2024年7月、Netflixで配信スタートと同時に大反響をまきおこしたドラマ「地面師たち」。壮大な地面師の詐欺が行われた物件は、「光庵寺」という都内一等地にある由緒ある寺が舞台になっています。
光庵寺は、果たして本当にあるのか?実在するならどこ?それとも…謎が謎を呼ぶ「光庵寺」について徹底検証していきます。
「光庵寺」のロケ寺は「東禅寺」である可能性
「じゅん散歩、白金台の瑞聖寺!あの辺の寺というだけで『地面師たち』を彷彿させるね。」Xの投稿から
白金台の瑞聖寺に似ているというXへの投稿も見られましたが、実際は報告もありましたが、実際は港区高輪にある東禅寺というお寺である確率が高いようですね。
なかなか立派なお寺です。こんな壮大なお寺が都内の一等地にあるなんて、ちょっと信じられません。緑が多くて素晴らしいお寺ですね。
ドラマの中の光庵寺、本堂はこちらになります。ドラマの最終回で心臓がバクバクして破裂しそうになるシーンが、この光庵寺を舞台にしています。
VFXで寺と駐車場と高輪の風景を合成
VFXの専門家、新庄耕さんのXでの投稿をご紹介します。
VFXとは、「Visual Effects」の略で、視覚効果という意味です。実際に現実では目にすることのできない画面効果を実現させるために、特撮を用いる映画やテレビドラマの中で使われる特殊技術がVFXです。
「VFXで大変だったのが、地面師が狙う寺ですね。あの寺は実際港区高輪にあるわけではなくて、郊外にあるまわりに何もない寺と駐車場に高輪の背景を合成したんです」 https://t.co/Achj9Bv05N
— 新庄耕 Ko Shinjo (@shinjo_kou) August 1, 2024
実際に「地面師たち」のVFXを手掛けた新庄さんの発言によると、「寺は高輪にある実在の寺ではなく、東京郊外にある、まわりに何もない寺と駐車場を利用」したということです。
この言葉をそのまま受け取ると、もしかすると寺のロケ地は「高輪の東禅寺」ではない可能性もあります。公のインタビューやプレスで「光庵寺のロケ地は東禅寺」と発表されていませんので、あくまで憶測です。
筆者自身、神奈川県の鎌倉市在住で、まわりにはたくさんのお寺がありますが、お寺さんの本堂はだいたい似ていますから、素人ではちょっと見分けがつかないかもしれません。
大根監督、インタビューで「光庵寺」撮影の難しさを語る
「地面師たち」の大根監督のインタビュー記事から、光庵寺をシーンとする撮影、制作の難しさを語った部分がありますので、以下にまとめます。
—大根監督はさまざまな作品を手掛けてきましたが、今回はじめてNetflixで制作を行なうなかで、これまでの撮影と何か違いは感じましたか?
大根:撮影現場自体は基本的にどこも大きな違いはありませんが、生々しいことを申し上げますと、まずは潤沢な予算、そして人道的な撮影スケジュールや手厚い現場のフォローなど、長年私が理想として求めていた撮影環境やシステムを構築していただけたことは、本当にありがたく思います。すべての現場がこのようであれば良いと心から願います。
大根:最初からある程度の予算感は聞いていたので、それに合わせて脚本を書いたんです。だから普段だと「これは難しいな」と刀を鞘に収めちゃうような展開や演出も全部剥き出しでいけたのは大きいですね。熊が登場したり、こんなに必要ないよなってくらい派手なシーンもあったりしますし(笑)。
VFXで大変だったのが、地面師が狙う寺ですね。あの寺は実際港区高輪にあるわけではなくて、郊外にあるまわりに何もない寺と駐車場に高輪の背景を合成したんです。脚本の段階からこのシーンは空撮との合成とか大変ですよって言われていたんですけど、僕はそのときあんまりピンと来ていなくて。「そうかな?」って。
高橋:たしかに、あのとき大根さんはずっと「大丈夫ですよ」って言ってましたね。結局大変だったじゃないですか(笑)。
大根:でも皆さんが頑張ってくれたおかげで高輪にあるように見えますよね?
—あれがVFXだとは……。本当に高輪にあるお寺で撮っているものかと思っていました。
大根:やった! 成功だ!
Netflixならではの協力なバックアップと、専門技術の結晶
予算が潤沢にあるNetflixも、今回の光庵寺を舞台とした撮影と編集には、相当苦労したようです。Netflixとて、予算が天井無しにあるわけではありません。
その制約の中で、ロケーションやセットの選び方や使い方、バランスなどを大根さんやメインスタッフの皆さんが上手く調整して特色を出したのが、「地面師たち」が絶賛された一因でもあります。
大根:撮影の阿藤さんと照明の中村さんはよく組んでいますけど、それぞれ映画やCM、予算規模の大きい海外作品もやられているので、彼らの経験値にも助けられました。「個別に撮ってあとで合成すれば大丈夫」とアイデアをいただいたり。あと美術デザイナーの都築さんの存在も大きかった。そういう意味で彼らのような熟練のスタッフがいたことは本当に心強かったです。
私たちが何気なく見ていた「光庵寺」という舞台。それだけでも、撮影、照明、美術デザイナー、それらをまとめ上げるVFXの専門家、彼らの技術を結集したものが「光庵寺」でのハラハラドキドキシーンを作り上げたのですね。
「地面師たち」のエンドロールをずっと見ていても、まさに「総力の結集」であることを感じさせますね。