2024年7月25日、配信スタートと同時に世界中の話題を一気にさらった「地面師たち」。
あまりにも過激な内容、かつ実話をもとにした作品ゆえ、スポンサーがつかないことを恐れてどのテレビ局にも制作を拒否されたという、衝撃的な作品になっています。
「地面師たち」で重要な役割を果たすのが、「尼さん」役の松岡依都美さん。尼さん役と松岡依都美という女優について深掘りしていきます。
「地面師たち」についておさらい（誰にでもわかりやすく）
「地面師たち」を観たことのない人に、簡単に説明しておきますと、「他人の土地を、いかにも自分の土地のように見せかけて売り、代金をだましとる詐欺行為」を組織的に行うのが地面師です。
土地には必ず持ち主がいますが、その持ち主のあずかり知らぬところで、土地が売られてしまいます。ですが、実際は売買契約に関する書類や証明書はすべて偽造です。
さらに、不動産売買では必ず「売り主」であるその人が立ち会うことになりますが、ウソの売買ですので、売り主も「ニセモノ」です。
このように、地面師は複数の人物で構成されています。その人の得意分野でそれぞれ活躍し、最後にお金をゲットした段階で逃げる、ということになります。
「地面師たち」に登場する「尼さん」
さて、この地面師たちに登場する「尼さん」は、まさにこの「地主」です。
自分の知らないところで自分の土地を勝手に売り買いされるのですが、ニセモノの売り買いですので、最終的に何も損はしません。（損するのは買った側だけ）。
地面師たちが狙う、都内の一等地にある広大な土地を所有するのが、光庵寺という寺に一人で住んでいる尼さん、川井菜摘です。
川井は寺の他に、3200平米の広大な駐車場と建物を所有しています。地面師が目をつけたのは、寺に隣接するその土地です。
何しろ場所的には申し分ないので、目をつけている不動産会社はたくさんありますが、いかんせん、寺の尼である川井が「土地は絶対に売らない」と首を縦にふることはありませんでした。
この尼さん、毎日決まった時刻に起き、境内を掃除し、草木の手入れをし、あとは終日寺にこもって読経しているという、規則正しい生活を行っています。
しかし、そんな尼さんにも、きっとどこかにつけいるスキがあるだろうと24時間マークしていると、ある晩寺からこっそりと出かける女性がいました。
ロングヘアで洋装。誰かと思うと、尼さんです。尼さんが変装して出かける先は、ホストクラブでした。尼さんはホスト狂いだったのです。
この先は何を書いてもネタバレになるので書きませんが、ひとつだけ言っておきます。
光庵寺の尼さんは、二面性があるということです。
べつに、それが悪いことだとは言いませんし、このドラマでもそのように描かれているわけではありません。まあ、尼さんとホスト狂いのギャップが、面白さと怖さを演出していると言えましょう。
松岡依都美さんの「地面師たち」にかける意気込み
「地面師たち」の大根監督は、NHKの大河ドラマ「いだてん」（2019）でも監督を務めていました。このときに松岡さんが初めて出演し、大根監督に演技力を認められました。
今回の「地面師たち」制作が決まった際に、監督から「尼さん役は松岡さんで」と指名されました。監督自らのご指名である、重要な役どころを見事に演じ切った松岡依都美さんです。
ドラマでは、尼さんとしての規則正しい日常を送る一方で、ホストクラブに通うという二面性が描かれています。これに対しては、松岡さんは次のように語っています。
脚本がそのように描かれていたので意識したということではないかもしれませんが、尼僧の時は粛々と、淡々と。夜の顔の時はいかに女としての欲望を素直に出せるかというギャップを表現できたらいいなと思っていました。
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「坊主頭」はどうやって作ったのか？
ネットで「地面師の尼さん」が話題になると、必ずと言っていいほど疑問にあがるのが「あの坊主頭は本当に髪の毛を剃ったのか」ということです。
見る限りは「本物の坊主頭」にしか見えませんが、引っ張りだこの女優さんは、地面師たちのすぐあとにも仕事が待ち構えています。
かつらをかぶればいいというわけでもないでしょうし、いったいあの頭はどうなっているのでしょうか。
「実際に髪の毛を剃ったのかどうか」は、あえて隠されています。今はメイクの技術も発達しています。特殊メイクはハリウッドの裏側をたまに見ると分かりますが、すごいことになっています。
ですので、坊主頭は本物かどうか、謎に包まれていますね。
ビジュアル作りはメイク含め2時間半ほどかかっていたと思います。撮影はまとめて撮る日はほとんどなく、毎回一から作っていました。作るのも時間はかかりますが、剥がすのも結構時間かかりましたね。夏場の撮影だったのでなるべく本当の頭皮（笑）から汗をかかないようにと、メイクさんたちがギリギリまで首回りなど冷やしてくれていました。
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追記：坊主頭（尼さんの場合は「剃髪（ていはつ」と言います）は、やはり特殊メイクのようです。
坊主頭にあたる「人口皮膚」（つまり、ハゲの部分）を頭にのせ、ひっぱり、顔の皮膚との境目をメイクでうまく隠す
上記のような方法で、剃髪メイクにするようです。ボールドメイク（坊主メイク）とも呼ばれ、やはり特殊で専門性の高いメイクです。
2時間半もメイクにかかると聞いて、うなずけました。2時間半も椅子に座ってメイクを行ってもらうとは、女優さんも体力勝負ですね。
松岡依都美（まつおか・いずみ）プロフィール
ここで、松岡依都美さんのプロフィールを簡単にまとめておきます。
出身地： 三重県
所属： 文学座
2014年に「凶悪」で第28回高崎映画祭 最優秀新進女優賞
「凶悪」でもピエール瀧さんとの共演が話題となりました。このドラマもインパクトがありますので、家族でのご視聴はお控えいただくのが賢明です。視聴後になかなか立ち直れない自分がいます。
2020年に「きらめく星座」「五十四の瞳」で第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞
近年の主な出演作品： 舞台「たわごと」「夏の砂の上」
ドラマ「地面師たち」（Netflix）
映画「遠いところ」「正欲」「親のお金は誰のもの 法定相続人」「万引き家族」など
2024年 8・9月にはイキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」に出演
女優「松岡依都美」のすごさとは
松岡依都美という人は、並みの女優さんでないことは断言できます。
まさに、身体を張って女優業を体現している、プロ中のプロです。
どんな仕事でも、勉強でも、最後に結果を出すのは「集中力」です。おそらく、松岡さんが撮影に臨むとき、ものすごい集中力が発揮されていることと推察します。
今回の「地面師たち」のキャストには、錚々たるメンバーが選ばれました。この中に存在するということは、押しも押されぬ実力派の女優であることの証明でもあります。
綾野剛、豊川悦司、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、染谷将太、松岡依都美、吉村界人、アントニー、松尾諭、駿河太郎、マキタスポーツ、池田エライザ、リリー・フランキー、山本耕史
松岡依都美さんは、今後ますます日本のドラマ界、映画界を引っ張っていってくれる存在となるでしょう。
