【地面師たち】解体費用の実際はどうなの?不動産売買で体験した本当の話

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Netflixで配信と同時に大きな話題を呼んだドラマ「地面師たち」。このドラマがこれほど世間から注目された理由として、ストーリーの面白さ、キャストの豪華さに加え、この話が「実話を基にしている」ことも大きい。

この記事では、ドラマに出てきた「解体費用」という言葉、そして私が実際に経験した真実をお話する。

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目次

そもそも「解体費用」とは?

一般の生活ではあまり耳にすることのない「解体費用」。耳にするどころか、一生で一度も「解体費用」に関わることがない人が多いのではないだろうか。

しかし、普段は自分とは全く関係のないこととしてスルーしていても、いつかは自分ごととして関わる事案になるかもしれない。

あなたが家を買いたいと思ったとする。マンションではなく、戸建てがいいなと思う。どうせなら、建売住宅ではなく、自分で好きなように建てたいと考え、「注文住宅」にしようと決断する。

注文住宅とは、土地の上に自分だけの家をオーダーで建てること。建売(たてうり)と違い、自分の思うような間取り、部屋の数、内装や外装、キッチンなど、ひとつひとつ住宅メーカー(あるいは工務店)と相談して決めていくこと。もちろん、自分の予算には限りがあるが、その範囲内でいろいろ考えるのはとても楽しいことだ。「新築」なので、お金はかかるが気持ちがよい。

さて、家を建てると決まったら、まずは土地探しだ。ネットで探したり、不動産業者に声をかけたりして土地を探す。

運よく土地が見つかったとする。だが、そこには家が建っている。すべての土地が更地で(さらち)で売られているわけではない。

かなり古い家で、住めないこともないが、あなたは当然「家を壊して」まっさらな土地にして、自分の家を建てるという決意は固い。

そこからは、不動産業者を介して、売り主と売買の交渉にあたる。

この場合、注意しなければいけないのは、決して売りてと買い手が直接交渉しないこと。しても法律に触れるわけではないが、素人同士なので後で面倒になる。どんな小さなことでも、プロである不動産屋に相談し、任せること。私はこれで痛い経験をしている。

さて、いろいろすったもんだの交渉が終わり、いよいよ契約の運びとなる(ここまでで双方、かなり疲れている)。今回は「土地」、つまり不動産の売買金額がメインだ。土地の代金が諸経費込みで5000万円だったとしよう。だが、上物(うわもの)の家屋を壊さなければならない。おまけに、木もいろいろ植えてあるし、庭石とか、物置とか、廃棄しなければならないものが結構あることに気づく。

その費用はどうする?これを「解体費用」と呼ぶ。解体費用はいくらかかるのか、ネットを調べると「解体費用 相場」で専門業者が出してくれるが、60坪程度の土地に、一般的な木造家屋(2階建て)が建っている場合だと、解体費用は200万ぐらいと見ればいいだろう。(今は人件費が上がっているので、もっと高いかもしれない)

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私が経験した「解体費用」の案件を話します

私は、幸か不幸か、嫁ぎ先が「地上げ」にあったせいで、結婚直後から嫌でも不動産に関わるようになった。当時、まだ26歳の何も分からない一般市民だ。

そんなことが理由で、これまで10回ほど不動産の売買を経験してきている。その中で、「解体費用」が関係したことは3回だ。

1回目:バブルのころに地上げにあった

主人のお爺さんが(すでに亡くなっていたが)、東京に小さなビルを持っていた。そのビルが地上げにあったので、売ることにした。何しろバブル期の地上げは「893」が絡んでいるので、売らなければ何をされるか分からなかった。(「893」は読み方から察してください。日本語で書くと怒られるので。分からなければネットでも調べられます。)

893は仲介するだけで、その後ろに大手デベロッパーがいることは間違いないが、私たちには知ることができなかった。なぜなら、大手デベロッパーに売る人間がいて、私たちはその個人(なぜか不動産会社の息子)と売買するからだ。このように、893が絡むと取引が複雑で、闇に包まれている。

さて、土地を買いたい人(実際は不動産会社と893が代理)と私と主人は、893の事務所で売買契約を交わした。後にも先にも、あんな事務所に行くのは最初で最後だろう(と思いたい)。

土地には、うちの建物が建っているわけだが、その取引では「有無を言わさず」解体費用はあっち持ちだった。

相手は、土地を動かすだけで、仲介手数料がバンバン入ってくる。デベロッパーにいくらで売るか知らないが、すごい金額が動いているはずだ。

解体費用は1000万ほどだと想像するが、そんな金額はなんともないだろう。それよりも、買ったらすぐさま古いビルを壊して更地にして、デベロッパーに売り渡さなければならない。(もちろん、更地にする費用を見込んでデベロッパーに金額を提示しているはずだ。)

