【エンジェルフライト】エピソード4:キャスト
海外で亡くなった人のご遺体を家族の元へ届けるため、国境を越え、あらゆる障害を乗り越えて、魂をも掴みに行くプロフェッショナル(国際霊柩送還士)たちの物語。
エンジェルハースのメンバーと家族: キャスト
伊沢那美(米倉涼子):エンジェルハースの社長
柏木史郎(遠藤憲一):エンジェルハースの会長
高木凛子(松本穂香):新入社員
柊秀介(城田優):遺体処置担当
矢野雄也(矢本悠馬):若手社員
松山みのり(野呂佳代):手続き担当
田ノ下貢(徳井優):運転手
足立幸人(向井理):那美の恋人(まだ謎に包まれている。行方不明)
伊沢航(織山尚大):那美の息子役・少年忍者/ジャニーズJr.
伊沢海(鎌田英怜奈):那美の娘役
高木塔子(草刈 民代):凛子の母親
エピソード4の特別ゲスト
スアン(リエン):縫製工場のベトナム人実習生。交通事故で亡くなる。
礼人(濱津隆之):車ごとスアンの遺体を奪い、立てこもる。
垣内(近藤芳正):工場長
竹森千人:妻が男と浮気してアメリカで亡くなった
高橋由美子:夫が女と浮気してアメリカで亡くなった
ベトナムからの実習生
日本には、毎年数多くの実習生がアジアから来ています。みな、希望を抱き、少しでもお給料の中から故郷の家族に仕送りをしようと、必死で働いています。
そんな彼女の話です。
トラックにはねられた少女
ある晩。仕事帰りだろうか、ベトナム人らしい少女が道をとぼとぼ歩いていた。涙がポロリとほうをこぼれ落ちたその時。トラックにはねられ、彼女は帰らぬ人となった。
凛子、母との確執はいつからか?
凛子は出社のため、バスに乗っていた。母親のことを考えていた。電話で「手術するの」と言われたときのことを。
「え?また?」
「あなたの同意書が必要なの。来るのがいやだったら書類を送るから、サインして送って。」
送られてきた書類にサインし、凛子はポスト投函すると、思いを振り切るように会社へ向かった。
エンゼルハース、一日のはじまり
エンゼルハースの事務所では、那美の勢いのある声が、朝一番で響き渡った。
「よーし、今日は忙しくなるぞ。まずはアメリカからご遺体が二体到着。それから、事故死したベトナム人は、凛子。」
凛子は答えた。
「はい。グエンティ・スアンさん。縫製工場にお勤めの技能実習生、22歳。火葬してお骨をベトナムに搬送することになっています。火葬場は、明後日の14時で押さえました。」
「警察は?なんて?死体検案書は警察にあるのね?」
「あ、すみません、聞いてません。」しまったという顔の凛子。那美の顔が突然険しくなった。
「聞いてない?あのね、死亡届っていうのは、その人の人生最後の大切な書類なんだよ!」
凛子に秀介たちのフォローさせ、那美と運転手の田ノ下は警察へ向かった。
「しかし、ベトナム人の娘さん、ご遺族に会えないのはかわいそうですね。」運転しながら田ノ下が言う。
「ベトナムにご遺体を送るより、こっちで火葬してお骨を送ったほうが安くすむからね。」と那美。
訃報を聞いたベトナムの家族
一方、娘の事故死の知らせを受けたベトナムの父親は、娘の写真を見ながら嘆き悲しんでいた。
希望に満ち溢れ、家族のために少しでも役立つようにと日本で技能実習生として働いていた娘。
まだ幼い弟や妹が不思議そうに見つめている。父親は、ただ彼らを抱きしめることしかできなかった。
警察で出会った男性
スアンの遺体を引き取りにきた那美は、警察の前で揉めている男性に気づいた。スアンに会いたいと希望しているのだが、家族でないので無理だと断られ、困っている様子だった。スアンの工場で一緒に働いていたようだ。
那美は男性を後に残し、警察所内へ入っていった。
アメリカからご遺体がお二人分運ばれてきますが
さて、今日はアメリカから帰国するご遺体が2体ある。それ自体が問題なのではなく、その二人の関係が大問題だったのだ。
アメリカから搬送されてくる二体の遺体
一方、エンゼルハースではこれからお迎えするアメリカからの二体の遺体について、ネット配信の記事で調べていた。
「梶原誠二郎さんと、もう一人は大久保里美さん。」
「ツアーでよりによって、二人も亡くなるなんてね。」
「あれ?これ、保険会社からきたメールなんですけど、亡くなった二人、同じホテルに泊まってますね。」
「二人は知り合いなのか?」
