パリ五輪の新種目「ブレイキン」。日本からはメダルを期待される4人の選手が出場します。なかでも、最年長の福島あゆみ選手は金メダルの期待大。
この記事を読めば、福島あゆみ(AYUMI)選手のダンスがなぜ世界でトップクラスなのかが分かります。
速報:AYUMI選手は、残念ながら準々決勝で敗退しましたが、そのキレッキレのダンスは世界を魅了しました。技だけではない、経験からくる魅力を感じました。
41歳のAYUMI選手はブレイキン最年長!
10代、20代の選手が圧倒的に多い中、なんとAYUMI選手は41歳。
ちなみに、日本代表の他の選手は、湯浅亜実(AMI)選手25歳、半井重幸(ながらいしげゆき):シゲキックス(Shigekix)22歳、大能寛飛選手(Hiro10)選手20歳です。ちなみに、ブレイキンのメンバーは皆ダンサーネームを持っており、競技の際はその名前で呼ばれます。Hiro10はヒロテンと呼びます。
3年前の世界選手権を制した41歳の「AYUMI」(アユミ)、福島あゆみ選手は多彩なオリジナル技を持ち、しゃがんで手をつき膝など足全体を使って見せる足さばきを得意としています。
パリ五輪のAYUMIのブレイキン結果:わかりやすく
パリ五輪の新競技、ブレイキン女子で世界ランキング4位の福島あゆみ(ダンサー名=AYUMI、41)が準々決勝で敗れ、メダルを逃しました。
勝てば準決勝で湯浅亜実(同=AMI、25)との対戦だったが、サルトジョー(同=India、オランダ)に1―2で敗れ、日本人対決とはならなりませんでした。
試合後のインタビュー:足をつっていた
―今のお気持ちいかがですか。
「すごい楽しめましたけれど、最後はやりきれない気持ちなので、また次に向けて頑張ります」
―オリンピックに臨むにあたって、どのような気持ちで入ってこられましたか。
「オリンピックですけれど、私にとっては1つの大きな大会という気持ちで来たので、そういう面ではそこまでいつもとは違わない気持ちでした」
―結果的にはギリギリでしたけど、いかがでしたか。
「もうあの時点で負けているようなものだったので、今日はトップエイトに残れてラッキーだったなと思います。まだまだだなと感じました」
―会見に時間制限がありましたが、理由があるのですか。
「ちょっと私が怪我をして足が痛いです。今から治療を受けます」
―膝ですか。
「膝です。左足がつってしまって」
膝を痛めていたAYUMIさん。それでも、会心のダンスだったと思います。私たちを魅了してくれました。本当にお疲れ様でした。ケガを早く治されますよう。そして、少しゆっくりしてくださいね。
パリ五輪ブレイキン女子の日程と時間
ブレイキン女子予備予選
開始:8月9日 (金) 23:00
放送:日本テレビ系列 17:00
【1次リーグ D組 第1試合】
【1次リーグD組 第3試合】
【1次リーグD組 第5試合】
ブレイキン女子準々決勝第1試合
開始:8月10日 (土) 3:00?
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子準々決勝第2試合
開始:8月10日 (土) 3:07 福島あゆみ
放送:日本テレビ系列 17:00
AYUMIさん、準々決勝で善戦しましたが、2-1で敗退しました。でも、年齢など関係ないということを私たちに教えてくれました。とても元気をもらいました。ありがとう!そして、お疲れ様でした。
ブレイキン女子準々決勝第3試合
開始:8月10日 (土) 3:14
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子準々決勝第4試合
開始:8月10日 (土) 3:22
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子準決勝第1試合
開始:8月10日 (土) 3:45
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子準決勝第2試合
開始:8月10日 (土) 3:52
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子3位決定戦
開始:8月10日 (土) 4:15
放送:日本テレビ系列 17:00
ブレイキン女子決勝
開始:8月10日 (土) 4:23
放送:日本テレビ系列 17:00
AYUMIのパリ五輪でのダンス!とってもかっこよかった。
AYUMIさん、41歳でこのキレキレなダンスやばくね?#ブレイキン pic.twitter.com/NGGU12FXQh
— ゆ@ (@sa_ku_taro) August 9, 2024
AYUMIのプロフィール
AYUMIは2023年世界ブレイキン選手権で見事準優勝を果たしました。
京都府出身で、姉の影響でブレイキンを始め、競技歴はおよそ20年に上ります。彼女は多彩なオリジナル技を持ち、しゃがんで手をつき、ひざなど足全体を使った足さばきを得意としています。
5月に中国で行われたアーバンスポーツのパリオリンピック予選シリーズ第1戦で優勝し、パリオリンピックの代表選考レースでトップに立ちました。
しかし、その後はけがの影響で踊れない時期もありましたが、「最後まで諦めずに自分が持っている動きを練習してきた。自分らしく踊りきることが目標だ」と第2戦に向けての意気込みを示しています。
AYUMIがブレイキンを始めたきっかけは「ダイエット」!
