2024年6月14日 NHK あさイチのプレミアムトークに、米倉涼子さんが出演しました。彼女の人となりや、仕事への取り組み方、プライベートや病気のことなど、包み隠さずお話されていました。
この記事を書いた直後の6月27日に、ネットニュースで「米倉涼子 女優引退か」という記事を見つけました。ドクターXの劇場版制作が決定したそうですが、それを最後に監督業や、若いタレントのオーディションを主宰するなどという情報があるそうです。エンジェルフライトについての情報はありませんでした。
ですが、NHKのあさイチに出演されたときは、「病状が最悪のときは、もう引退しかないのか、と思った」と言っていました。今は体調がかなり良くなっているので、また女優業をしている米倉さんを見たいな、という気持ちです。いずれにせよ、今後の予定は公にはなっていません。
米倉涼子:不屈のプロフェッショナル魂とは
数々のドラマや映画、舞台の第一線で活躍してきた米倉涼子さん。いつも元気な彼女を見るたびに、「私もがんばるぞ!」とパワーをもらっていたものです。同じように彼女を見ていた人も、多いのではないでしょうか。
ドクターXの米倉涼子、そして遠藤憲一
「私、失敗しないので」の名ゼリフで人気の医療ドラマ「ドクターX」。強くてかっこいい医者、大門未知子を演じていたのはもちろん米倉涼子さん。米倉さんだからこそのはまり役と言えましょう。
そんな大門と11年間共演していた外科部長役の遠藤憲一さんが、米倉さんについて語っています。
「米倉さんは、強くてパワフルで、かっこよくて、キラキラしていて美しい。でも、本当はとってもナイーブで繊細で、まじめな人。こんなこと言うと、本人照れちゃうと思うんですけどね。」
「ある時、彼女と役の内面の話をしているときに、その役の心の辛さとか機微とか、痛い方の話をしていたときに、米倉さん、泣き出しちゃったんですよ。俺ももらい泣きしちゃって。」
「人の心に対して、デリケートな人なんだなあと。その時強く思った。」
「すごく不安を持ちながらやっているんだな、と。それを、堂々と芝居しているっていうのは、すごく努力している人なんだな、と思った。」
最期に、米倉さんへの質問がありました。
「仕事が終わると、一か月くらい休みがあると思うんですけど。普通は、1か月も休むと顔に緊張感がなくなっちゃうんだよね。それを、いつもキラキラして現れる。いったい休みの間は何をしているんですか?」
役者さんも、緊張感がないと顔が変わってしまうんですか?私なんか、いつも緊張感がないからこんな顔なんだな…
米倉涼子が休みの間にやっていることとは?
彼女は、1か月くらい休みが取れたときは、旅行に行って英気を養うことにしています。
米倉さんは、実は何年も病に苦しんでいたのですが、2023年8月に良い先生と出会い、手術をしました。そして、2024年5月からいきなり調子が良くなり、なんとアメリカまでメジャーリーグを見に行ったのです。
おそるべき行動力だ!
彼女は特に野球好きというわけではないのですが、日本からアメリカに渡り、さらにそこで今まで以上の働きをする日本人として、野茂選手や大谷選手の気持ちと、同じくアメリカのブロードウェイに挑戦した自分とを重ね合わせていたのですね。
メジャーリーグでとてつもないパワーをもらった米倉さんは、なんと訪米中に4回も観戦したのです。
ところで、今でもドジャースでは野茂選手の映像が流れるそうです。
こちらの写真は、プライベートで海外に行ったときの写真です。
このときは、ワインのツアーに参加し、ワインを作っている人の話を聞いたり、「今回はおいしいワインを探しにいこう」など、その時その時の旅行でテーマを自分なりに決めています。プライベートの旅行はほとんど一人です。特に道中は、自分ひとりの時間を大切にしたいという気持ちです。
いつも注目されている米倉さんは、一人の時間を大切にしているんだね。
ブロードウェイの仲間たちに囲まれて感激の再開
2022年、米倉さんは主演を続けていたブロードウェイのCHICAGOを病気のため降板しました。
自分が立っていたであろう舞台の初日に、なんと病気を押してニューヨークまで駆け付けたときの写真が下の一枚です。仲間たちに大歓迎されている米倉さん。
病との闘い:米倉涼子さん
米倉さんの病気とは、どのようなものでしょうか。私たちはドラマを通してしか彼女を見ることはありませんが、いつも元気ではつらつとしているイメージしかありませんでした。
米倉さんの病名:脳脊髄液減少症(のうせきずいえき げんしょうしょう)とは
