いよいよ謎に包まれた橋の崩落事故の原因が明らかになる!裏切りを重ねた登場人物の真の姿はいかに?狩山が信じられる人間は誰だったのか?そして、半田の娘の事件の真相もつかめるのだろうか?
今回の最終回は盛りだくさんの内容でお送りします。
取り調べ
本宮が持っていたコピー
「狩山陸、監禁罪の現行犯で逮捕する」
「こんなことするなんて聞いてない。だましたの?」という玲子の叫び声がこだましていた。
警察署前では、たくさんの報道陣が狩山逮捕を受けて待っていた。
頭からかぶせた布を取り払う狩山。堂々としていたいという現れである。
家では玲子が呆然と床に座ったままだった。
本宮が玲子に電話をした。
「狩山部長が探していた、証拠が入っています。」
本宮は、南雲が大事そうにSSDを持っていたので、浮気の写真でも入っているのではないかと、コピーして持っていたのだ。パスワードがかかっていて、中身は確認できなかったが。
秋澤に打ち明けてしまったので、握りつぶされてしまうことを恐れ、本宮は玲子に手渡したのだ。
取り調べ
狩山は黙秘を続けている。
玲子は秋澤に電話する。「先生、私には時間が残されていません。先生は本当に、狩山の味方ですか?」
秋澤は狩山を訪ね、自分を再度狩山の弁護士に任命してほしいと頼む。秋澤は決定的な証拠を持っていた。書類とコピーである。社長が廃棄したやりとりも秋澤は録音していた。
秋澤は社長の懐に入って、事件の真相を探っていたのだ。
「なぜですか?僕はあなたのことを、最低の弁護士だと思っています。」と、狩山。
「あなたは、あの事故から、逃げなかった。自分の事故から、組織や権力から逃げなかった。あなたが逃げたのは刑務所からだけです。」秋澤は狩山に言った。
狩山は、もう一度秋澤に弁護を依頼することにした。パスワードを秋澤に教えた。
パスワード、教えてしまったけど、大丈夫かな。でもこの人、汗かかなくなったね。
本当に教えてもいいの?
検察へ送致
監察官は、狩山の取り調べをした悪人だった。まあ、現実でも同じようなものかもしれませんね。権力の味方です。今回の場合は、東京都と都知事の味方です。
ついに狩山が逮捕された。検察へ送致されることになったのだ。
検察官は他の刑事を部屋から出し、狩山と二人になったとき、録画をオフにした。
「君を監禁罪に問わないことは、もう決まっている。そのかわり、これ以上龍神大橋の事故を蒸し返すのはやめろ」と言った。「君を救いたいんだよ。」「君自身もつぶされるぞ。私の気持ちを無にしないでほしい。」と続ける管理官。
ほんと?
その言葉、信じていいの?
黒木登場
「狩山との時間をいただけませんか?」と黒木は管理官に尋ねた。
「5分だけ時間をやる」と、管理官は黒木に言った。「ただし、条件がある。」
「狩山に、検察で龍神大橋のことを訴えないようにしろと、お前からも言ってくれ。狩山の口をふさいでくれと。東京が大変なことになるからな。」
「わかりました。」と、黒木。
南雲、退院
ベトナム行きを社長に断りにきた南雲。「僕は裏切った人間です。あのこと、秋澤先生に言いました。再審に向けて退所すると言ってもらいました。」
社長に詰め寄る南雲。社長に証言してほしいと懇願する南雲。
社長は南雲の仕事ぶりなど何も知らなかった。それなのに、南雲の仕事をほめ、ベトナムに行けという。
社長の言葉は全く信頼できないと知った南雲。
「僕はもう、こんな会社にはいられません。」
南雲は反旗を翻したのだった。
黒木、狩山と話す
「どうせならあなたに逮捕してもらいたかったです。」狩山は向こうから歩いてきた黒木に言った。
「俺は半田弥生事件の帳場に戻ってる。確認したいことがあって時間をもらった。」
「半田さんの手がかりをもとに被疑者を逮捕した。あれだけのものを彼は本当に一人で調べ上げたのか?」
「ええ。東京に何度も行って証拠集めをしたって言ってました。」
マジで?半田弥生さんの犯人が逮捕されたの?それだけ?えー、結局警察は何もしなかったっちゅうことか。
黒木は続けた。
「監察官は、検察では事故についてしゃべるなと言ったらしいな。あんたを救うためだって。いいか、騙されるな。この人はあんたをだまして上に恩を売りたいだけなんだよ。」
管理官、黒木の言葉を聞いて「こいつは何を言ってるんだ?」という顔。黙らせたいが、黒木は黙らない。
「だからあんたは言いたいことを言えばいい。あんたは間違ってないよ。自分の思いに正直になればいい。」
突然の黒木の言葉に、管理官は激怒する。
「今までお世話になりました。」黒木は警察を辞める覚悟だったのだ。
狩山は言った。「ありがとう。」
再審を準備する秋澤
「私を利用していたのですね」と社長が秋澤に言う。
「勝ち誇っているおつもりですか?私が、あなたを信用していると思っていたのですか?先生は、SSDを廃棄したとき、あなたは録音していましたよね。騙し合いは私の日常ですよ。」
秋澤「依頼人の信頼を得らえるよう、全力を尽くします。」
社長「狩山君が、あなたの過去を知ることがなければいいですけどね。」
秋澤は、黙って社長室を去った。
なに?秋澤の過去って?