AYUMI選手がブレイキンを始めたのは21歳。そのきっかけというのが、「カナダに留学して10kg太ってしまった」ということなんですね。メープルクッキーを食べまくっていたそうです。
ちなみに、筆者の娘もカナダへ短期間でしたが留学して、太って帰ってきました。ほっぺたがパンパンになって、迎えに行った成田空港では最初自分の娘とは思えませんでした。
AYUMIは、カナダから一時帰国していた約3か月の間、姉が練習する地元の京都駅前などで汗を流しました。(ブレイキンをやる場所は限られているので、一流選手になっても駅の構内や周辺で練習することは普通にあります。)
最初のうち、体は悲鳴をあげました。ですが、コツコツとやるうち、できる技が増えるのが次第に喜びへと変わりました。
ダンスに言葉はいりません。性別や年齢、国籍も関係ない。色々な人が集まって踊り、教え合うのがブレイキン。だから、ライバルも皆仲がよい。その点はスケートボードに似ていますね。
カナダに戻ってからも、現地の人とダンスに明け暮れる毎日でした。3年ほどで帰国すると、姉のチームに入りました。
頭角を現したAYUMI、そして五輪へ
日本に帰ってきてからのAYUMIは、日本語学校の職員や英語講師を務めながら、技を磨き、活躍の舞台を世界に移していきます。米国やオランダ、ベルギーなど、数々のコンテストで好成績を収めることになります。
そしてついに、2020年12月、パリ五輪にブレイキンが正式競技として採用されることが決定しました。
AYUMIが思ったことがあります。「ブレイキンはスポーツ?ブレイキンはカルチャーなのでは?」
その思いは、パリ五輪で金メダルを獲得したスケートボードの堀米優斗選手にも通じるものがあります。彼も、「もともとカルチャーだったスケートボードを愛していたのに、スポーツとしてオリンピック種目になったときは、どうなんだろうと思った」という趣旨のことを発言しています。
カルチャーとしてのブレイキンやスケートボードは、勝敗を決めるものではないからですね。
当時、AYUMIは37歳になっていました。すでに世界でブレイキンの第一人者として認められる存在に。
ですが、オリンピック競技となると、若手がどんどん台頭していく中、横一線で始まる選考レースに自分も挑むことになります。
AYUMIの心は揺れました。
覚悟はあるのか?と姉に問われ
そのとき、すでにブレイキンの日本代表スタッフに就任することになった姉の梨絵さんに相談すると、こう言われました。
「惨めな思いをしたり、プライドをズタズタにされたりすることがあるかもしれない。腹をくくれるの?」
AYUMIは覚悟を決めます。「ダンスを見てもらうのは一緒。きっと応援してくれる人は増えるはず」と。
AYUMIの独創的なダンススタイル
ステージで争う相手には10歳代のダンサーも多いのがブレイキン。彼女たちの力技やスピード感には到底太刀打ちできるものではありません。
ではなぜ、AYUMIは勝ち残れたのか。それは、彼女特有の「独創的なスタイル」があるからです。
AYUMIのダンスは、すごく面白い。変な動きとも言えますが、ブレイキンでは「変」は誉め言葉になります。だって、そんな動き誰も真似できないから。
「まるで掃除をしているみたい」、そんなふうに仲間から言われて着想を得た「雑巾がけ」という動作。このダンスはオリンピックで披露してくれるでしょうから、しっかり見て楽しみたいですね!
AYUMIのダンスは、独創的なスタイル、それは、人生経験から来ていることも否定できません。技をいくら練習したところで、誰でも自分だけのダンスが生み出せるとは限りませんから。
こうして、AYUMIは自分の年齢を「有利」に活かしながら、これまで培ってきた豊富な技、そして滑らかな踊りを武器に、パリ五輪でバトルします。
ブレイキンは技だけを競うものではありません。どれだけ聴衆を惹きつけることができるかが、大きなポイントになります。
AYUMIのダンスのすごさは、聴衆を自分の味方につけてしまうところ。
そんなAYUMI選手のパリ五輪でのダンス、ぜひ楽しみましょう!がんばれAYUMI!がんばれニッポン!