日本人の食卓に欠かせない「お米」。しかし近年、米不足や価格高騰が続き、消費者の生活を直撃しています。「スーパーで米が高すぎる」「政府は何をしているのか」「備蓄米はどこへ?」といった声も日々強まる一方です。
そんな中、都内最大手の米卸売業者、木徳神糧(きとくしんりょう)が過去最高益となる28億円の純利益を見込むと報じられ、SNSを中心に「ぼろ儲けしてるのでは?」という疑問や不満の声も噴出しています。
果たして、木徳神糧は米価高騰に便乗して「悪徳商法」をしていたのでしょうか?そして、なぜ政府が備蓄米を放出しても、価格が下がらないのでしょうか?本記事では、この複雑な構図を冷静に読み解いていきます。
木徳神糧とは?日本最大級の米卸売会社

木徳神糧(きとくしんりょう)株式会社は東京都千代田区に本社を置く、米専門の卸売会社。年間販売量は業界トップクラスで、全国のスーパーや外食チェーンなどと取引があります。
最近では、2025年12月期の業績予想を売上1650億円・純利益28億円へと上方修正し、いずれも過去最高を記録する見通しを発表しました。
その背景にあるのが、2024年産米の品不足と価格高騰です。木徳神糧は「取引先との交渉を通じて、適切に価格転嫁を進められた」と説明しています。

お米の商社?なんて初めて聞いたわ



儲かっているのは事実のようね
なぜ米の価格は下がらない?


政府は備蓄米の市場放出を行っており、農林水産省は「5キロ2000円台」を目標にしています。ではなぜ、私たちがスーパーで見る価格は依然として高止まりしているのでしょうか?
理由は複合的です:
- 流通の制約:備蓄米の放出には一定の手続きがあり、即座に市場に大量に流れるわけではありません。
- 小売の販売戦略:特売の機会が減り、安価で提供される機会が少なくなっています。
- 人件費・輸送費の上昇:米の価格には、保管・運搬・パッケージ・人件費などのコストが反映されています。
- 業界全体の利益構造の変化:価格高騰により粗利率が上がり、企業によっては大きな利益を確保できたケースもあります。



複雑なのはわかるけど、ずっとお米が高すぎるのは問題よ



国が「無策」と言われても仕方がないわね
「中抜き」なのか?それとも「正常な利益」なのか?


ネット上では、「卸が中抜きしている」「農家が儲からず卸だけが儲けている」といった批判も見受けられます。
しかし、卸売業は単なる“中継ぎ”ではなく、以下のような重要な役割を担っています。
- 全国からの仕入れ、品質管理、在庫管理
- 各小売店や外食チェーンへの安定供給
- 小規模農家では対応しきれない大規模物流と販売網の整備
実際、業界全体で見れば、通常の卸売業の純利益率は1%前後とされており、木徳神糧が今年得た約1.7%の純利益(売上1650億円に対して28億円)は、決して“暴利”とは言い切れません。
国民の不満が向く先は「仕組み」の問題
木徳神糧のような企業が利益を出している一方で、農家が潤っていないという現状には大きな問題があります。
例えば、農家と消費者を直接つなぐ「米の直販プラットフォーム」が普及すれば、中間コストが削減され、農家にも消費者にもメリットが出るかもしれません。
また、卸売企業が得た利益を従業員の給与や社会貢献に還元する動きが広がれば、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
いずれにせよ、早く以前のように安心して買えるお米の価格に戻してほしいものです。
まとめ:怒りの矛先は「誰か」ではなく「仕組み」へ
木徳神糧が過去最高益を出したのは事実ですが、それが即「悪徳商法」や「ぼったくり」を意味するわけではありません。むしろ、この状況を通じて浮かび上がってきたのは、米流通の仕組みの歪みと、それに対する政府の調整力の不足です。
食の安全と安定供給を守るためには、政府・企業・消費者の三者がそれぞれの立場から仕組みを見直し、持続可能な農業と流通体制を構築していく必要があります。
一時的な“怒り”に任せて誰かを責める前に、「なぜこうなったのか?」という問いを持ち続けることが、よりよい未来につながるのではないでしょうか。