病院から抜け出したソラと祐子を追いかけてきた、チンピラの蒲池。蒲池はフライパンで祐子とソラに頭を殴られ、湖の下へ沈んでいった。蒲池は生きているのか?はたまた、あれが蒲池の最期なのか?
蒲池が生きていなければ、このドラマで初めての「殺人事件」となるが、生きていることを期待したい。なにしろこのドラマは毎回上がり下がりが大きく、原作も無いので先が全く読めない。そこが面白い。
蒲池の車を隠す祐子とソラ
蒲池は池に落ちて沈んでいった。ソラに言わせると「死ぬと2週間くらいで上がってくる」そうだ。本当に上がってくるのか。それとも、生きているのか。
いずれにせよ、蒲池の車を隠さなければいけない。ソラと祐子は蒲池の乗ってきた車を草むらに隠し、その上に木の枝や葉っぱなどを乗せ、外から見えないようにした。
二人はそのまま逃げるように車を走らせた。
祐子は金をソラに渡し、ここからは徒歩で逃げてくれと頼む。だが、ソラはまだ歩くこともままならず、途中で倒れてしまう。見かねた祐子はソラを自宅にかくまうことにする。
家では義光がのんきにギターの弾き語りをしていた。
ソラと同居を始めるが
無事に部屋に隠したと思った祐子だったが、するに義光に見つかった。こうするしかなかったと弁解する祐子。もちろん、湖での出来事は義光には言っていない。
今ソラが見つかったら、自分たちも捕まる。それだけは絶対に避けなければならない。とりあえず3日間の約束でソラをかくまうことにした。
義光は、「オレは知らないからな」というスタンスを保つことにした。
坂本の降格と、ソラの買い物
坂本は、消えた蒲池を探すために、長田と車を走らせていた。坂本の上司・大津から「降格」を命じられる坂本。それを聞いた坂本は怒り狂って車の中で暴れた。なんとしても蒲池を捕まえなければ、次は自分の身が危ない。
二人は蒲池の家を探し当てた。
一方、祐子はソラのために洋服や携帯(使い捨てのプリペイド)などをそろえていた。
ソラはあれを買ってこい、これを買ってこいと祐子に指図する。買ってきた洋服をダサいとけなし、出てきたパスタも冷凍食品だと言ってバカにする。態度も言葉づかいも悪いソラに腹をたてる祐子。義光は平気でギターをつまびいている。
警察の捜査はどこまで
警察では、ソラの居場所をつかめずに苛立っていた。防犯ベルを鳴らした人間も、お札をばらまいた男も、目撃証言がはっきりとしない。
野崎は奥島に、病院の監視カメラの映像を見せた。佐々木夫妻が映っている。なぜ病院に来たのだろう。
さらに奥島は、監視カメラにある男が映っているのを確認した。
「ん?こいつ、赤松じゃないか」
奥島が赤松と言っているその男こそ、蒲池だった。蒲池というのは偽名だったのだ。
奥島は赤松(蒲池)のことをよく知っていた。このへんでは有名なチンピラだが、図体ばかり大きくて、大したことないやつだと。半グレでもなく、半々グレだと言い放った。
もしかしたら、非常ベルを鳴らしたのは赤松では?そんな考えが奥島と野崎の頭をよぎった。
ソラのいる部屋を開けようとする純一
祐子が自宅の階段を上っていくと、純一がソラの部屋を開けようとしていた。部屋は、ソラが出られないように、外から突っ張り棒でドアを開かなくしていた。
純一は、部屋からピアノの楽譜を取り出そうとしていたのだった。驚いたソラは「あとで出してあげるから。部屋に大きなネズミがいたのよ」と、苦し気な嘘をついた。
一方、ソラは「海外に逃げたいから、実家に行ってパスポートを持ってきてくれ」と頼む。「これ、母親に渡せばわかるから」と、封筒を渡す。
「山崎美姫(やまざきみき)」と書いてある。本名だった。
バッグへの細工、そして純一の変化
深夜、祐子はソラのバッグをいじっていた。手縫いで何か細工をしているようだ。義光はすやすやと寝入っている。
すると、純一の部屋から声がする。こんな夜中になんだろう?
