022年の参院選で一気に存在感を増した参政党。SNSやYouTubeを駆使し、「言いたいことを言える政治を」と訴える姿勢で一部有権者の共感を集め、地方議会でも勢力を拡大しています。
そんな中、党の代表である神谷宗幣(かみや・そうへい)氏による“監視カメラ設置疑惑”が浮上し、波紋を広げています。
議員事務所にカメラを設置?目的は「防犯」か「監視」か

事の発端は、昨年の衆議院選挙で当選した参政党所属の新人議員3名の議員会館の事務所に、録画機能のあるカメラを設置するよう神谷代表が指示していたという報道です。
通常、議員会館の事務所には秘書室、応接室、議員の執務室がありますが、これらすべてにカメラを設置するよう求めたとされ、波紋が広がっています。
特に注目を集めたのは、他党から移籍して当選した鈴木敦議員のケース。彼は「前代未聞」として設置を拒否し、その後、党本部から派遣された秘書が事務所に就任することに。これについても、「監視役では?」といった疑念が生じています。
神谷代表の説明:「外部の妨害行為」への対策

神谷氏は報道を受けて、「防犯のための設置であり、監視目的ではない」と説明。「事務所前での迷惑行為が発生しており、議員とスタッフの安全を守るために必要な措置だった」と主張しています。
しかし、党の拡大とともに離反者や内部トラブルも目立ち始めており、「党内の統制強化」の一環ではないかと見る声もあります。
急成長する参政党、その“強さ”と“脆さ”
参政党は、2022年の参院選で初の国政進出を果たし、昨年の衆院選でも3人を当選させました。地方議会でも議員数は145人超に。
全国の選挙区で候補者を立てる計画を掲げるなど、非常に積極的な選挙戦略を展開しています。
一方で、急拡大の裏で生じる統制や情報管理の難しさは、今回のカメラ設置問題にも垣間見えます。

参政党って統一教会なの?



そんなこと聞いたかもしれない
Q&A:参政党と今回の騒動についてもっと知ろう
- 参政党ってどんな党?
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参政党は2020年に結成された比較的新しい政党です。
主な主張は「教育」「食と健康」「国の守り」などで、「国民が政治に直接参加する」を理念に掲げています。
SNSやYouTubeを活用した発信で注目され、政治に無関心だった層へのアプローチに成功。右派寄りの保守的立場を取りつつも、若年層や子育て世代から一定の支持を得ています。 - 今回の“監視カメラ設置”は違法なの?
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現時点では違法性があるとは断定されていません。
神谷代表は「防犯目的」としていますが、「執務中の監視」と捉えられればプライバシーの問題に発展する可能性もあります。議員本人が拒否している場合の設置は特にセンシティブです。 - 参政党の支持層はどんな人たち?
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政治への不信感を持ち、既存政党に期待できないと感じている人たちが主な支持層です。
「自分の国を自分たちで守る」「メディアに騙されない」といったメッセージが響いています。 - なぜ党の代表が議員の動きを把握したがるの?
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党の規律維持や路線の一体化が理由と見られます。
とくに若手議員や移籍組に対しては「党としての方針に従っているか」をチェックする意識が強いとされます。ただし、過度な管理は信頼関係を損ねるリスクも。 - この騒動で参政党はどうなる?
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党の透明性や信頼性が問われる正念場です。
熱心な支持者が多い一方、今回の件で「内部統制が厳しすぎるのでは?」といった批判も出ています。7月の参院選に向けて、党の姿勢がより注視されるでしょう。
最後に
国民の不満や不信を代弁する存在として注目される参政党。しかし、その“内側”の実態にも目を向ける必要があるかもしれません。政党が信頼を得るために必要なのは、監視ではなく「信頼と対話」ではないでしょうか。