アフリカのムバダールでテロが発生し、現地にいた日本人10人のうち6人が死亡という報告を受けた。
エンジェルフライト(2)キャスト
第2話に出演するキャストを紹介する。いつものメンバーと、今回だけのメンバーに分かれる。
エンジェルハースのメンバーと家族: キャスト
伊沢那美(米倉涼子):エンジェルハースの社長
柏木史郎(遠藤憲一):エンジェルハースの会長
高木凛子(松本穂香):新入社員
柊秀介(城田優):遺体処置担当
矢野雄也(矢本悠馬):若手社員
松山みのり(野呂佳代):手続き担当
田ノ下貢(徳井優):運転手
足立幸人(向井理):那美の恋人(まだ謎に包まれている。行方不明)
伊沢航(織山尚大):那美の息子役・少年忍者/ジャニーズJr.
伊沢海(鎌田英怜奈):那美の娘役
高木塔子(草刈 民代):凛子の母親
エピソード2の特別ゲスト
田所こういちろう: 浅利陽介(あさり ようすけ)
田所こういちろうの父親:平田満(ひらた みつる)
田所の上司:中村育児(なかむら いくじ)
鎌倉あや:中村久美(なかむら くみ)
鎌倉あやの母:筒井真理子(つつい まりこ)
鎌倉あやの父:矢島健一(やじま けんいち)
ムバダールにて
「一時帰国してもいいんだぞ。奥さん、お産のときは一緒にいてほしいんじゃないか?」
「はい、でも大丈夫です。決めたことなんで。」
「まだあの爺さんに言われたことを気にしてるのか?」
その時、テロリストが突然入ってきて、乱射を始めた。外国人ばかりを狙った無差別テロだった。
伊沢、ムバダールに行く
現地にまだ生存している日本人を救出するため、そして亡くなったご遺体を日本へ搬送するため、日本政府は蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。
遺体搬送は伊沢の会社が任されることになった。伊沢は、現地に飛ぶメンバーに高木凛子を選ぶ。
出発当日。羽田空港VIPラウンジ。12時15分。
現地に向かう遺族のご家族の面倒を見るのが伊沢たちの仕事だ。
一人の男性(平田満)が伊沢に話しかけてきた。
「すみません、息子が住んでた場所に行きたいと希望したんだけど、どうなりましたか?」
伊沢「ご希望は伺っておりますので、どこかのタイミングでお連れすることはできるかと思います。」
こちらでは、一人の女性がうつむいて静かに座っている。
スタッフが「大丈夫ですか、間もなく出発になりますので。」と声をかけると、「申し訳ありません、このたびは、ご迷惑をおかけします」と深々と頭を下げた。
凛子は、夫婦に話しかけられていた。
「あのー、あやにはすぐに会えるんですか?」
凛子「状況は確認できておりませんが、準備が整い次第、会っていただけると思います。」
女性は詰め寄る。
「あやは、あやは今、どういう状況なんですか?」
凛子は「確認します」としか答えることができなかった。
別の女性が凛子に詰め寄る。「さっき私にも確認しますって言ったじゃない。しっかりしてよ!」
皆、自分の家族がどういう状況なのか全く知らされていないのだ。動揺するのも十分理解できる。
方や、エンジェルハースのメンバーは「確認します」としか答えられないのがつらいところだ。
ムバダールに向かう飛行機の中で
日本時間:13時19分 飛行機、離陸。
先ほど「ご迷惑おかけします」と言った女性は、ご主人のことを話始める。日本に帰国したとき、次のプロジェクトが軌道に乗ったら、引退して若いやつにまかせる、そうしたら一緒に旅行にでも行こう、と言ってくれたのだ。
家族それぞれが、遠い地ムバダールで命を落とした子供や夫の思い出にひたっていた。
ムバダールに到着
ムバダールに到着した。遺体の状況から、まだご家族に会わせる状況ではないと聞き、さっそく遺体を確認する伊沢と凛子。
一人ひとり袋に入れられている遺体を開き、確認していく。腕がない遺体もある。
遺体の状況がひどく、このままだとご遺族に会ってもらうのは難しい状況ですとの説明を受けた。
嗚咽している凛子に、伊沢は言った。
「ご遺族の気持ちになってみな。指一本残さず、日本に連れて帰るからね。」
一方、何の理由もなく待たされている遺族のイライラは最高潮に達していた。
