ニューヨーク発祥のストリートダンスであるブレイキンは、DJの音楽に合わせて軽快なステップやアクロバティックな技を披露するダンス競技。
パリオリンピックの新種目として注目を集めており、特に日本人女性選手が注目されています。実際、世界ランキングのトップ16に日本人女性が4人もランクインしているのです。
この記事では、メダル候補と評判の高い湯浅亜美(AMI)に注目していきます。
【追記】ここで、AMI選手の最終結果が出ましたので、ご報告いたします。
ブレイキン女子決勝 AMIーNICKA(10日、コンコルド広場) ブレイキン女子の決勝が行われ、湯浅亜実、ダンサーネーム・AMI(25、Good Foot Crew)が金メダルを獲得しました。今大会から追加競技となったブレイキンでAMIは見事、初代女王に輝きました。
AMI選手の決勝のダンスはこちら。
AMIさん金メダルおめでとうーー🥇✨️✨️
— びっぐまっく🍔🍟 (@mgmgbigmac) August 9, 2024
初代女王めっちゃかっこよかったーー‼️
終わった後のインタビューめっちゃ可愛いギャップが最高です🫶🫶🫶#AMIさん#ブレイキン pic.twitter.com/QELkBNVqHt
下の写真は、日本代表4人(シゲキックス、Hiro10、AMI、AYUMI)が仲良く記念写真を撮っているところ。AMIは左下。その隣はシゲキックス。
パリから動画を更新!「楽しみすぎる」との声多数!
パリオリンピック大会終盤に、いよいよ初の競技「ブレイキン」が始まります。Bガールの予選は8月9日の夜から。パリのコンコルド広場(ブレイキンが行われる競技場)はすごい熱気に包まれることでしょう。
AMIも、パリでの練習風景をインスタにアップしています。ご紹介しますね!
あざだらけになりながら夢中で続けた練習
彼女がダンスを始めたのは6歳のとき、ヒップホップダンスを習っていた姉の影響でレッスンに通い始めました。
10歳でブレイキンに出会い、特に「ウィンドミル」という技に魅了され、その技を習得するために本格的に練習を開始します。彼女は週に3、4回のレッスンだけでなく、家の前のアスファルトで毎日のように練習を重ね、あざだらけになりながらも楽しんでいました。
15歳になると、その情熱はダンスバトルへと向けられ、東京のクラブで行われるバトルに参加し始めます。当時、キッズや女性が少ない中で異色の存在となった彼女は、家族のサポートを受けながらその世界に没頭していきました。
カルチャーからスポーツへの葛藤
パリオリンピックで新種目となったブレイキンは、カルチャーとしてのダンスからダンススポーツへと変化しました。彼女はこの大きな環境の変化に適応しながらも、踊り手としての葛藤を抱えていました。
従来のバトルでは、自分たちで大会や審査員を選び、たとえジャッジがフェアでなくてもそれを受け入れるカルチャーがありました。しかし、ダンススポーツとしてのブレイキンには制約や変化が伴い、自分のダンスを追求することに集中するのが難しくなりました。
この新しい環境での試行錯誤の中、彼女がたどり着いた答えは「後悔できないほど、できることをすべてやり尽くす」という覚悟でした。
結果にこだわらない!
彼女は今、結果だけにこだわることをやめ、自分の踊りをステージで出し切ることに重きを置いています。勝敗よりも、自分が目指すB-Girlになるために必要なことに集中し、練習を重ねることが最も重要だと気づいたのです。
大会には勝つ気持ちで挑むものの、最も大切なのは練習の成果を全て出し切れるかどうかであり、それに向けて努力を続けています。
「欠けている」からかっこいい!を大切にする
彼女はダンススポーツの成績分析表にあまり囚われないようにしています。採点項目が満点だときれいな六角形になりますが、ブレイキンの魅力はどこかに欠けた部分があるからこそかっこよく見えると感じています。
結果に集中するのではなく、その場で自分が勝ったか負けたかをどう感じたかを大切にしようと決めました。たとえ結果が思い通りでなくても、そのステージでの感触や気持ちを最も重視し、「気持ちよく踊れた」「相手にやられた」といった感情を大切にしています。
「趣味は編み物」という女性らしい一面も!
そんなブレイキン一筋のAMIですが、なんと「趣味は編み物」という、ブレイキンとは全く違う一面も持ち合わせています。
手編みのニット帽、日の丸付き!
閉会式ではオフホワイトに赤い日の丸の日本の国旗をデザインしたニット帽をかぶり、注目を集めました。すごいですね、いつ編んだのでしょう。
インスタの動画もご覧ください。
筆者も編み物をやりますが、「手編み」をするということは、ただ単に「毛糸で帽子や手袋を作る」だけではなく、無新になれる効果があります。
何かプレッシャーを抱えているとき、無心になれるものがないと、心が折れてしまいそうになります。そんな時、編み物は心の助けになります。
編み物は、毛糸と編み針さえあれば、世界中どこへ行っても楽しむことができます。そんな編み物の趣味を持つAMIさんは、心身両面のバランスが取れていると思いますね。
そして、出来上がったものを自分で使うのはもちろん、人にプレゼントしても「唯一無二の手作りのもの」は喜んでもらえます。
自分の心身を保つためにもなるし、人に喜んでもらえる。「編み物」は一石二鳥ですね。
「印象に残る」ってとても嬉しいし、大切なこと
彼女が理想とするB-Girl像は、勝敗にこだわるのではなく、自分らしさを追求し、「かっこいい」と誰かの心に残る存在です。大会では、優勝者ではなくても印象に残るダンサーがいることに気づき、自分もそのようなB-Girlになりたいと考えています。
軽やかなステップとアクロバティックな技を流れるように織り交ぜて磨き上げる25歳のB-Girl AMIは、今年の夏、パリの舞台で観客を魅了することでしょう。
確かに、スケートボード男子で金メダルをとった堀米優斗選手も、スケートボードをずっとカルチャーとしてとらえていたのに、スポーツと考えることにかなり葛藤があったと言っています。
皆で楽しむカルチャーと、技の一点一点を競いあうスポーツは、考え方がまるで違います。それを受け入れるか否かは、簡単ではないでしょう。
ブレイキンはもともと、ニューヨークの黒人たちが、ストリートで暴力の喧嘩をする代わりに、ダンスで競い合うという形で始まったものです。始まり方というか、ブレイキンの発想そのものが素晴らしいですよね。
私たちも、メダルの色にこだわらず(もちろん日本人を応援しますが)、たとえメダルが取れなかったとしても、そんなことはどうでもいい。力を出し切った選手へ「よくやった!」と激励しましょう。そして、「ブレイキンてこんなに面白いんだ」と感じて観戦しようではありませんか。SNSへの誹謗中傷はもってのほかですよ!ブレイキンの精神に反します。