純一「頭おかしいんじゃないの?ふざけんなよ、ザコ!何死んでんだよ!」
祐子は驚いて純一の部屋を開けた。純一はヘッドフォンをしてゲームを楽しんでいた。
「こんな夜中に何やってんの?そんな口のきき方していいって誰が言った?」
純一は答えた。「お母さんだってさ、お父さんと喧嘩してるときとか、おんなじじゃん」
祐子は、ただ話し合いをしているだけだと純一に返すと、純一は言った。
「ほら、また嘘ついて。隠し事」
純一は、本当は家の中で何かが起きていることを感づいていたのだった。ヘッドフォンをしていたのも、両親の喧嘩を聞きたくないという気持ちの表れだった。
「もうすぐ、全部よくなる。そのうちいいことあるから」祐子は純一に言った。
坂本、蒲池のアパートで警察とばったり
蒲池(赤松)の自宅に誰かが来ていると、長田から坂本に連絡があった。
坂本が蒲池のアパートを訪ねると、鍵が開いている。中に男性が一人立っていた。奥島だった。
奥島はさすがにベテランらしく、落ち着いて対応する。「良太郎(赤松の名前)の叔父です。そちらは娘(と野崎を指さす)。」
坂本は、赤松の友人だと名乗る。お互いに、赤松の行方を探していると述べる。
野崎が警察だと述べると、坂本は自分の連絡先を教え、明日ならいいと了解した。野崎は、坂本の免許証をスマホで撮影した。坂本は立ち去った。
「任意でしょ」と言われると、警察に強制的に連れていくこともできなかった。
坂本は立ち去った後、すぐにスマホのSIMカードを折った。
ソラの実家
祐子はソラに言われたとおり、彼女の実家を訪ねた。かなり立派なお宅だ。
チャイムを押すと、母・志穂(片岡礼子)が出てきた。祐子に不審そうな顔を向けたが、ソラから渡された封筒を見ると、自宅内に戻り、ソラのパスポートを差し出した。
祐子「何か娘さんにお伝えすることはありませんか?」
志穂「もう迷惑かけるのだけはやめて。そうお伝えください」
祐子はピアノ教室に純一を迎えに行った。純一は店内のピアノをポンポンとしていた。お店の人が「試し弾きしてみる?」と聞くと「買えないから」とつぶやいた。
その様子を見つめる祐子。
祐子とソラ
ソラ「あの金さ、何なのか聞きたい?」
祐子「聞きたくない」
ソラ「そんな、深刻にならなくても」
祐子「死んでるんだよ、人が!」
ソラ「言ったでしょ、選択するなら、覚悟してかないと」
ソラは、こんなことになり、家族や友人に会えなくなったとしても、まったく後悔はないと告げた。ソラが祐子に、あの金は何に使うのかと尋ねると、祐子は「ピアノかな」と答える。
ソラは、せっかくだからいいの買いなよ、グランドピアノを。それに、あいつが死んだのは私たちのせいじゃない、と語った。
坂本は、指示役の大津に呼び出されていた。いつものとおり、回収した現金を大津に渡した。「いつもより少ないが、これは自分が関われていないからだ、ソラを探すために、もっと人を回してもらえないか」と頼んだ。
当面は何もしなくていい、と大津は告げて立ち去った。坂本は、実質的に「お役御免」となった。
グランドピアノ
義光が家に帰ると、祐子が電子ピアノの前にたたずんでいた。義光も祐子も、純一にピアノを買ってやろうと心の中で思っていた。だが、値段が問題だ。
義光「ローン組んで買おうか」
祐子「あの金から出せばいい」
義光は、そんな言葉が祐子の口から出るとは思っていなかったので驚いたが、自分としては願ったりかなったりだ。そうしよう。
義光は、祐子に新しいフライパンを買ってきた。今度は鉄ではなく、テフロンの軽いやつだ。祐子は鉄のフライパンから解放される安堵感から、新しいフライパンをじっと見つめていた。
祐子は、現金の置き場から札束2つを取り出し、また戻した。金は、外の物置の下に隠してある。
グランドピアノの代金は、すべて現金で支払った。昨日取り出した札束2つである。
警察からの呼び出し
義光と祐子は、奥島からの連絡で再度警察へ出向いた。奥島は、バイクの女性が病院からいなくなってしまったと告げた。驚くふりをする祐子と義光。
さらに「この男を知らないか」と赤松(蒲池)の写真を見せられたが、二人とも「知らない」と答える。
奥島は「バイクの女性の脱走を手助けしたのは、この男かもしれない。お二人は、病院に来ていましたよね?本当に見ていませんか?」と尋ねた。
二人が来院したことは、監視カメラで証明済みだった。「知らない、見ていない、病院に来たのは、やっぱりあの女のことが気になったから」と答える祐子。
野崎は、そんな義光と祐子の表情をじっと見つめていた。
ソラの脱走
家に帰ると、ソラが消えていた。あわてて金の隠し場所へ行ったが、金も無くなっていた。ソラは金を持って逃走したのだった。
義光「お金を取り返さないと!」
祐子「もういいんじゃないかな。警察だって私たちのこと疑ってる」
祐子は、純一のためにまた元に戻ろうと義光を説得する。
だが、もう元には戻れなくなっていた。義光は、自分の機材やプロデューサーへの支払いのために、家の貯金から金をほとんど引き出していた。そして、会社も辞めていた。また音楽を志したいと思ってしまったのだ。
だが、頼みにしていた金はソラが全部持っていってしまった。もう佐々木家には生活費もない。
義光が「グランドピアノをキャンセルしよう」と言い出す。グランドピアノは200万もしたのだ。
祐子は、それだけは絶対に許さないときっぱり言った。
そして、佐々木家にグランドピアノが届いた。嬉しそうにピアノを弾く純一を見ながら、義光も祐子も微笑んではいたが、内心複雑だった。お金、どうしよう。
祐子は、実はソラのバッグにGPSを仕込んでおいた。ソラの行先は手に取るように分かっていた。
第3話:感想
佐々木家の中で、一番まともな人間は、間違いなく純一だろう。
純一が夜中にヘッドフォンをつけて、ののしりながらゲームをしているのを見ても、どうして母親がとがめられるだろう。そんな権利はない。
子どもにウソをついて金を返さないでいる親。そんな汚い金を200万も使ってグランドピアノを買ってもらったと知ったら、どれほど純一は傷つくだろう。
「ほんのちょっとした迷いやウソ」が、時間と共にどれほど大きなウソに増長していくか。最初な小さな雪玉でも、転がりながら大きな玉になり、やがては誰も止められなくなる、それと同じだ。