元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が、フジテレビの第三者委員会による報告書に対して、強い疑問を呈しています。
「性暴力」とされた中居正広さんの行為について、「社会的制裁が重すぎる」と警鐘を鳴らしました。
今回は、橋下氏が週刊文春に寄せた約8000字のコメントを元に、その主張をわかりやすくご紹介します。
「中居氏の行為は性暴力ではない」という法律家の見解

橋下氏は、自身が把握している限りの事実に基づいて、中居正広さんの行為は「性暴力にはあたらない」と断言します。
彼は過去にも同様の事案を多数扱ってきた経験から、今回の件も「男女間の気持ちの行き違いによるトラブル」と評価しています。
中居さん自身が謝罪文を出し、示談が成立したことを「反省の意思」として受け止める一方で、それだけで「性加害者」と断罪するのは無理があるとしています。
「意に反した」=すぐに性暴力?その断定は危険
法的に見ると、2023年の刑法改正でも「不同意=すぐ犯罪」とはなっていません。大切なのは、「拒否の意思を示せないような状況だったかどうか」です。つまり、具体的な「状況の検証」が不可欠だと橋下氏は訴えます。
第三者委員会の「断罪」は越権行為?

さらに橋下氏が問題視するのは、フジテレビ第三者委員会のスタンスです。本来この委員会は「企業の対応」を調べるのが役割。中居さん個人の行為を断罪し、社会的な非難を招くような報告書を出すことは、「委員会の権限を超えている」と指摘します。
特に問題なのは、中居さんに「反論の機会」が与えられていなかったこと。裁判と同じように、証拠の開示や証言の吟味がなければ、公平な判断とは言えません。
「将来目標」と「断罪」は別物
橋下氏は、「不同意=性暴力をなくそう」という社会の目標自体には賛成しています。しかし、それは「社会が目指す姿」であって、個人を断罪するための基準にはなりえないと主張。
被害者の声に耳を傾けつつ、冷静な判断を
橋下氏は、被害を訴える女性の「内心」は否定できないとしつつも、それだけで加害者を決めつけることのリスクに警鐘を鳴らします。
今回の件については、中居氏側の反論や資料を精査しないまま、社会的制裁だけが先行していることが非常に不公正であると語っています。
まとめ:感情ではなく、事実と手続きの冷静な検証を
橋下氏の主張の核心は、「誰かを断罪するなら、厳密な手続きと事実確認が必要だ」というものです。
今回のフジテレビの第三者委員会の報告書は、中居正広さんという一個人に対して、法的な裏付けなしに重大な烙印を押してしまった可能性があります。
橋下氏は、「断罪」と「社会的目標」は混同してはいけないと繰り返し述べており、「冷静で丁寧な社会的議論」を呼びかけています。
橋下徹氏の問題提起は、今後の日本社会における性被害対応や報道の在り方を問い直す重要な視点を含んでいます。
中居さんの件に限らず、誰もが「加害者にも被害者にもなり得る」時代に、私たちはどんな社会を目指すのか。慎重な対話と理解が求められています。