「いえ、違うみたいです。二人とも出張中ですが、別々の会社ですし。」
「出張中に仲良くなったとか?」
「これ、不倫旅行じゃない?」と、噂好きの松山みのりが突然叫んだ。
「これ、それぞれの家族、知らんわな。」
「二人とも、同じ便で帰ってきますよ。」
これはまずいことになると、スタッフは頭を抱えた。
那美はスアンの遺体を確認する
一方、那美は警察署内でスアンの遺体と対面する。死体検案書と遺留品を確認した那美は、スアンのバッグにアニメのカンバッジがついているのを見つけた。
一年前、ベトナムに幼い弟と妹を残し、心配する父親にがんばってくるねと別れを告げ、意気揚々と日本へ来たスアン。
一年後に、遺骨になって戻るとはだれが予想していただろう。こんなに笑顔が輝いていたのに。希望に満ちあふれていたのに。
工場へ寄ってくれないかと男性から頼まれる
スアンの遺体を警察署から搬出した那美は、先ほどの男性から「工場へ寄っていただけませんか?」と頼まれた。とまどう那美だったが、田ノ下から「いいじゃありませんか、寄ってあげましょうよ、どうせ通り道だし。」と言われて、男性の頼みを引き受けることにした。
男性は後ろの座席に座り、出発した。
空港で、異なる遺族同士が鉢合わせ
空港では、凛子と矢野が遺族の家族を待ち受けていた。
「梶原様でしょうか?」
「大久保様でしょうか?」
二人はそれぞれの遺族に説明を始めた。この時点で、お互いのことがまだわかっていないのが幸いだった。
修羅場にならないように、矢野と凛子は遺族に説明を始めた。(もちろん別々に。)
「ご遺体はこれから、検視のために、大学病院にお連れすることになっています。お疲れでしょうから、ご自宅でお待ちいただければ、ご遺体をご自宅までお連れいたしますので。」
はい、わかりましたと言ってもらえれば万々歳だったのだが、二人とも「いえ、一緒に行きます」と言った。
さて困った凛子と矢野。バレるのは時間の問題だった。
スアンの遺体が工場へ到着
エンジェルハースの車がスアンを乗せて、彼女が働いていた工場へ到着した。すぐに出てきたのは工場長だった。
工場長は、車から出てきた男性に向かって「なんだ、お前か。辞めたんじゃなかったのかよ。」とそっけなく言った。あきらかに不満そうだ。
さらに工場長は、車の中にあるスアンの遺体袋を指さして言った。「なんだそりゃ?」
「スアンです。」
「誰だって?」
「事故死したスアンです!」
「なんでここに連れてきた?」
那美は、二人のやりとりを聞き、驚いていた。
「誤ってもらえませんか?スアンに謝ってください!」男性はありったけ大きな声で工場長に言った。工場からは大勢の労働者たちが、何事かと外に出てきていた。
男性のほうを向いて「あの人、気持ち悪い人」「ストーカーよ」という声も聞こえてきた。
と、突然、男性は車に無理矢理乗りこみ、倉庫に車を入れてシャッターを閉めてしまった。立てこもり事件発生である。
那美や工場長はなんとかして開けようとするが、こうなるとどうすることもできない。
W不倫が明らかに
大学病院では、二人の遺族が気まずそうに解剖が終わるのを待っていた。突然、男のほうが頭を下げた。
「申し訳ありませんでした!実は、うちの妻がお宅のご主人とおつきあいしていました。」
ちょうど大学病院にはエンジェルハースから会長をはじめ、みのりや秀介も駆け付けたところだったが、この場面を見て全員凍り付いていた。完全に修羅場になると。
女性は二人が検視されている手術室にいきなり入っていき、自分の旦那のスマホの画面を開いた。
「この人が浮気なんてするはずない。」
ところが、出てきたメッセージは相手の女性との浮気を決定づけるものだった。
「殺してやる!」と旦那の首を絞める女性。(すでに死んでいるのに)
検視する場は、完全に修羅場と化していた。
何か事情があると察した那美
那美は窓から男性に声をかけた。男性は「スアンはこの工場に殺されたんです。このまま火葬されるなんて。」
「で、どうするつもり?」
「スアンの未払いの給料を払うように、社長に言ってください。」
男性は震える手で、泣きながら袋のファスナーを開け、スアンの顔を見た。傷だらけになったスアンの顔が現れた。
何か事情があると察した那美は、工場の女性たちに「ちゃんとお給料をもらえてる?」と聞いてみた。「もらえてません」との返事。さらに「けがをしたら辞めさせられる」とも。
