昭和23年(1948)10月。花岡さんが亡くなって、はや一年が経った。
新しい憲法にのっとって、日本に最高裁判所ができてから1年半が経とうとしていた。
新しい司法の場で
花岡さんが亡くなってから1年が経ったが、彼を忘れる者はだれ一人としていなかった。
さて、こちらの真ん中の人は、初代最高裁長官、星朋彦(平田満)です。左の桂場は人事課長、右の久藤は秘書課長という肩書に抜擢されました。
この人たちの中で、虎はどういう役割をまかされるのでしょうか。
なぜか滝に打たれている滝藤さんが突然登場!
久藤が「あの人なら、きっとやりとげてくれるでしょう。」と言った直後の場面。
誰かが滝に打たれている!かなり高い滝だ。
なにこの人?本当に滝に打たれている。滝藤さんだ!滝藤賢一だ。この形相、すさまじい。殺気すら感じる。
代役を使ってもよかろうに、ここまでするのが無名塾出身の神髄というものか。
日本の俳優養成所。主宰は俳優の仲代達矢。厳しく激しい稽古で知られる。おそらくは、芸のノウハウというものではなく、芸のマインドを叩き込まれたのだろう。無名塾出身の俳優はみな演技派ぞろい。何を演じても天下一品である。
無名塾出身の俳優:役所広司、若村麻由美、真木よう子(彼女は滝藤と同期)など多数。
このような滝に打たれているとは、彼の並々ならぬ決意を感じる。さて、彼の役どころはいかに?
家庭裁判所設立準備室に移動になった寅
「本日づけで、家庭裁判所設立準備室に移動してもらう」と桂場から申し渡された寅。
GHQから家庭裁判所を発足させるようにとのお達しがあったのだ。
「設立のあかつきには、今度こそ私を裁判官にしてくださいね!」寅は桂場に詰め寄る。
イエスともノーとも言えないような返事をする桂場。まんざらでもなさそうだ。
家庭裁判所設立準備室
いよいよ、寅の新しい職場が誕生する。家庭裁判所とは、寅にぴったりの新しい考え方の司法制度の場ではないだろうか。
なぜにスルメを焼いている?
初めて「家庭裁判所設立準備室」を訪れた寅は、そこで一人の男性がスルメを七輪で焼いているのを目撃する。
設立準備室のメンバー紹介
まずはスルメを焼いていた室長。この人がのちに「家庭裁判所の父」と呼ばれる多岐川幸四郎(滝藤賢一)である。
稲垣ゆうじ:大学で勉学を共にした仲
多岐川に振り回されっぱなしのこの男、汐見圭。室長補佐官です。
そして最後はこの男。やっぱり君か。失礼垂れ流し野郎”の小橋(名村辰)です。
2つの審判所の合併が論争を巻き起こす
「家事審判所」は家庭問題(民間のもめごと)を解決する場所。
「少年裁判所」は非行や、罪を犯してしまった少年たちが送られる審判所。
家庭裁判所は、上のふたつの組織を合併するところから始まるのだが、これが喧々囂々の大論争。
いつの世でも、ふたつの組織がひとつになるのを良く思わない人たちはいっぱいいる。というか、自分たちの組織はそのまま続行したいというのが人間の普遍的な心理である。
「ここは、みんなで手を取り合って!」
「君はGHQの回し者か!」
さて、この論争はどこで決着点を見出すのだろう。
2001年に行われた省庁再編
思えば、2001年に現代日本でも大規模な省庁再編が行われたのでした。
主な合併は以下のとおり。
総務庁・自治省・郵政省がひとつになった「総務省」
文部省・科学技術庁がひとつになった「文部科学省」
厚生省・労働省が合わさった「厚生労働省」
国土庁・運輸省・建設省・北海道開発庁が統合した「国土交通省」
農林省、林野庁、水産庁が統合されて「農林水産省」
自分たちの省庁がどこかの省庁と合併することは、それはそれは当人たちは嫌だったでしょうね。もとより縦割り社会の人たちですから、相容れない部分もあったはず。
今も昔も、合併は大変な問題ですね。
ところで、この省庁再編で、私たち国民に何か良い影響があったかと言えば、それはそうとも言えない。税金が安くなったわけでもなく、消費税に関してはさらにアップした。
寅たちの時代の家庭裁判所が設立されるときも大変だっただろうが、女性の草分けとしてがんばってくれた先達たちに敬意を表したい。