何億というお金が動くので、小さなビルの解体費用なんて、どうってことないだろう。だから、「こちらが解体費用を持ちますから、すぐに売ってください!」と焦るわけだ。

地面師たちを見ていて、石洋ハウスの青柳が「土地は戦争なんだよ!」と怒鳴っていたが、本当に戦争だ。バブルのころは死人もゴロゴロ出ただろう。私の家族はおとなしく売ったので、皆無事でよかったと心から思う。

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2回目:自宅を新築したとき

私が嫁いだとき、主人は義母と住んでいて、私はそこに同居する形で住むことになった。だが、その家も狭くて古かったので(おまけに借家)、がんばって新しい家を建てよう、ということになった。

さんざん探して見つけた土地には、古い家屋が建っていた。立地条件は申し分なかったし、何よりも緑が多くて気に入った。(私は都会には一生住めないだろう、緑がないとどうしてもダメ)

売買交渉も大詰めに入り、いよいよ「解体費用」の場面に突入する。すると、あっさり、売り主側が「解体費用はうちが持ちます」と言い出した。

理由としては、相手もすでに別の土地を購入し、家を建てることを決めていたので、一日でも早くお金が欲しかったのだ。自分の土地が売れないと、新しい土地を買うお金も工面できない。だから、非常に焦っているように見えた。

つまり、「うちが解体費用を負担するので、ぜひ買ってください、お願いします」というのが、相手の本音だったのだ。

3回目:親が施設に入ったので実家を売ったとき

「親の介護」は、じわじわと来たり、突然来たりします。私の実家の場合は、突然でした。突然父が亡くなり、このまま一人暮らしをして最期を迎えるのだろうと思っていた元気な母が、ちょっとしたことで入院し、そのまま介護施設に入りました。

誰も住まなくなった実家を、弟と相談して売ることにしました。その売った費用を、母の介護費用に充てることにしたのです。いや、そうしないと、介護施設に払えません。

さて、売る相手は決まっていました。隣の家です。

昔から「隣の土地は借金してでも買え」と言われています。

隣の家は、工務店をやっていて羽振りはよかったようです。貯金はあったのでしょう。相手も昔からうちの土地が欲しいと内心思っていたと思います。

おまけに、隣の奥さんは良い人でした。我が家との関係も良好で、母も何かと面倒を見たり、相談に乗ったりしていました。(隣の家は金持ちでしたが、家族関係はあまりよくありませんでした。お金持ちってなかなか大変なんです、外からは分かりませんが。)

そんなこんなで、弟が「うちの土地を売ることになったんですよね」と、世間話のような感じで話ましたら、他の業者に売られたくない隣の奥さんは「ぜひうちに売ってください」とお願いに来ました。

今回も、「どうしても買いたい、他には売らないでくれ」という相手の焦りと、金銭的な余裕もあいまって、解体費用は向こう持ちとなりました。

200万くらいだったと思いますが、母は何も整理せずに施設に入ったままなので、家には生活用品がすべて残っていました。いまどきの解体業者は、中に入っているモノ、すべてまとめて解体するコースもあり、そちらもお願いしたので、200万よりは少し値が上がったかもしれません(最終的には弟に任せたので、請求書は見ていません)。

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解体費用はどっちが持つ?まとめ

私が経験したのは3回しかありませんが、売る側、買う側、どちらも「焦っている側」「早く決着をつけたい側」が負担しました。

一般家屋の場合、解体費用は200万前後で、決して安いとは言えません。「相手が負担してくれればいいな」と思うのは当然です。

結局は、お互いの「力関係」も作用してくるのかな、と思います。あとは、こっちの不動産屋とあっちの不動産屋の力関係もあるでしょう。(不動産業者が1つの場合もあります)

また、土地柄によっては、掘り返すと「遺跡」が出てきてしまう場合もあります。これは厄介です。遺跡のようなものが出てきたら、役所に届けなければなりません。そして、発掘費用は土地の持ち主が負担します。(まったくもって理不尽な話です)

私は現在、神奈川県の鎌倉市に住んでいますので、「掘ったら遺跡のようなものがでてきた」という話は山ほど聞きます。

うちも、前の人が住んでいた家を壊したわけですから、何か出てきたらどうしようとビクビクしていましたが、幸い何も出てきませんでした。

解体費用や発掘費用があっち持ちであったとしても、発掘により工期がめちゃくちゃ遅れますので、それはそれで大変なことになります。

だいぶ長くなってしまいましたが、とりあえず「解体費用」に関する記事はこれで終わります。時間があれば、地上げされた話を書きたいなと思っています。893が登場するので、かなり面白い話になります。また、当時の銀行がいかにメチャクチャだったかもお話できます。

今回の記事が、いつかあなたの役にたてれば幸いです。

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