どうやらひどい待遇のようである。
アニメを愛していたスアン
2か月前のこと。スアンはノルマが終わるまで帰れなかった。一人だけ残業だ。
夜も11時を回り、スアンは背伸びをしながら、近くに置いてあったスケッチブックを手にした。アニメが何ページにもわたり描かれていた。スアンはたちまち笑顔になった。
スケッチブックは男性のものだった。男性は漫画家志望。なかなか芽が出ないで腐っていたが、スアンに絵をほめられて、やる気がみなぎってきた。
スアンはアニメが大好きだった。仕事で残ったハギレでアニメの洋服を作ったこともあったと、スアンの同僚から聞かされた。
上のデザイン画からスアンが作ったアニメの衣装がこれだ。なんてかわいい!今から一か月前のことだった。スアンはそばにいた男性に、「私もアニメの仕事、夢です。私も、あなたのように描けるようになりたい!」と言った。
男性は、自信もなく、やる気の出なかったアニメを、またがんばることにした。毎晩疲れ果てた身体にムチ打って、描くことに全力を尽くした。毎晩毎晩、ひたすらペンを走らせて、夢中になって描き続けた。
那美、社長と交渉する
那美は社長へ直談判しに行った。
「未払いの給料を払うこと。会社からの帰宅途中に事故にあったので、労災の手続きもすること。」
両方とも払う気がない社長。日本人には給料を払っているくせに、実習生には給料は未払い。おまけに、労災は遺族が手続きするべきだと言って、まったく取り合おうとしない。
スアンのご遺体を「どうせ死んでるんだろ」とどうなってもいい口ぶりの社長に、那美の怒りは限界を超えていた。
那美は、スアンにドライアイスを充てるために、倉庫の中へ入らせてもらった。同時に、スアンの同僚女性二人も「私たちも一緒に戦う」と入ってきた。
工場からは、ぞろぞろと従業員たちが外に出てきた。ストライキ決行だ。海外からの実習生はもちろん、日本人の従業員も「安い給料で残業もさせてもらえない、私たちも一緒だよ」と、座り込みを始めた。
スアンが作ったアニメ用の衣装を見つけた社長は怒り狂い、それをこの男性にハサミを入れさせた。もちろん無理矢理だ。
スアンはその日、交通事故で亡くなった。スアンが死んだのは自分のせいだと、男性は自分を責めていた。
那美はスアンのバッグの中から、ベトナムのお父さんに向けた手紙を見つけた。
手紙の内容をベトナム人の女性に教えてもらった那美は、言った。
「この子はね、絶望の中で死んだんじゃないよ。どんなに大変でも、どんなに大切な人を失っても、最後の最後まで懸命に生きてたんだ。」
那美はスアンにそっと手を合わせた。
大学病院での修羅場
大学病院では修羅場が続いていた。夫が浮気をしていたことを知った妻は半狂乱になり、ついにはあんな遺体いらないという始末。自分の夫も、相手の女性も、憎んでも憎みきれない様子だった。
凛子が、「気持ちは変わらなくても、憎んだままでもいいから、送りだしてあげませんか?そのほうが、後悔しないと思います。」と彼女に告げると、女性の表情がいくぶん柔らかくなった。
「さっさと葬式すまして、私もいい男見つけるわ。」
それを聞いた凛子も他のスタッフたちも、一様に安どの表情を浮かべるのだった。修羅場も一段落だ。
頭を下げた社長
社長はストライキの従業員たちに、ついに頭を下げた。
「お願いします。給料は払いますから、仕事に戻ってください。」
柊(ひいらぎ)秀介はなぜこの仕事を選んだのか
帰り道、凛子は秀介に、なぜこの仕事を選んだのか尋ねた。秀介は答えた。
「俺の母さんはスペイン人でさ。俺は悪さばっかりして親不孝。母さんは病気でやせ細って死んでしまった。すっかりやつれた母さんを、きれいにしてくれたのが今の社長さ。あの時、思ったよ。魂がよみがえったってね。」
秀介がこの仕事を選んだのは那美の影響なのだと知った凛子だった。
ベトナムから呼んだお父さん
工場の従業員が貯めたお金で、ベトナムからスアンのお父さんを呼び寄せた。ささやかながら、スアンを送る会も開かれた。
スアンは火葬される前に、お父さんと対面することができたのだ。
お父さんは、風呂敷に包まれた絵を取り出した。「これを祭壇に飾ってほしい。」
その絵は、前に男性がスアンにプレゼントした絵だった。