伊沢は「ただいま、一部のご遺体をDNA鑑定しております。もうしばらくお待ちください。」と頭を下げた。
娘に会いたいと詰め寄る家族。凛子はただただ謝るしかなかった。
伊沢は、涙を浮かべる凛子に言った。「ご遺族より先に泣くあなたを、信じられると思う?みんな、やり場のない怒りを抱えてるんだよ。その怒りを受け止めるのも、私たちの仕事なんだよ。」
亡き家族が住んでいた場所
遺族は、ムバダールで家族が住んでいた場所を訪れた。
娘が住んでいた部屋に入った夫婦。さっきまで娘がいた空気を確かに感じ、母親は泣き崩れた。
ご主人の部屋を訪れた女性。男性が生前書き残したメモを見つけた。引退したら妻と二人でやりたいことのリストだった。メモの最期には「料理を覚える」「家事をする」と書いてあった。
ご遺族が、ひとりひとりご遺体と向き合う時がやってきた。
娘さんに会おうとするご夫婦に、スタッフは「ご遺体の状況があまりよくなくてですね、DNA鑑定のほうはいたしましたが、ご確認はご遠慮いただきたく、申し訳ございません。」と告げる。
夫婦は相手の言っている意味がよくわからない。取り乱した妻を伊沢たちが必死で止める。日本に戻ったら、必ずお会いできるようにすると、誓ったのだった。修羅場である。生きながらの地獄。見ている私たちも、胸が張り裂けるようだ。
日本へ帰国するときが来た
辛かったムバダールでの時間。こんなことになろうとは予測もしていなかったはずだ。まだ現実のこととして受け入れることができない遺族だった。
伊沢、日本のスタッフと葬儀について連絡をとりあう
いよいよご遺族とご遺体が帰国することになった。伊沢は日本のスタッフと連絡をとり、献花式のイメージを画像で送ってもらい、確認する。
霊柩車も同じものを6台用意。白いシーツも用意するように命令する。
伊沢は、秀介(城田優)に鎌倉あやちゃんのご遺体の損傷がひどいことを伝え、詳しく状況を教えた。彼は遺体修復のプロである。
帰りの飛行機の中で
帰りの飛行機の中で、遺族は思い思いに家族の想いを語る。
「息子は、今の仕事についたことを本当に喜んでいた。でも、こんなふうになって、誰に怒ればいいのかね。誰を恨めばいいのかね。息子の嫁は妊娠していて、予定日より1週間も早く入院したと、さっき連絡が入った。」
やりばのない怒りの矛先を誰に向ければよいのか。遺族はやるせない思いでいっぱいだった。
娘のあやがムバダールに行きたいと言ったとき、母親は治安の悪さを理由に大反対した。それを許したのは父親だった。「それが本当におまえのやりたいことなら、行ってきなさい」と。
自分を責める父親。
一方、日本の空港ではあやさんの婚約者が結婚指輪を持って待っていた。
日本に帰ってきてからも遺族を苦しめる出来事が
日本にやっとついた遺族は、これからご遺体が司法解剖されることを告げられる。大事な家族の身体がさらに傷つけられることに、遺族の気持ちもさらに傷つくのだった。
ネットにも心ない中傷が書き込まれていた。「単なる自己責任」。それを読んだ遺族の胸の内はいかばかりだったろう。
ご遺体を丁寧に元通りにする仕事
いよいよエンゼルハースが遺体を元のきれいな身体と顔に戻していく。細心の技術を要する高度な技である。生前の写真を見ながらなるべく生きていた頃のお顔に戻してあげるのだ。
生きている人にお化粧をしてあげるように、秀介はご遺体の顔を繊細に、丁寧に修復していく。
松木家自宅 神奈川県
ご遺体が奥様のもとへ帰ってきた。無言の帰宅である。
ご主人が帰国するといつもおむすびを出してあげたように、今回もまた、奥様はおむすびをご主人の元へ運んだ。
ご主人は帰国するといつも真っ先に「おむすびを握ってくれ」と言うのだったが、いつも食べないで寝てしまうのが常だった。
「また今度も、寝てしまうのよね」
奥様はそう言って、棺の中のご主人に語り掛けた。そう。まるでご主人は眠っているかのような、きれいな顔をしていたのだ。
「ひとことでいい。何もしてくれなくていいから、ひとこと、『ただいま』って帰ってきてほしかった。」奥様はご主人にそう言って、号泣した。
あやさんのお顔を修復する
