吉田大八監督の映画『羊の木』。主演の錦戸亮が、最後に木村文乃がつぶやくシーンが謎だと言われています。
この記事では、木村文乃がつぶやいた言葉、そしてその意味について解説します。
木村文乃がつぶやいた言葉「ラーメン」の意味

映画のラストシーンは静かなものでしたが、ある意味衝撃的なシーンだったと言える。
ツキスエ(錦戸亮)は同僚と車で移動中に、前から来たあや(木村文乃)と出会う。お互い赤信号で向き合って止まっている。
二人、気づいて見つめ合う。ツキスエを見るあやの目は優しかった。
そして、あやがつぶやいた言葉は「ラーメン」
もちろん、ツキスエには聞こえるはずもないが、あやがもう一度ゆっくりとつぶやいたその口の形を見て気が付いた。
「ラーメン」
同僚は「ラーメン?」と意味がわからず問い返したが、ツキスエには分かっていた。
あのとき、誘われた8号線のラーメン屋に行こう、というあやの思いを。
ツキスエが自分に好意を持っていてくれたことを、あやは高校のころから気付いていたが、思いは一方的なものだった。
だが、ここでようやくあやはツキスエの気持ちを素直に受け入れることができたのだ。
gatuitaあやが好きだったラーメン屋

あや(木村文乃)はラーメン屋の前にたたずんでいる。すでに廃業したラーメン屋だ。
そこを通りかかったツキスエ(錦戸亮)は「何やってんの?」と尋ねる。
あや「つぶれたんだ、ここ」
ツキスエ「うん、だいぶ前だけどね」
あや「・・・」
ツキスエ「あや、好きだったもんね。なんだっけ…地獄ラーメン!真っ赤なやつ」

あや「ははは、よくあんなの食べてたよね」
ツキスエ「8号線にできたラーメン屋、けっこう美味いらしい」

あや「ふーん。じゃ。」
二人は高校の同級生で、ツキスエはほのかにあやに恋心を抱いてい。そしてその気持ちはまだ続いていたのだ。
8号線のラーメン屋にそれとなく誘われたと、あやは気づいていた。
一瞬とまどったが、「ふーん、じゃ」とその場を流して帰っていった。
そのとき、あやの気持ちは宮腰(松田龍平)にあったのだ。
そして、このシーンはラストへつながるのである。
まとめ
地味ではあるが衝撃的な「羊の木」。
なんともやるせない気持ちにさせるシーンが多く、怖さというよりは、人を応援する気持ちにさせてくれる。
最後のシーンはこの映画の究極だ。
幸せになってもらいたい二人(あやとツキスエ)だが、あやが「いつか誘ってくれた、8号線にできたっていうラーメン屋、今度連れて行ってよ」とツキスエに心の中で伝えるシーンで映画は終わる。
小さな町の、何気ない風景。だがそのひとつひとつに、その人の大事な一コマが映し出されているのだ。
「観てよかった」と思える映画のひとつである。良い映画は、地味だがジワジワと心に残る。
錦戸亮の演技のうまさが一段と光っている。
