2024年8月23日公開映画「ラストマイル」が、封切りと同時に大きな話題を呼んでいる。塚原あゆ子(監督)と本野木亜紀子(脚本)の最強タッグがおくる「アンナチュラル」と「MIU404」の世界線と交差するノンストップサスペンスエンタテインメントだ。
ドラマ「MIU404」から重要人物が勢ぞろい:水上恒司がいないのはなぜ?
「ラストマイル」には、「アンナチュラル」と「MIU404」のキャストが多数出演して、ストーリーをつなげていく。
「MIU404」は架空の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」を舞台に、綾野演じる伊吹藍と星野演じる志摩一未がバディを組み、事件を追う様子を描いた作品。2人をはじめ、「ラストマイル」に麻生久美子、橋本じゅん、金井勇太、前田旺志郎、永岡卓也が出演する。
水上恒司(みずかみこうし)(当時は岡田 健史)も、MIU404の重要人物だ。4機動捜の隊員、九重を演じた水上の名前がラストマイルに無いことから、様々な憶測を呼んでいる。
中には「事務所から干された」という噂もあるが、実はそうではない。彼が改名した理由と、事務所との裁判に、ラストマイルに出演できなかった理由が隠されていると、私は見ている。
ラストマイルが撮影されていた(2022年12月〜2023年1月)間は、係争中だった事務所「スウィートパワー」との契約が残っており、出演したくてもできなかった、というのが理由だと思う。(事務所との契約は2023年3月31日まで)
どういう事なのか、以下に詳細を記す。
俳優の岡田健史が「水上恒司」に改名した理由
俳優の岡田健史が「水上恒司」に改名した理由は、主に以下の3つの要因にある。
事務所との確執
岡田健史という芸名は、彼が所属していた事務所「スウィートパワー」の社長である岡田直弓が命名したもの。しかし、事務所内でのトラブルが表面化し、岡田はこの芸名に嫌悪感を抱くようになった。
特に、事務所の急な仕事の押し付けやスタッフの相次ぐ退職、さらに岡田直弓に対するモラハラやセクハラの疑惑が影響し、岡田は事務所に対して不信感を抱き、最終的には契約解除を求めて裁判に至った。
この一連の経緯から、彼は本名である「水上恒司」に改名し、過去との決別を図った。
一からの出直し
改名には、芸能活動を一から出直すという強い覚悟が込められている。岡田健史という名前が持つブランドを捨て、本名で活動することで、自身の意思を示し、新たなスタートを切る決意を表明したのだった。
本来の自分への回帰
水上恒司は、いつでも「普通の生活」に戻れるようにという思いを大切にしており、芝居に対する情熱を失ったときには潔く芸能界を引退する覚悟も持っている。このような心境が、改名の背景にあるとされている。
改名後、水上恒司は新たなマネジメント会社「HAKU」と提携し、個人での活動を続けている。この決断は、彼が自身の力で芸能活動を進めていくという強い意志の表れでもある。
俳優水上恒司(岡田 健史)の事務所との裁判詳細
俳優の岡田健史(現在は水上恒司)が事務所「スウィートパワー」との間で起こした裁判について、その詳細を以下にまとめる。
裁判の背景と経緯
岡田健史がスウィートパワーと裁判に至った理由は、事務所との確執にある。岡田は2018年にドラマ『中学聖日記』でデビューし、瞬く間に注目を集めた。しかし、彼の芸能活動には所属事務所との間で徐々に不和が生じていた。特に2021年4月頃から、岡田の仕事が急激に減少し、その原因は事務所側とのトラブルにあった。
主な争点
裁判の主な争点は、専属契約の解除であった。岡田は事務所に対して、契約解除を求める仮処分を申請し、その背景には以下の問題が含まれていた。
急な仕事の押し付け
事務所が岡田に対して急遽ドラマ出演などの仕事を押し付けることがあり、これに対して岡田は不満を抱いていた。彼は十分な準備時間が与えられない状況に不満を募らせていた。
スタッフの退職
岡田の担当マネージャーやスタッフが次々と退職していく状況も、彼の不安を増大させた。特に信頼していたスタッフの退職は、岡田にとって大きな精神的な打撃となった。
事務所社長への不信感
さらに、事務所の社長である岡田直弓に対する不信感も裁判の大きな要因となった。岡田直弓には、所属タレントへのセクハラや社員へのモラハラの疑惑が浮上しており、これが岡田にとって決定的な対立の原因となった。
裁判の結果
2022年8月31日、岡田健史とスウィートパワーとの間で裁判が和解に至った。和解に際し、双方は契約を円満に終了することを公表し、岡田は事務所を退所することとなった。これにより、彼は芸名を本名の「水上恒司」に改名し、心機一転して再スタートを切ることとなった。
和解に際し、岡田は「岡田健史を応援してくださったすべての皆様、ありがとうございました。そして私、水上恒司のことも応援して頂けるように懸命に泥臭く生きて参ります」とコメントし、新たな芸能活動への意気込みを示した。
岡田健史(現在の水上恒司)とスウィートパワーの契約は、2023年8月31日までのものでした。しかし、裁判を経て双方合意のもと、契約期間は半年繰り上げられ、2023年3月31日に契約が終了しました。
現在の状況
和解後、水上恒司は新たに「HAKU」との業務提携を結び、個人での芸能活動を進めている。彼は事務所に依存せず、自らの力で活動を続けていく強い意志を持っている。今後、彼の活動がどのように展開していくか、注目が集まっている。
以上の理由が、水上恒司が映画「ラストマイル」に出演できなかった経緯である。監督も脚本も、九重(MIU404での役名)に出演してほしかったに違いない。だが、契約が残存している以上、出演には無理があった。水上は、もうスウィートパワーでの仕事は受けたくなかったのだ。
タレントが事務所に不満を抱くのは、よくある事である。だが、水上のように、裁判をおこしてまで事務所と闘い、契約期間を短縮するのはよほどの覚悟があってのことだ。
真実が語られることはないだろうが、水上のかたい決意を感じる。
改名に関して、ネガティブなコメントも見たことがあるが、気にすることはない。「岡田 健史」だろうが、「水上恒司」だろうが、彼が彼であることに変わりはない。
思えば、「樹木希林」だって長い間「悠木千帆(ゆうきちほ)」という名前で活動していた。樹木希林に改名したときは、世間でかなり批判されたが、いつのまにか「樹木希林」が定着していった。今では、「悠木千帆」の名前を憶えている人のほうが少ないかもしれない。
「水上恒司(みずかみこうし)」は本名である。本名で活動することができるなら、非常に喜ばしいことだ。本人も、やりやすいだろうし、原点に立ち返ることができる。
ラストマイルに九ちゃんが登場しないのは残念だが、またいつか会える日を楽しみにしている。
というか、水上の演技力が素晴らしいので、今後は引っ張りだこになることだろう。忙しすぎて身体を壊さないか心配している。