失敗した。あれが破れてしまった。三日以内に病院に行けばなんとかなる?ネットで調べてクリニックを訪問した福だったが…
行けなかった病院
一度は受付まで行った。でも、やっぱり引き返した。病院から親に連絡が行ったらどうしよう。そんなことを考えても仕方がない。行くしかない。
しかし、日本はゴールデンウィークに入っていた。今日は土曜日。午前中で診断は終わり。あとはずっと休みだ。これじゃ、間に合わない。福は呆然とした。
地区予選
宝は陸上部の予選大会に来ていた。だが、福のことが気になって仕方がない。今日は土曜日、診療は午前中までだと分かっている。福は病院へ行っただろうか。
電話をしたが、何を話せばよいのか分からない。二人の拾った猫、「はじめ」のことを話したりして、オレ、何やってんだろうって思ったりした。
福にすべてを任せてしまったオレ。だから、それを振り切りたくて、追い抜きたくて、スタートを切った。
母と兄
福の母は、夕飯の支度をしていた。福には大学生の兄(幸・野村康太)がいる。母が唐揚げの用意をしているのを見た幸は、「オレがいないのに、唐揚げ?休もうかな、バイト」と、いたってのんきな兄だ。
言い出せなかった二人
一方、福は自分の部屋でネット検索をしまくっていた。どうやって受信するか。アフターピルはどうすれば手に入るのか。わからないことだらけだった。
だが、どのサイトを見ても、未成年の場合、親のアカウントや同意が必要だと書いてある。
福は宝に、病院へ行けなかったことをメールしようとしたその時、「1500m、予選通った」と宝からメールが届いた。福は「明日の5000mも絶対いける」と返信した。
途中まで書いたメールは、削除してしまった。宝が大事な予選大会でがんばっているときに、余計な心配はさせたくなかった。
宝も、「病院、行けた?」と送ろうとしていたが、福からの励ましのメッセージと、明日から名古屋のおばあちゃんの家へ行くことを知り、文面を削除してしまった。
お互いに、言いたいこと、聞きたいことを言い出せなかった。
普通の生活に戻るが…
宝は男。だから、こういう時何もできない。自分はやることやるだけだ。予選会、今はそれに賭けよう。福のことは気になるけれど。
宝と母
宝が帰宅すると、母がソファで寝ていた。いつものことだ。冷蔵庫を開けると、母が起きた。母はそっと宝の予選会を見に行っていたのだが、宝にはバレバレだった。
母は介護士として働いている。これから夜勤だ。
宝は駅伝を目指していたが、私立大学の学費がバカにならないので、受験するかどうか迷っていた。母は応援しているのだが、家の経済を考えると、甘えてばかりいられないことも、宝にはわかっていた。
唐揚げの日
福のお母さんが唐揚げを作るのは、誰かの誕生日、お祝い、そして、誰かが落ち込んでいる時だ。もしかして、私が落ち込んでいること、わかってる?
無理、絶対無理。お母さんに、あんなことして、失敗したなんて、絶対言えない、無理。だから、「やっぱ、お母さんの唐揚げ、おいしいーい!」としか言えなかった。
母の気持ち
「何かあったの?なんで落ち込んでるの?」と聞きたかったが、聞けなかった。落ち込んでいるのは分かっているが、理由を言いたくないから言わないのだ。だから、あえて聞かないようにしていた。それが福の母。
もしも聞かれたくないのに、私が聞いちゃったら、それからは落ち込んでるときも、わざと明るくしたりして、そんなふうになるんじゃないかと。
でも…やっぱり…
福の母は、何かを言いかけて、やめた。
なかった思い出
福は、明日のおばあちゃんの家へ行く支度をしていた。ふと、クローゼットの中の箱を取り出した。この箱は、「なかったことにする想い出」が入っている。
母からもらった2000円。花火大会のとき、「宝君なら、安心。楽しんでおいで。」と、母からもらった2000円だ。花火大会に行かなかった想い出。
ここに入れれば、なかったことになるような。そんなわけないのに。
登校日
ゴールデンウィークが開けた。久々の登校日。福が家を出ると、宝が待っていた。一緒に登校だ。
何も言えなかったし、何も聞けなかった。何もなかったように、福は宝と名古屋のお土産のお饅頭を食べながら歩いた。
「早く生理がこないかな」福は心の中で思った。
じゃあね、行ってきます。行ってらっしゃい。二人は別々の高校。なので、一緒に登校するのも途中まで。
「私たちには、特別なことなんておこらない。」
クラスにて
やっぱり無理だ、考えないようにするなんて無理、そう思いながら福はクラスに入っていった。
親友の矢沢望に、この前予定を合わせられなくてごめんと言った。
望が突然ハグしてきた。なんでだろう?なんでいきなりハグなんてするの?
5月16日
ずっとずっと、心も身体もいっぱいだった。それから1週間と二日後。
福はトイレで泣いていた。生理が来たと思ったときは、安心して涙が出た。
すぐに宝にメールで報告した。宝はホッとするあまり、しゃがみこんでしまった。
そして、二人は一緒に帰る。
「大丈夫だからね、もう。」って思ってた。あの時は。
あの時は…ってどゆこと?だって生理きたんでしょ?
第2話:あらすじと考察
この二人、こんな住宅地でチューとかして、いい加減にせーよって思いましたとさ!(と言いたくなる)
このドラマはフジテレビ11時から。2時間前の9時(月9)は「海のはじまり」が始まりましたが、そこでも大学生が妊娠!
春ドラマは「記憶喪失系」でしたが、7月の夏ドラマは「妊娠系」ですか?いやいや、それはマジで勘弁してください。見るのがつらくなるから。
ちょうど入れ替わりに終わったNHKドラマ「燕は戻ってこない」も代理出産モノだったし、本当にいろいろヤバいドラマでした。NHKのドラマ制作班は民放とは桁外れに「どんなテーマでもやってやるぜ」感がすごいです。
でもまあ、高校生で宝みたいな男の子は、まだ女性思いだから良しとしましょう。失敗しちゃったのはアレだけど、そのあと、ほかの男の子は「え?マジ?」とか言って逃げちゃう子もたくさんいるような気がする。みんな、何かあったときに自分のことのように心配してくれると思ったら、それは大間違いなんやよ。
男って、外面は偉そうにしていても、実はマジなときはオロオロしたり、逃げたり、小心者なんだわさ。(この前ブラックジャック見たので、ピノコの真似してみた)
ところで、生理ではない出血って、あるんでしょうか。あるならば、別の病気が心配ですね。婦人病はやっかいです。いずれにせよ、次の週が待ち遠しいです。