2024年、日本相撲界に大きな衝撃が走りました。史上最多45回の優勝を誇る元横綱・白鵬（現・宮城野親方）が、日本相撲協会に退職届を提出したのです。
長年にわたり角界の第一線で活躍し、「相撲界の象徴」とも言える存在だった白鵬が、なぜこのタイミングで相撲協会を離れる決断を下したのでしょうか。
その背景には、弟子による不祥事による部屋の閉鎖、後輩親方・照ノ富士との確執、そして相撲協会との間に生じた深い溝がありました。本記事では、白鵬のこれまでの軌跡を振り返りながら、彼が退職を決意するに至った理由を詳しくご紹介します。
白鵬はなぜ相撲協会を退職したのか？
史上最多45回の優勝を誇り、長年にわたって大相撲を支えた元横綱・白鵬が、日本相撲協会に退職届を提出しました。
その背景には、弟子の不祥事による部屋の閉鎖、後輩・照ノ富士との確執、そして協会からの冷遇や再興の道を閉ざされた理不尽な現実がありました。
なぜ偉大な功労者が、相撲界に別れを告げなければならなかったのでしょうか。白鵬の決断の裏側に迫ります。
偉大な横綱の「角界訣別」決断
相撲界の生きる伝説、元横綱・白鵬（現・宮城野親方、40）がついに日本相撲協会に退職届を提出した――。
このニュースは相撲ファンのみならず、スポーツ界全体に大きな衝撃を与えました。45度の優勝、63連勝、一人横綱として長きにわたって土俵を支えてきた不世出の力士が、なぜこのタイミングで協会を去る決断を下したのでしょうか？
その背後には、協会との確執、後輩との因縁、そして外国人力士としての苦闘の歴史が横たわっていました。
白鵬翔とは何者か？ 〜史上最強横綱の歩み〜
2000年、15歳で単身モンゴルから来日。身長175cm・体重68kgと「相撲向き」とは言いがたい体格で、どの部屋からも声がかからなかった少年を拾い上げたのが先代宮城野親方でした。
その後、身長・体重ともに成長した白鵬は才能を一気に開花させ、2007年に横綱昇進。以降、「一人横綱」として長年角界を支え続け、通算45度の優勝記録は今も破られていません。
東日本大震災後には被災地を訪れ、土俵での強さとともに人間的な優しさでも人々の心を打ちました。
宮城野部屋閉鎖と処分の波紋
ところが2023年、白鵬が師匠を務める宮城野部屋の弟子による暴力事件が発覚。白鵬は2階級降格、年寄序列の最下位に。部屋は無期限閉鎖、弟子たちは伊勢ヶ濱部屋へ転籍という厳罰が下されました。
白鵬はこの処分を受け入れ、「先輩親方のもとで修行し直す」と耐え、誠実に協会職務をこなしてきました。しかし、1年が経っても部屋の再興は許されず、彼の努力は報われないまま月日が過ぎていきます。
因縁の後輩・照ノ富士の「師匠」昇格が決定打
追い打ちをかけたのは、伊勢ヶ濱親方の定年に伴う照ノ富士親方（元横綱）の部屋継承。
白鵬と照ノ富士には、かつての貴ノ岩暴行事件をはじめとする確執の歴史があります。現役時代の一戦では、白鵬が全勝優勝を決めた際にガッツポーズをし、横審から厳しく批判された背景にも照ノ富士との因縁が存在していました。
「1日たりとも照ノ富士の下にはつきたくない」
— 白鵬の本音
これはプライドの問題というだけでなく、理不尽な処遇と確執の中で働かされる未来が明確になったという現実への、限界のサインでもありました。
協会の“イビリ体質”とモンゴル出身者への冷遇
今回の白鵬退職劇の背後には、相撲協会のガバナンスの問題、そして外国人親方への無言の圧力があるという声も。
白鵬は「モンゴル出身の親方は認められないのか」と漏らしたとされ、モンゴル出身親方による部屋再建を協会が拒否していた疑念が浮上しています。
さらに、他部屋で起きた不祥事に対する処分の“甘さ”との比較も。たとえば、二所ノ関部屋での未成年飲酒問題には「厳重注意」だけ。この“ダブルスタンダード”に、白鵬サイドは不満を募らせていたとされます。
「白鵬杯」など独自活動へ…角界外から相撲を変える決意
白鵬はすでに国際相撲大会「白鵬杯」を主宰するなど、相撲のグローバル化を視野に活動の場を広げてきました。相撲を愛し、育て、世界に発信しようとする白鵬の情熱は、もはや協会内にとどまらないのかもしれません。
「白鵬は、相撲協会の中から理想を実現する道が閉ざされたと感じていた」
友人の証言
終わりに：白鵬の退職は「相撲界の損失」なのか
相撲界はこの数年で貴乃花、朝青龍、日馬富士といった大横綱たちを「制度の外」へと追いやってきました。そして今、またひとり、歴史に残る横綱が相撲界を去ろうとしています。
白鵬の退職は、単なる個人の問題ではありません。協会の運営体質、後進育成、外国人力士への姿勢といった根深い構造問題が露呈しているのです。
今後、白鵬がどのような舞台で相撲に関わっていくのか。注目されるのは、相撲協会から“自由”になった新たな白鵬の挑戦です。