玲子と本宮
玲子は、狩山とのなれそめを話す。結婚したのはね、ちょっとした冗談だったのよ、と笑い合う玲子と本宮。
一方、狩山と秋澤は今後の運びについて話し合っていた。
秋澤は、ある時、担当していた企業の案件で悩んでいたことがあった。
「企業を救えない案件だったので、経営者に『それなら首をくくりしかありませんね』と言ったら、本当に首をくくってしまったのです。それ以来、私は人の前で口を開けなくなってしまったんです。」
それを聞いて、狩山は答えた。
「ボクは、最初から信頼していましたよ。あなたは汗をかきながらも、言葉をひとつひとつ、大切に話してくれました。これからもよろしくお願いします。」
秋澤の汗の意味がわかりました
玲子、会社を辞めて、治療に専念する
玲子、最後の挨拶に病院に来た。みんな、最後のお別れで泣いていた。石原先生も、来た。「正直言うと、もっとあなたに怒られてもよかったかな?」
玲子はつづけた。
「病気になって、悪いことだけではなかった。それまでは患者さんに、健康が一番です、なんて言ってたけど。これからは私、患者として全力を尽くします。皆さん、私がいないからと言って、油断しないように。」
「ありがとうございました」と、病院のスタッフたち。
玲子は家に帰って荷物の整理をしようとして、ふと気づいて引き出しを開けた。
何を見つけたんだろう?大事な物かな…
反逆のとき
社長側の体制が悪くなってきたような…そんな気がする。
狩山の裁判、始まる
いよいよ、狩山の裁判が行われる。社長は傍聴しないようだ。
狩山は半田と一緒に登場した。林(上川隆也)も来た。玲子は?まだ来ていない。
弁護人、秋澤。
「被告人は逃走の事実は認めています。なぜ被告人は逃走を犯してまで逃げ続けたのか?それは、龍神大橋の事故の真相を発表するためです。」
「本件について、被告人は無罪と考えています。」
「崩落事故の原因は、被告人の設計ミスではなかった。被告人は、帝和建設のために、自ら責任を負ったのです。」
玲子と社長
社長は玲子に呼び出されていた。
「今日は、これを観ていただきたくて。狩山が書いた、龍神大橋のスケッチです。」
玲子はスケッチを社長に見せた。社長は黙ってそれを見た。
「それだけです。ありがとうございました。」
社長はスケッチを目の前にして、動くことができなかった。
裁判にて
秋澤は弁護を続ける。
「常務は、南雲を通じて若松さんにお金を渡しました。そして、龍神大橋の崩落を実行させたのです。この計画でいくと、橋が傾くはずだと、常務から指示されました。」
「当日、若松さんは事故の前に、全員を避難させた。そのとたん、ケーブルがパチンパチンと飛び始めた。橋の崩落は、若松が思っていたよりもずっと大きかったのです。その責任の大きさに、若松は崩落場所へ戻ったのかもしれません。」
「さらに、証拠があります。ケーブルの発注書です。コピーを保管しておきました。隠ぺいした事実を社長に確認したかったのですが、まだできておりません。」
狩山、証言する
「刑務所からの逃亡は、とても身勝手な行為で、皆さんにご迷惑をおかけしました。私は龍神大橋の事故について、ウソをつきました。それにより、真実の公表が遅れてしまいました。申し訳ありませんでした。
橋は、土地と土地を、人と人を、つなぐ構造物です。その橋を、人が渡れば街は生きます。経済が生まれ、文化が生まれます。目の前に川があれば、人が橋を作ればいいのです。
なぜ、かけるべき橋を落とさなければならなかったのか。なぜ、橋を渡るはずだった多くの人のつながりを絶つことになったのか。どうしても、知らなければならないと考えました。」
林と狩山
林は、狩山を刑務所から逃がした本人である。
「なぜ、君を逃がしたことを言わなかったのか。言えば、逃走の刑は軽くなったのに。」と、林。
「なぜ僕を逃がしてくれたんですか?」と狩山。
「金が欲しかったからだ。」
林は、それで得た金を、冤罪を背負わしてしまった相手に払ったのだった。
都知事と社長
