連盟の言い分
今回の「電子ルーレット」に対して、国際的にも反発の声が相次ぎました。
こうした指摘を受け、フランス柔道連盟のステファン・ノミス会長は、母国のラジオ局『RMC Sport』などで「ルーレットのボタンを押すのは我々ではなく、国際柔道連盟が行っていることです」と反論しました。
さらに、「不正がないようにIOC(国際オリンピック連盟)が管理しており、すべてのカテゴリーに選ばれる可能性がありました。そして、ルーレットがテディに当たったのです。彼ら(日本)が本当に不運だったと言うしかありません」と強調しています。
いやいや、だから公正だったとは言えないでしょ
電子ではなく、アナログ方式で決めてほしい
電子でやるものは、どうしたって作為的にやろうと思えばできてしまいます。海外のオンラインカジノだって、最初は相手に勝たせて、あとは胴元が勝つようにできています。だから、結局「負け」は決まっているのです。
もういいかげん、裏で操作していることを疑われるような方法はやめてほしいと思いますね。選手がかわいそうです。
日本選手は、胸をはって堂々と帰ってきてほしいですね。
サッカーでの抽選方法は公平
サッカーのワールドカップなどで行われる組み合わせ抽選では、ボウルに参加国名が書かれた紙を入れて、それを引く形式が採用されています。
ネット上では次のような声が上がっています。
「サッカーW杯のように不正がないことを示すため、アナログの抽選方式にすべきです」
「デジタル抽選はそもそもおかしいです。ワールドカップはアナログですし」
「みんなの前で空の箱に一枚ずつ抽選の紙を入れて、それを取り出す形式なら納得できます」
「サッカーのように中身が見える透明な抽選箱を使えばいいのに」
と、次回以降のアナログ抽選を望む声が相次いでいます。
日本とフランス、試合後の姿勢がこんなにも違う
フランスは、勝利を決めてお互いに握手をしたあと、畳から降り、すぐにみんなで輪になってジャンプして喜んでいます。大騒ぎしてから、整列して畳に向かって礼をします。順序が逆なんですよね。
日本人の選手たちは丁寧に並んで、オリンピックの畳に向かって一礼。私たちは、試合の勝ち負けよりも、こういうところが大好きなんですよね。日本人て素晴らしい、日本に生まれてよかった、そんな喜びを感じるのです。
リネールに勝つことができなかった斉藤選手。突っ伏して泣いています。泣かないでほしい。リネールはオリンピック出場3回目。斉藤選手は初出場です。まだまだこれから。ロス五輪があります。
斉藤は、顔を上げることができません。その斉藤を、日本選手が慰めています。お前のせいじゃない、よくやった、と。
もちろん、日本が勝ってほしいのは山々です。でも、精一杯力を出し尽くして、正々堂々と負けるならば、その負けにすがすがしさを感じます。自分たちもがんばろうと、明日から生きる勇気をもらえます。
団体戦で銀メダルを授与された後、全員で撮った写真。かっこよすぎる!ケガで出場できなかった「柔道女子78キロ超級の素根輝(そね あきら)さん」も一緒にパチッ!もちろん、彼女にも銀メダルは授与されました。
ありがとう、柔道ニッポン!堂々と日本へ帰ってきてください。