兵庫県知事選挙におけるPR会社の投稿が公職選挙法違反の疑いを引き起こしている問題について、斎藤元彦知事の代理人弁護士が説明を提供しました。
PR会社のブログは間違い?
西宮市のPR会社の代表がブログで「再選した斎藤知事の広報全般を任された」と述べた内容が問題視されている中、斎藤知事の代理人弁護士は「ブログには事実と異なる記載がある」と述べました。
県選挙管理委員会によると、選挙運動の主体的な立案や運用を行った業者に報酬を支払う場合、買収に当たる可能性があります。
斎藤知事の選挙を「仕事として請け負った」とブログ(note)で公表した、兵庫県のPR会社社長・折田 楓(おりたかえで)さんの文章を、斎藤知事側が全面的に否定した形になりました。
斎藤知事の代理人弁護士は、今月4日にPR会社に約70万円を支払ったと明らかにしました。この支払いの内訳は、公約スライド制作(30万円)、チラシのデザイン(15万円)、メインビジュアルの企画・制作(10万円)、ポスターデザイン制作(5万円)、選挙公報デザイン制作(5万円)の5項目です。契約は口頭で行われ、近く請求書などを公開する予定です。
テレビでは連日斎藤知事とPR会社「merchu(メルチュ)」社長の折田楓さんについて報道しています。出演するコメンテーターや識者、弁護士や選挙プランナーの方々もコメントしていますが、細かい部分やグレーの部分、あるいは全体的な意見が、それぞれ少しずつ違う部分も散見しています。
斎藤知事側は、「契約書は交わしておらず、口頭で契約した」「70万円支払い済みで、内訳は…」と言っています。ですが、現在活動されている複数の選挙プランナーの方々は、口をそろえて「今の時代、何があるか分からないので、必ず文書で取り交わす。契約書がなくて、口だけというのはあり得ない」と述べています。
また、選挙のポスターやポスターデザインの料金は、「公費負担」となります。選挙後に選挙管理委員会へポスター制作費を申し出ると返還があるので、口頭契約はあり得ない、というのが常識のようです。
PR会社の代表はブログで、「#さいとう元知事がんばれ」のハッシュタグを考案し、SNS戦略を提案したと記載しました。しかし、弁護士は「ハッシュタグの起源は不明であり、事実ではない。SNS戦略は提案を受けたが、斎藤知事や選対が主体的に決定し、代表や従業員は個人としてボランティアで参加した」と説明しています。
斎藤知事自身も26日に取材に応じ、「基本的には公選法違反に抵触することはないと思っている」と再び違法性を否定しました。
斎藤知事、PR会社の折田さんを切り捨てる?
おそらく、ほとんどの人が斎藤知事側の言い分を信じることはないでしょう。
PR会社に依頼したのも斎藤知事ご本人ですし、PR会社でプレゼンを真剣に聞いている様子も写真で公開されていますし、選挙カーに乗ってライブ配信をしている様子も確認されています。
斎藤知事も、折田さんも、公職選挙法のことは何ひとつ考えていなかったし、知識もなかったと考えられます。だからこその、大胆な行動、大胆なnoteでの選挙活動戦略公開に至ったのでしょう。
選挙活動を一手に引き受けてくれた折田さんを、「折田さんのブログ(note)に書いてあったことはすべてウソです」という趣旨の姿勢で臨む斉藤知事は、折田さんを完全に「切り捨てる」作戦に出ました。そうでなければ、斎藤知事は公職選挙法違反で捕まる可能性が高いからです。
もしも斎藤知事が本当に折田さんのブログを「ほとんど虚偽」とするならば、斎藤知事側は折田さんに対する訴訟をおこし、法的手段で訴えることになるでしょう。本当にそれが斎藤知事にできるでしょうか。
斎藤知事の言っていることが正しければ、斎藤知事は折田さんを訴えなければならないことになります。
折田さんの言っていることが正しければ、斎藤知事は公職選挙法に違反したことになります。つまり、犯罪です。
選挙活動はグレーな部分も多いのですが、今回は折田さんが大々的に「こんな選挙活動を会社として請け負いました」と世間に早々と公表してしまったので、非常に分かりやすい、単純な案件となりました。
もしも斎藤知事を任意であれ引っ張ることを考えているのであれば、(おそらくは考えているでしょう)、兵庫県警が動くか、大阪地検が動くか、はたまた東京地検が動くかでしょう。
いずれにせよ、相手は「知事」なので、裏付けをしっかりとってから動くことになりますので、時間がかかるかもしれません。
もしかすると、警察は折田さんの身柄の安全を保証できるホテルで、事情聴取を行っているかもしれませんし、そのような噂もありますが、あくまでも噂は噂なので、これからの報道を待ちたいと思います。