社長「もし、私について何か不利な証拠が出てきたら、あなたのことも言いますからね。」
都知事「あら、何のことかしら?」
「先日あなたは、狩山のことを最高の人材だと言っていましたね。それについてずっと考えていました。
確かに、狩山が逃げたことで、帝和建設を外すことができた。新しい計画を再スタートすることができるんです。まあ、これ以上、言わないでおきましょう。」
都知事は黙っていた。
「そのかわり、未来の話をしませんか?」
判決
「主文。被告を、懲役1年とする。
業務上過失致死については、あらためて審理の必要があると考える。」
龍神大橋の事故について、あらためて調べることになったのだ。
狩山は深くお辞儀をした。秋澤は勝ったのだ。
社長、服役する
狩山は社長に面会した。社長は服役して、あと半年だ。狩山はすでに出所していた。
社長は、再審で龍神大橋の事故について証言したのだ。
狩山のたどりついた答えは、こうだった。
「社長が設計図の変更を命令したので、コストダウンした設計に変更しました。そのとき、坂東建設が資金難だったことを知った。そのために途中で工事が中断したとしたら、それは帝和建設の信頼にも、東京都の信頼にも関わる。それだけは絶対に避けたかった。」
「だが、崩落事故のせいで中断したとしたら、そのリスクはなくなる。中断している間、資金を調達すればよい。そのほうが、東京都にも都知事にも好都合です。」
「都知事から頼まれた?いや、工事の再開を条件に、あなたが罪を背負ったんです。」
碓氷峠に行く約束
「準備できてるでしょ、行くわよ!」と、玲子。
「どこへ?」
「碓氷峠の橋よ。」
「大丈夫?」
「大丈夫よ、こう見えても、治療がんばったんだから!」
「ついた。あー、やっぱりいいなあ。素晴らしい!」
「感動してるとこ悪いんだけど、何回見てもただの橋よね!」
二人で橋を渡った。
歩きながら、二人の家の設計図をあれこれしゃべりだした。
やっぱりね、小さな煙突がほしいな。前から欲しかったのよ。
うん、煙突もありかな。
狩山、玲子にあらためて向き合う。
「玲子、ごめん。心配かけて、遅くなって。」
「はいはい。」玲子は優しく微笑んだ。
振り返ると、玲子が消えていた。
玲子は、最初からいなかったのだ。
リクは、設計図を紙飛行機にして、飛ばした。
「リク、待っててあげられなくて、ごめんね。」から始まる手紙を、玲子は書いていた。「碓氷峠、代わりに行ってきて。またあの橋から、あなたはきっと出発できる。」
玲子がリクに書いた、最後のお別れの手紙だった。
狩山は、半田と橋の設計・建設に取り掛かっていた。
玲子さんには生きていてほしかった。ラストはそこだけが我慢できん!人が死ぬのは若松さんだけでたくさんだ。涙が出てくる…ガンの治療をしながら見ている人の気持ちも考えてほしかったです。いや、実際うちの家族がガンと闘っているので…
ビリーブ:感想 黒木に拍手
このドラマ全体を通して一番印象に残っているのは、やはり黒木扮する竹内涼真の演技だ。もともと二役で出ていたが、それにも驚いたことは確かだ。
双子の兄弟という役柄だったが、ほくろのあり無しで区別。最後には黒木のほくろをいつも確認するのが日課になってしまった。
これまで、竹内涼真の出演するドラマはたくさん見てきたが、「演技派」というくくりには入れていなかった。好青年を演じると天下一品だな、というふうに思っていた。
ところがこのビリーブというドラマ、まさに彼の独壇場だったのではないか。彼のさわやかな笑顔さえも時として恐怖だった。いったいこの男は何者なのか。敵か、味方か。最後まで分からなかったが、最終回で出てきた姿を見てホッとした。彼は正義だった。
笑い顔を不気味に感じるのは小日向さんも同じだが、若手俳優で小日向さんの後を追う俳優になれるのではないかと思う。
さわやかな笑顔の裏に何か不気味なものを感じる、そんな素晴らしい役者さんに、竹内涼真は育ったのだ。それが嬉しかった。役の幅が広がったのだ。またそんな竹内涼真を観たいものだ。彼の今後出るドラマはすべて観ることにする。