【伊藤万理華】「燕は戻ってこない」河辺照代(テル)役の名演技は泣ける

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NHKドラマ10「燕は戻ってこない」は、同タイトルの桐野夏生作品をドラマ化したものです。伊藤万理華は、ドラマの中で河辺照代(通称テル)の役を演じています。主演は石橋静河、さらに稲垣吾郎、内田有紀という豪華メンバーの中で、伊藤万理華の演技は彼らに決してひけを取るものではありません。

この記事では、伊藤万理華の魅力について語っていきたいと思います。

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目次

「燕は戻ってこない」はどんな話?

まず、燕は戻ってこないというドラマ、大変重い課題をいくつも私たちに投げかけてきます。「女性の貧困」「不妊治療の精神的・身体的苦痛」「子供を持てないという女性ならではの後ろめたさ」「姑から嫁への無理な期待」「出産は命がけであるという事実」などなど。

まず、主人公の大石リキは月収14万の派遣職。介護施設で働きながら、病院での受付も務める。それでも収入はカツカツで、故郷の北海道へ帰る飛行機代もありません。

伊藤万理華が演じるテルは、主人公リキの職場の同僚兼親友です。

一方、裕福な家庭の夫婦を演じるのは稲垣吾郎演じる基(もとい)と、その妻悠子(内田有紀)。悠子は3度も流産し、44歳にして不育症と診断されます。つまり、子どもを持てないと宣言されてしまいます。

自分のDNAを残したいと思う基は、「代理母(だいりぼ)」というビジネスがあることを知り、申し込みます。

貧乏から抜け出したいと願うリキも、そんな人たちの役に立てるビジネスがあることを知り、彼女も応募します。リキは「子供を産む」側。悠子は「子供を産んでもらう」側です。

持てる者と持たざる者。(経済的に)

産める女と産めない女。

複雑な人間関係が絡み合って、ストーリーは女性の抱える悩みを多方面から見つめていきます。

このドラマの詳細をもっと語るには長くなりすぎるので、興味ある方は別記事をお読みください。

「燕は戻ってこない」伊藤万理華はどんな役?

あまりに多くの問題を抱えているこのドラマは、見ていて切なくなる女性も多いのではないでしょうか。どこかで自分と重ね合わせていることと思います。私も同じくです。

さて、伊藤万理華は主人公のリキの同僚、テルを演じています。

テルはリキと同じ地方病院の受付勤務。リキと同じく薄給なので、別にバイトしています。そのバイトが「風俗」です。病院と風俗のダブルバイトです。

いつも遅刻ギリギリで出社するテル。でも底抜けに明るいんだよね。

風俗のバイトのせいで、しょっちゅう病院に遅刻してくるテルを、リキは気遣います。はらはらしながらも、見守ります。リキとテルは全く性格も違いますが、お互いに信頼しあい、何でも言える仲です。

二人ともお金がないので、しょっちゅうカップ麺や菓子パンなどを病院の屋上で食べています。

テル、リキに「おいしいバイトがあるけどやらない?」と卵子提供を持ち掛ける

ある日のこと。テルはどこで聞きつけたのか、テルに「卵子を50万で買ってくれるバイトがあるらしいんだけど、応募しない?」と声をかけます。

リキ「いくら50万もらえるって言われても、それって自分の子がどこかで生まれて生きてるってことじゃん?そんなの嫌だ。」

テル「そうかな?じゃあ、献血はどうよ?私は献血よくするけど、献血だって自分の血がどこかの誰かの身体の中に入っていくわけでしょ。それと同じじゃん?」

リキ「卵子と献血は違うよ!」

テル「そう?私たちにはわからないよ。わからないことは無理に分からなくていいんだよ。」

コンビニの食事用カウンターで菓子パンを半分ずつ分け合いながら、そんな話をする二人。

ドラマを見ながら私も考えた。

リキの言うことももっともだ。でも、テルの言うことはメチャクチャなことなのか?

誰かに卵子を提供する。あとは知らない。50万円はゲットできる。そのこと自体、どこに「悪」や「後ろめたさ」があるのだろう?

