ドラマ「地面師たち」のラストシーン。まさに拓海とハリソンの壮絶な「殺し合い」の中、ハリソンが手りゅう弾を投げる場面が最大の山場だ。
ハリソンは死んだのか?活きているのか?そんな問いが頭に浮かぶ。
この記事では、ハリソンの生死について、さらにその後について述べる。
ハリソン山中と拓海の死闘
拓海はハリソンを殺すためにハリソンの元へ向かう。すでに予期していたハリソンは、オロチを待機させ、隠しておいた。
ハリソンには誤算があった。拓海が銃を持っていたことだ。拓海は、長井に最後の頼みとして、銃を調達していたのだ。
まさに死闘を繰り広げる二人。そこへオロチが現れ、拓海を仕留めた(つもりだったが結果的に失敗)。単なるコマとして扱われていたオロチは、ハリソンにやられる。(お気の毒に)
もはや絶体絶命の拓海を救ったのは、辰さんの相棒倉持だった。(なぜ一人で行動するのか)
倉持に拳銃を突き付けられ、今度はハリソンが絶対絶命になったが、ポケットから取り出した手りゅう弾の安全ピンを口にくわえて抜き…
拓海のほうへ投げつける。手りゅう弾は安全ピンを抜いたら4,5秒で爆発する。その前に投げ返せばよいのだが(大変危険)
拓海は力を振り絞って手りゅう弾を握り、ハリソンのほうへ投げ返す。そして、爆発の瞬間。
拓海と倉持は吹っ飛ばされ、
意識を失った。
気が付いたときには病院。
警察病院に運ばれた拓海は、面会に来た倉持に「ハリソンの行方は?」と尋ねた。倉持は「わからない」と言うように首を横に振った。
次の場面。ハリソン山中は海外のどこかで、いつものように狩りを楽しんでいる。
ハリソンは生きている
あの爆発の中、どうやって逃げおおせたのかは大いに謎だが、ハリソンは生きている。普通なら手足が吹っ飛んで死亡、ということになるはずだが、とにかくハリソンは逃げおおせた。
それどころか、海外へ逃亡だ。場所はシンガポール。詳細は、2024年7月に刊行された「地面師たち ファイナル・ベッツ」に記されている。(ファイナル・ベッツ=final betsは「最後の賭け」という意味)
ハリソンはシンガポールで次の詐欺の計画を立て始めるのだが、それについては別記事「「地面師たち」の続編「地面師たち ファイナル・ベッツ」のあらすじと「裏の世界」」をお読みいただきたい。
手りゅう弾の威力
山梨県の陸上自衛隊北富士演習場において、30日に訓練中の手榴弾が爆発し、その破片が男性隊員に当たったことで隊員が死亡した。手榴弾は爆発時、半径10~15メートルの範囲内にいる者に対して、死亡や重傷を負わせるほどの強力な殺傷力を有するとされている。
近年では、住宅街でも暴力団の抗争に手榴弾が使われる事件が発生しており、また、戦時中の不発弾として見つかることもあるため、注意が必要である。
手榴弾は安全ピンを抜いて投げると4~5秒後に爆発する。爆発力で対象を吹き飛ばすのではなく、高速で破片を飛ばすことで殺傷力を高める設計となっている。戦時中に多く使われ、現在も国内の戦地や訓練場の跡地で不発弾として見つかることもある。
ラストシーン、原作との違い
実は、地面師たちのラストシーンは、原作と大いに違っている。
まず、原作では辰さんは生きている。さらに、相棒の倉持は存在していない。つまり、ラストシーンで拓海を助けに来るのは、原作では辰さんである。
そして、ハリソンは手りゅう弾を爆発させていない。拓海も拳銃は所持していない。お互いに傷だらけになりながら、ハリソンは逃げる。辰さんも後を追うが、見失ってしまったという設定だ。
私は、原作のラストシーンのほうがずっとすっきり来ると思うが、いかがだろうか。
まあ、仕方ないのかなとも思う。どうしても迫力のある終わり方にしたかったのだろうし、そのほうが観ていて「おーーー!」と思うし、その後、拓海が生きていて心から安堵するし。
結局のところ、このドラマは壮大な「エンターテインメント」なので、原作のとおりにハリソンが自分の足で逃げおおせるよりは、爆発して姿を消す方がドラマチックなのだろう。
「地面師たち」の続編、「地面師たち ファイナル・ベッツ」はもっと壮大なスペクタクルを視聴者は期待しているだろうから、次なる作品も私たちをアッと言わせてくれるだろう。