2024年7月スタートの月9「海のはじまり」。あいかわらず「暗い」「ホラー」などのしんどい言葉がSNSに飛び交っていますが、目黒連の演技は確かなものだと感じています。
さて、相手役の弥生(有村架純)は「かわいそうな役」ではありますが、どうやらそれだけではなさそうです。
この記事では、最近多くなっている「弥生 嫌い」という声について解説していきます。
弥生の現在と過去を簡単に
弥生(有村架純)は化粧品メーカーに勤務するOL。確か年齢は30歳か31歳。会社では「仕事のできる先輩」として後輩から尊敬され、慕われています。
3年前から年下の夏(目黒連)と付き合っている。そろそろ結婚かな、と内心では思っていたのですが、夏に大学生のころ付き合っていた彼女との間にできた子供が、存在していることを知りました。
夏のことが好きな弥生は、夏、海(夏の子ども)、そして自分の3人の家族を作る覚悟をします。
実は弥生は、以前付き合っていた社会人の男性との間に子供ができましたが、男性が結婚の意思もなく、産むことをやめた過去があります。その罪深さを背負って生きていた弥生は、海が偶然にも生まれるはずの子どもと同じ年齢だったことに気づきます。
なんとか「お母さん」になろうとする弥生ですが、事はそう簡単ではありませんでした。
「弥生さんがかわいそう」という設定だが
弥生は「かわいそうな立ち位置」としてずっとドラマで表現されていました。
「仕事ができるOLで、そろそろ結婚を考えている3年ごしの年下の恋人がいる」弥生が、ある日突然「恋人に7歳の子どもがいる」と知ります。
それだけで、十分弥生はかわいそう。晴天の霹靂(へきれき)とも言える展開に、「そんなひどいこと、あり得る?」とみんなで憤慨しました。
彼氏はどうするんだろう?今さら、子供を引き取って育てる?親権は?学校や住むところは?お金がかかるだろうし。
頭のよい弥生は、瞬時にいろいろと予想できてしまい、起こりうる様々な問題も頭の中をぐるぐると駆け巡ります。
これから夏と結婚して、普通の家庭を持ち、そのうちに子供ができて…と、弥生は「ごく普通の人生を送りたいな」と思っていたのです。
夏と別れるか、子供を受け入れるか…そんな選択を突如迫られることになった弥生。途方にくれるのも当然でしょう。
でも、取り乱すこともなく、寝込むこともなく(私だったら取り乱して寝込むでしょう)、常に客観的に考え、答えを導き出す弥生。
実は、そんな弥生のことを「好きになれない」女性は意外と多いのです。
弥生に対する「モヤモヤ」感がずっと消えない
このドラマの「弥生」に対する感情は、男性と女性でまったく違うことを、私は多くのサイトやYouTube、SNSや掲示板を見て気づきました。
まず、男性は「弥生さん大好き」が基本です。だって、男性から見たらこんな素晴らしい女性はいないですからね。
考察系のYouTubeとか見ると、ああいうのをやってる人は男性なので、皆さん例外なく「弥生さんは」と、彼女をフォローする姿勢を貫いています。弥生さんにどうにかして幸せになってほしいと思ってますね。
女性も、有村架純ファンは、弥生と有村架純を重ねて見ていますから、どうしたって弥生が好きだし、弥生のことをいじめる朱音(大竹しのぶ)が大嫌い。本当は、役と役者は別に見なければいけないのですが、ファンの心理ってそういうものです。
何事も「きれいごと」ですませようとする弥生が嫌い
弥生は、自分の人生を完璧なもので固めようとしています。だから、発言も慎重ですし、ネガティブな発言をしないように気を付けています。
ですが、やはり人間ですし、こういう状況で、ポジティブな発言ばかりするのは無理があります。その「無理」が、私たちに届いてしまうんです。
心が無理をするって、苦しいことですよね。私たち女性にも、その無理を感じてしまうので、私たちも苦しくなります。
きれいごとばかり言っている人間は、どこか信用されません。人間だから「実は、こうなのよ」と自分の心の叫びを人に相談してもいいのですが、弥生はそれをやりません。
いつも、外から見られることを気にしているので、女性から見ると「本当の友達にはなれない」と感じてしまう部分です。
そんなところが、回を重ねるにつれてますます分かってしまうので、弥生の言動に「モヤモヤ感」を感じてしまうんですね。
「形から入る」弥生が嫌い
弥生は確かにかわいそうな役割です。でも、世の中彼女レベルのかわいそうな人はたくさんいるわけで、すべての不幸をしょっているわけではありません。
弥生は、元カレにも実の母親にも恵まれなかったかもしれませんが、みんな大なり小なり、家族や彼氏に対して不満はあります。
あるけれども、それは自分の心の中にしまっておいて、毎日未来の自分のために生きています。だから、自分の過去をさらけ出して、つまり、生まれなかった子どもと海ちゃんとを重ね合わせて、それを夏に告白しなくてもいいんじゃないかな、と思います。
自分の過去は過去。それと、海ちゃんは関係ありません。厳しいけれど、そう思うし、言われた夏くんも優しすぎる(というか、どう言えばいいのか分からない)ので、言われたほうはたまりません。お互いに、何の解決にもなりません。
弥生は、幻の自分の子どもと海ちゃんがどうしても重なってしまいます。それがなければ、海ちゃんのお母さんになる覚悟はなかったと思います。
でも、弥生は「普通の家族」を持つという、自分なりの夢の形を想像していました。そこに、今「夫と子供」がそろっています。では、自分もそこにピッタリと入らなければいけない。というか、入れば、理想の家族ができあがります。
弥生が、夏と海と初めて3人で出かけ、図書館に向かって手をつないで歩いているとき、「これって、嬉しいやつだ」と言ったのはそういう意味ですね。
形から入っても、後から壊れるだけなのですが、弥生は完璧主義者だし、そういう自分をよく分かっています。
もうちょっと、泣いたりわめいたり、自分を出せばいいに、それを出さないから、女性としてはグサグサと突き刺さるものがあり、見ていて苦しくなるんですよね。
だから、弥生が嫌いというより、「もうちょっと楽に自分を出せばいい」と言う気持ちのほうが強いかもしれません。
まだあと数回ドラマは続きます。これから、3人の家族の作り方が始まるのでしょうか。津野君はどう関わってくるのか。弥生は、すんなりと海ちゃんの母親になれるのか。
女性として、弥生の応援をしながら、どこか自分と重ねている部分があるので、これからも目が離せません。あなたはどうですか?