かつて“迷惑系YouTuber”として世間を賑わせたへずまりゅうさん。彼の名前を聞けば、過激な動画や騒動を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし今、彼はまったく別の姿で、多くの人の心を動かしています。
奈良公園で、静かに、そして真剣に「鹿を守る男」として立ち続けてきた——その活動が、ついに奈良市議会議員選挙という新たなステージへとつながりました。
なぜ、鹿を守るのか?

2024年7月、奈良公園で外国人観光客が鹿を蹴るショッキングな動画がSNSで拡散されました。へずまりゅうさんは、その光景を見て、「いてもたってもいられなかった」と語ります。
当時は東京在住。しかし、彼はすぐさま奈良へと向かい、自費で宿泊費と交通費を払いながら、公園を巡回。観光客に鹿せんべいを配り、暴力的な行為を目にすれば毅然と注意する。その活動はやがて生活の一部となり、2025年1月、彼は奈良に移住し、完全に鹿の“ボランティアパトロール”に人生を捧げるようになります。
全ては自費、寄付もスポンサーも受け取らず
へずまりゅうさんの活動には、誰からの支援もありません。彼はこう言います。
「誰からもお金はもらっていません。奥さんと2人、自分たちの生活を切り詰めながら、鹿を守ってきました」
へずまりゅう
にもかかわらず、彼の元には毎日のように多くの子どもたちが駆けつけ、「へずまさん、頑張って!」と声をかけてくれるそうです。
鹿と触れ合うへずまりゅうさんの姿は、子どもたちにとって「優しさ」と「責任」を教えてくれる存在になっているのです。
へずまりゅう、選挙カーを自ら運転

なんと、へずまりゅうさんは、選挙カーを自分で運転しています。普通は運転手がいるのですが、どうやらウグイス嬢だけを雇ったようです。
まさに二人三脚ですね。無所属ですからすべて自腹です。
へずまりゅう奈良市議会議員になります。 誰よりも外国人問題取り組んでおります。 動画を撮って下さったリスナーさんありがとうございました。 期日前投票よろしくお願いします。 by へずまりゅう
「変わる」ことはできる。人生は、やり直せる。
「過去は消えません」と、彼は何度も語っています。
迷惑系動画で注目を集めた頃の自分を、今では「愚かだった」と真正面から受け止め、批判の声にも逃げず、ひたすら地道に善行を積み重ねてきました。
被災地での炊き出し、奈良公園でのパトロール。心からのボランティアは、「売名」と揶揄されることもありました。しかし、へずまりゅうさんは決して諦めなかったのです。
「迷惑系だった自分を応援してくれる人たちまで、悪く言われる。それが一番苦しかった。だから、絶対に変わらなきゃいけないと思った」
へずまりゅう
そんな決意が、今のへずまりゅうさんを作ったのです。
鹿を守ることは、奈良の景観と文化を守ること

へずまりゅうさんは、奈良の未来を見据えています。
「古き良き奈良の景観を守りたい」「シカに優しい町であり続けてほしい」
そしてそれは、鹿だけの話ではありません。外国人観光客のマナー問題、メガソーラー建設問題、水源地の環境保全——彼は奈良のあらゆる“守るべきもの”に目を向けています。
もちろん、すべての外国人が悪いわけではない。欧米の観光客が中国人の子どもを注意する場面に、心を動かされたこともあったといいます。
「マナーのない人には、国籍関係なくブチ切れます。でも、優しい人には心から感謝したい」
へずまりゅう
国籍や肩書ではなく、「その人の行動」が大切なのだという強い信念がそこにはあります。
最後に——世の中、捨てたもんじゃない

へずまりゅうさんのような存在がいることに、私たちは救われます。
過去に過ちがあっても、人は変われる。人はやり直せる。
そして、その変化が真剣であれば、人々の心を動かし、町を、文化を、そして未来をも変えていく。
奈良の鹿たちは、彼の誠実な思いに寄り添うように、今日も静かに公園を歩いています。
へずまりゅうさんの挑戦は、まだ始まったばかり。でも、そこには確かに、希望があるのです。
「迷惑系」から「鹿系」へ。
へずまりゅうの挑戦が、今、奈良の風景をやさしく変えています。