「大事に持っていてくれたんだ。」男性は感激した。
スアンの父は男性に丁寧にお礼を言った。二人に言葉はいらなかった。
棺の中のスアンは、とても美しかった。まるで生きているようだった。魂がそこにあるかのように。
同僚のベトナム人女性が、お父さんに赤いベストを手渡した。
「日本では、60歳になると赤いベストをプレゼントするそうです。これは、お父さんのためにスアンが作りました。」
そこへ、社長の垣内がやってきた。
「社長の垣内です。これは、払っていなかったお給料と、労災を申請するための書類です。」
スアンから父親に送った手紙には、仕事はとても楽しいと書いてあったそうだ。とまどう社長に、女性が近寄ってきて、ある物を手渡した。
「社長も60ですよね。スアンからです。」
スアンは、父親だけでなく、社長にも赤いベストを縫っていたのだった。
「大事な娘さん、すみませんでした。本当に、申し訳ございませんでした。」深く頭を下げる社長。
スアンのまわりはみんなが置いた花で埋め尽くされた。天国に旅立つスアン、どうぞ安らかに。
社長さん、心を入れ替えてくださいね。
凛子、那美の過去を知る
帰社してから用事を片付ける凛子、那美、会長。
那美が言った。「しっかし、不倫は怖いよなー。死んじゃったら弁解もできないし。」
それを聞いて、凛子が言った。
「ご遺族もちゃんと話しておけば、後悔せずにすんだんですかね。」
那美、いきなり怒ったように、「え?後悔しない人なんていんの?いなくなった後に初めて気づくんだよ。お疲れ。」と吐き捨てるようにして出ていった。
凛子、驚いたように会長に「私、何か悪いこと言いましたかね?」
凛子は、会長から那美のことを聞かされた。
「あいつも、大事な人を海外で亡くしとるんじゃ。海難事故でご遺体が見つからないまま、もう8年になる。まだあきらめきれんのじゃ。ちゃんと会って、まだ言いたいことでもあるんじゃろ。」
那美は、足立幸人(向井理)に謝りたいことがあったのだ。
エピソード3:実習生についての感想
毎回泣かされる話ですが、今回はアジアからの実習生ということで、よくドキュメンタリーやニュース番組で観る実習生と重なりました。
彼らは貧しい家庭から、日本に職業の実習に来て、わずかながらのお給料を故郷に仕送りし、手に職を付けてから自国に帰り、日本で学んだことを活かして仕事をしながら生きていく。
そんな絵を描きながら来日します。ところが実態はどうでしょう。実習生の人生など考えることもなく、雇う側(日本人)は「安く使えるから」と労働を搾取します。このドラマのように、ろくに賃金も払ってもらえない仕事場も多いそうです。
小さなアパートの部屋に大人数で住み、長時間労働は当たり前。どれほどつらい毎日だろうと思うと、心が痛みます。
せっかく日本を選んでくれたのだから、「日本に来てよかった」と思って帰ってもらいたいじゃありませんか。
日本に来て、役にたつ技術を学び、祖国の発展のために活かせる。そして、貧しさから脱却する。家族も幸せにしてあげたい。
そのための実習生だと思うのです。この日本に来てくれてありがとう。私は心から思います。
実習生を雇う皆さん。このドラマから何かを学んでください。そして、決して搾取しないように。彼らの人生に責任を持つぐらいの気持ちで、迎えてあげてください。
お願いします。
不倫旅行についての感想
世の中、男女がいればいろいろあるでしょう。不倫旅行もあるでしょう。ですが、絶対にばれない補償はありません。
特に、今回のように亡くなってしまった場合。今回は二人一緒に亡くなりましたが、片方だけ亡くなることもあります。
人は、いつか必ず死にます。突然死ぬことも多いでしょう。そのときに、家族に迷惑がかからないように配慮しておく必要はあります。
今はSNSがありますから、どうしても証拠は残ります。なるべく残さないであげてください。残された家族がかわいそうです。
スマホに写真を残すのもいけません。そういうものは残さないようにしたほうがいいです。すべては家族のためです。お子さんや、ご両親など。罪のない人たちを苦しめないようにしたほうがいいです。
このドラマのような場合は、実際に存在します。心当たりのある人は、本当に注意してください。あなたが何をしようが勝手ですが、突然亡くなった場合、大変恥ずかしい人生になります。
ご注意ください。