2019年、米倉さんは「脳脊髄液減少症」という難しい名前の病気を発症しました。この病気は人にわかってもらいにくい病気だと言います。
貧血、頭痛、起き上がれない、横になりたい、まっすぐ歩けない、壁に手をついてしか歩けない、止まっているエスカレーターを歩いているような感じ、など。
とにかく横になっているしかない、そういう病状です。
脳みそっていうのは、脊髄液に覆われている状態です。お豆腐が水につかっている、そんな状態なんですよね。その大事な脊髄液が、どこかから漏れていって、脳が少しずつ下がってしまう。(米倉さんは脳ドックで病名が分かりました。)
どこから漏れているか分からないので、だいたいの検討をつけて、まずはこのへんから、ダメなら次はこのへんから、と処置をするのですが、米倉さんの場合は舞台で激しい運動をするので、薄くなった硬膜がまた切れてしまうというリスクがありました。
横になっているとだんだん水がたまって改善されていくのですが、動くと水が出ていってしまう。
そんな治療を続けながらドラマも続けていたのですが、衝撃に非常に弱い病気なので、人と演技でぶつかったり、病気に対して大きなリスクを抱えながらの撮影だったのです。
そんな状態の中で続けたドクターXやエンジェルフライトの撮影。撮影が終わったら舞台(CHICAGO)に没入する予定だったのですが、病状が悪化し、ヒールもはけない状態。
夢だったブロードウェイのシカゴという舞台をなんとしてでも続けたかった米倉さんですが、あきらめるしかない選択しかありませんでした。どれほど無念だったことでしょう。
名医との出会い
自分の身体が思い通りに動かず、ドラマや舞台も続けられないと思った米倉さんは、引退を覚悟していました。
何しろ撮影のときも身体が動かないので、ベッドを用意してもらって仕事に臨んでいたのです。まわりの方にも迷惑をかけながらの撮影に、米倉さんは申し訳なさも感じていました。
そんなとき、とあるお医者さんの情報を得ます。遠方だったので迷いはありましたが、これで最後、最後に賭けてみようという思いで、そのお医者さんに治療をお願いすることになりました。
その先生との出会いで、やっと「脳脊髄液減少症」という病名が判明したのです。
なんとやっかいな病気なんだ。病名が分かるまでそんなに時間がかかるなんて。でも、良い先生に巡りあってよかったです!
その病院には、同じ病気と闘っている小さい子たちも大勢いました。彼女も、この先生に治療をお願いしようと決心し、一度リセットして完全な自分に戻るために仕事を中断しました。
この病気にかかっている人がたくさんいるということ
米倉さんも、この病気になって初めて「脳脊髄液減少症」という病名を知りました。あまり知られていない病気ですが、実は患者さんの数は思っているいる以上に多いのです。
人にわかってもらいにくい病気なので、親御さんも、もしも自分のお子さんがどこかに頭をぶつけたりして、なんとなく元気がなくなっているようなら、ただの「いやいや病」ではないかもしれない、もしかしたら何かの病気かもしれない、ということを考えてほしいと米倉さんは語っています。
私も、そんな病気があるということを初めて知りました。
治療が終わってからは1か月寝たきり
米倉さんは、治療はカテーテルで行いました。その治療が終わってからは、1か月寝ていなければなりませんでした。
1か月後起きようとすると、なんと立てない。脚が弱っていたのですね。声も出ないし、活舌も悪くなっている。そんな状況では皆さんにご迷惑がかかると思い、仕事を中断したのでした。それが2023年の8月。
今は2024年の6月ですが、非常に調子が良いとのこと。
ブロードウェイに立って、作ってもらった靴とは?
ブロードウェイに立つと、靴を作ってもらえるそうです。靴屋さんに行って作ってもらう、完全に自分だけの靴。
柔らかくて、履きやすそう。シルバーの、素敵な靴。米倉さんの宝物です。
小さな靴屋さんですが、ブロードウェイで活躍している多くの俳優たちが、ここで靴を作ってもらっているそうです。米倉さんも、舞台復帰を信じて、新しい靴を作ってもらいました。
この新しい靴を履いてまた舞台に立つ時が来るのでしょうか。
この病気はなかなか完治しないそうですが、それでも、以前よりはずっと元気になられて、こうしてテレビ出演も果たされました。
彼女が「もう大丈夫!」と思うそのときまで、無理せず、身体を休めていただきたいですね。そしてまた、帰ってきた元気な米倉涼子を見たいと心から願っています。