どっちが正しく、どっちが間違っている、そういう議論ではないような気がする。

「卵子」。この目に見えないほど小さなものは、生命の源であることは間違いない。そして、それは自分だけのDNAを持っている。

それを手放すとはどういうことなのだろう。あまりに現実味がなさすぎて、私は自分の想像力の無さに愕然としてしまった。

テルのあっけらかんとした態度にすがすがしささえ覚えた。

そんなテルを演じているのが伊藤万理華だ。貧しさからダブルバイトで風俗という働き方を選んだテル。彼女を軽蔑することなどできようか。

燕は戻ってこない:伊藤万理華は天才だ

この難しい役どころを、よく引き受けたと思う。しかも、アイドル路線まっしぐらの伊藤万理華。自分なりの芯を持ち、覚悟を持った女性なのでしょう。

男にお金を貢ぐテル:心配をするリキ

ある日、テルはまた病院を遅刻した。始業時になっても一向に来る気配がない。

ようやくつながったリキからの電話に出たテルは、元カレが来ているとリキに告げた。

リキ「また来てるの?もう別れたんじゃなかったっけ?いつもお金が無くなると来るよね?もう5回目だよ!」

リキはテルのことが心配で仕方がない。そんなとき、テルが放ったひと言。

テル「私ね、身体は売っても心は売らないから。」

なんという潔いひと言だろう。アホな男に騙されているのだろうと思いながらも、視聴者は涙が出てくる。テルの心は純粋なのだ。

でもね、そういう女の子って本当にいるのです。ある一線を越えると、身体は心から離れ、単なるビジネスと割り切れる瞬間がくるのです。

でも、自分の愛する心は決して失わない。そういう女性は実際にいるものです。

テルはそんな女の子。そんな子を嫌いな女性はいません。女性はみんなテルの味方です。もちろん私もね。

ていうか、伊藤万理華の演技が素晴らしすぎて、役にドはまりしていることに感動すら覚えます。

伊藤万理華は天性の才能を持っている。伊藤沙莉に通じるものがある、そんな女優さんです。(同じ伊藤ですね。)

愛する彼氏の故郷に一緒に帰る決断をするテル

ある日、テルはリキに言います。

「私、彼の故郷に一緒に帰ることにする。勤めはやめる。故郷に帰って、彼のお母さんの面倒を見る。二人でがんばって働いてお金を貯める!もう一度やり直すんだ!私、もう疲れた。」

「もう疲れたよ・・・」

リキのその言葉に、これまで何も深いことは考えず、バカっぽく生きてきたリキは、本当はひどく傷ついていたのだと思い、私たちはまた泣けてきます。

表面はどこまでも明るく、「難しいことは考えなくていいじゃん!」と言いながら、実はリキを励ましていたのでもありました。

元気づけられていたのはリキだったのかもしれません。

東京を去る前に、病院の屋上で「写真撮ろうよ!」とテルの提案。

パチリ!

テルのはじける笑顔!本当にいろいろな表情を見せてくれる。テルが出てくるだけで元気が出ますよね。

テルが大好き。テルには幸せになってほしい。心からそう願う。

そして、私もテルみたいな友達がほしい。はらはらしながらも、楽しい友達になれる自信がある。

【燕は戻ってこない】テル役の伊藤万理華:まとめ

伊藤万理華は元乃木坂46のメンバーですが、私は彼女を知りませんでした。「坂道系」にはとんと疎い私です。そんな私ですが、燕は戻ってこないを見て、すぐにテルのファンになりました。つまり、伊藤万理華のファンになったのです。

もはや、テルは伊藤万理華にしか演じられないのではないかと思うほど、はまり役です。

ですが、同時進行しているNHKのドラマ(土曜日)のパーセントでは、まったく違う役柄を同じく伊藤万理華が演じています。

つまり、彼女はどんな役でもこなせるということ。完全に役になりきっています。

辛い役は、演じるのも辛いでしょう。でも、視聴者として伊藤万理華に拍手を送ります。これからもずっとその一途な演技で、私たちを楽しませたり、泣かせたり、感動させたりしてほしい。そう願います。

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