オリンピックを見ていたら、あちこちで「無課金おじさん」の言葉を見るようになりました。最初は「何かのゲーム?」と思っていたのですが、実はトルコの射撃選手のことだったんです。
なぜ「無課金おじさん」と呼ばれているのでしょうか?むしょうに気になったので調べた結果をお知らせします。
「無課金おじさん」は、トルコの射撃手でメダリスト!
「無課金おじさん」とは、パリ五輪の「射撃混合10メートルエアピストル」で銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケッチ(Yusuf Dikec)選手(51)のことでした。
51歳で銀メダルを取るなんてかっこいい!そして、51歳には見えないほど若い方ですね!何かに打ち込むと老ける暇などないのかもしれません。
では、なぜこのディケッチ選手が「無課金おじさん」と呼ばれるのでしょうか?
ゲームの「課金」から来ていた日本ならではの呼び名だった!
ディケッチ選手は射撃の選手ですが、「射撃特有の装備を何もつけていない」ことから、ゲームの「無課金」状態だということで、その呼び名がついたようです。
ゲームをやらない方のために、詳しく説明します。
無料のゲームで、おじさんが獲物を射止めるゲームがあるとします。最初は一所懸命撃つのですが、やっぱり的に当たりません。どこかでお金を払って(課金して)、イヤーマフ、シューティンググラス、帽子など、ひとつずつ装備品をゲットして的に当てることをしていきます。
それが普通なのですが、それを課金せずに(無課金で)的に当ててしまったのが、ディケッチ選手というわけです。日本の無料ゲームでは課金するのが最終目的にたどりつく方法なので、さすが日本人らしいネーミングだなあと、感心しました。
射撃競技では選手は通常、イヤーマフやシューティンググラス、帽子などの専用の装備を身に着けます。ですが、ディケッチ選手は普通の眼鏡を掛け、トルコチームの白いTシャツ姿で登場。左手をポケットに入れたまま標的を狙いました。
さらに、写真を見てわかるように、ディケッチ選手は片手をポケットに入れています。かっこいいですね。
普通は片目で照準を合わせるので、片目だけ見えるグラスをかけます。さらに、撃つ音がすごくうるさいので、イヤーマフもつけます。
無課金おじさん、もとい、ディケッチ選手は耳や目に装備を着けず、片手をポケットに手を入れたままというカジュアルなスタイルで試合に臨み、銀メダルを取りました。
そのクールでカジュアルなスタイルは、一夜にして世界中のインターネットで話題となったのです。
こんな簡単に銃を撃つの?
最初は信じられませんでしたね。
なお、ディケッチ選手は片目ではなく、両目で撃つそうです。大変珍しく、世界でも彼一人ではないでしょうか。どうやって照準を合わせるんでしょうね。
ネットでは賞賛の声、多数!
ディケッチのスタイルは日本のX(旧Twitter)でも多くの投稿を産みました。
「射撃場にフラッと来た無課金おじさん」
「初期装備」
「惚れてまうやろこんなん」
「トルコがヒットマンをオリンピックに送り込んできた」
「姿勢の美しさがすごい」
「隠居した元凄腕エージェント」
「職人感がカッコいい」
などなど。
私は昔、日本のトルコ大使館で働いていたことがあるので、なんだか自分の第二の祖国の人がメダルを取ったような嬉しさがありました。
こんなすごいイラストを描いている人もいました!いいなあ、絵が描けるって!
トルコのおじさんあまりにかっこよくてスケッチしてしまった 描いてみるとあらためてわかるんですけど姿勢の美しさがすごいわ pic.twitter.com/DAjEvKowDV
— さかき (@sakakir) August 1, 2024
日本では射撃で出られるのは特別な職業の人しかいないので、オリンピックでは逆にリラックスして射撃を楽しめます。
ディケッチ選手、ダンスが趣味の独身男性
トルコのメディアによると、1973年生まれのディケッチ選手は、憲兵隊として勤務しながら、2001年からスポーツ射撃を始めました。
国際射撃スポーツ連盟の公式サイトによると、彼は男子10メートルエアピストルの世界ランキングで8位に位置し、これまでに世界選手権で2つ、ワールドカップで3つ、ヨーロッパ選手権で7つの金メダルを獲得しています。趣味はダンスで、現在は独身であると記載されています。
また、インスタグラムには猫と遊んでいる写真が投稿されており、猫好きである可能性が高いと見られています。
誰にでも好かれるディケッチ選手の人柄が評判!
パリオリンピックで銀メダルを獲得し、トルコに帰国したディケッチ選手は、現地メディアの取材に応じました。世界中で話題になっていることについて尋ねられると、「世界が注目しているのは私ではなく、トルコです。私たちはただの象徴にすぎません」と謙虚に答えました。
また、「私自身も驚いています。ここまでの反響があるとは思っていませんでした」「世界中の人々から良い反応をもらえて、とても嬉しいです」と語りました。
さらに、彼のシンプルな射撃スタイルについて、「装備に関して省庁や連盟から否定的な意見はありません。これは私自身の選択です」「世界では片目で射撃する人が多いですが、私は両目で行います。色々と研究した結果、その方がより正確に撃てると確信しました」
「ポケットに手を入れて撃つことは見た目のためではありません。これが一番やる気が出て、射撃の瞬間にリラックスできるのです」と説明しました。
ディケッチ選手のクールで謙虚な人柄が伺えます。パリオリンピックをきっかけに、大スターになる可能性があるでしょう。
ディケチ選手は、オリンピックには2008年の北京大会から5回連続で出場し、メダルを獲得したのは今回が初めてですが、4年後のロサンゼルス大会にも意欲を見せているということです。
無課金おじさん、また次のロス五輪でも見たいですね!
トルコの無課金おじさんに日本のやらかしがばれていた
— May_Roma めいろま 谷本真由美 (@May_Roma) August 3, 2024
pic.twitter.com/1D5hS4UleU