あやさんのお顔を修復するときがやってきた。
「これは想像以上にひどいですね。さすがに無理じゃ…」という相方をよそに、秀介は作業にかかる。
「ごめんね、あやちゃん。がんばって。戻ってきて。戻ってきて。」
秀介はあやちゃんに語り掛けながら、修復作業に全身全霊を傾けていた。あやの家族は、あやの顔がひどい状態であることをよくわかっていたので、「もういいです、これ以上あやに負担をかけたくない」と拒んでいたのだった。
あやちゃん、ご自宅へ帰宅。ご両親と婚約者が待っていた。
「お会いに、なりませんか?」
伊沢の問いかけに、目をあわせるお父さんと婚約者。婚約者があやの顔を見る。
「お母さん、お父さん、来てください!あやが!」
お母さんも、伊沢に導かれてあやの顔を見る。なんと美しい。お母さんから受け継いだウェディングのベールをかけたあやちゃんの顔は、神々しささえ感じる。
家族全員で、あやちゃんにお別れを告げた。あやちゃんが死んだのは、お父さんが異国の地へ行くのを許したからではない。彼女は最初からお父さんが許してくれることは分かっていた。
発展途上国のために力を尽くした彼女の死。どれほど残念だっただろう。
「あや、よくがんばった。」「あや、お帰りなさい。」
声を絞り出すように、あやちゃんに語り掛ける家族。婚約者も、用意した結婚指輪をあやの指にはめてやった。
きれいになった田所、そして赤ちゃんと対面
田所の顔の修復も、秀介の卓越した技術で生きていた頃のように美しく再現された。プロフェッショナルな美容師がメイクをほどこすように、やさしく筆をあてていく。
時を同じくして、田所の奥さんも出産を迎えていた。
田所さんも、お父さんの待つ葬儀場へ戻ってきた。
「息子さんに、会ってあげてください。」
父は息子の顔をそっと覗き込んだ。現地で見たので、息子の顔がひどい状態だということは分かっていた。だが、どうしたことだろう、この安らかな寝顔は。息子は平和な眠りの中にいた。
そこへ、田所の奥さんが生まれたばかりの赤ちゃんを抱いてやってきた。「少しでも早く、こうちゃんに赤ちゃんを見せてあげたくて。」
「こうちゃん、聞こえる?無事生まれたんだよ。」
どんなにか会いたかったであろう、生まれてくる自分の子供に。彼の魂は赤ちゃんを見て、笑っているだろうか。お父さんはいつまでも見ているよと、語っているだろうか。そう思いたい。
ムバダールの人々も追悼の意を表してくれた
現地でも、テロで亡くなった人のために、多くの花束とともに追悼式が行われていた。
田所に「帰れ!どうせすぐに帰ってしまうんだろう?」と言い寄ったおじいさんも、感謝の手を合わせていた。田所たちの「この国を少しでも良くしたい」という思いは届いていたのだ。
伊沢の秘密 ふたたび
家に帰った伊沢は、子供たちを見て思わずハグする。命があってこそ、ハグできる。その幸せを味わっていた。
疲れたーと、バタっとソファに倒れてそのまま寝てしまった伊沢のポケットから、スマホが落ちた。
「いいかげん、乗り越えてくれよ」息子がつぶやく。
凛子と母親の関係は?
帰宅途中のバス停で、凛子に電話がかかってきた。母親からだった。入院中のようである。
「手術することにしたの。あんたの同意が必要なんだって。」
どうやら、母娘の関係はうまくいっていないようである。
国際霊柩送還士の会社は実在する
ドラマの中では「エンジェルハース」が会社名ですが、エアハースという実際の会社が日本に存在しています。ドラマの設定と同じく、海外で不慮の事故や病気でお亡くなりになった方を、日本へ送り届けてくださるプロフェッショナルです。
実際に、エアハースがこのドラマ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」の撮影協力・監修をされています。
実は私の上司も、休暇をとってハワイに行ったとき、突然の心臓麻痺で現地で亡くなりました。おそらくそのときも、エアハースさんにお世話になったのではと思います。
大切なお仕事をされているんですね。いつもありがとうございます。皆さんがいたから、私の上司も無事に日本に帰ってこられました。感謝しています。