とても悲しいニュースが飛び込んできました。
パリ・パラリンピックに出場予定の、アーチェリーの小野寺朝子さんのブログに、同じくアーチェリーの選手が中傷するようなコメントを書いたということです。
どういうことなのでしょうか。速報で深掘りしていきます。
小野寺選手のブログに中傷コメントが
アーチェリー日本代表の重定知佳選手から、ブログに匿名で「悪あがきもほどほどにしたほうがいい」などと投稿され、名誉を傷つけられたと同じ競技の小野寺朝子選手が裁判で訴えていました。
東京地方裁判所は、重定選手に120万円余りの賠償を命じました。
パラアーチェリーの小野寺朝子選手のブログに投稿された内容は次のようなものです。
判決によると、東京大会の代表選考が行われていた2021年1月、同じく代表を目指していた小野寺さんのブログに匿名で「代表入りも無理なの気づきませんか?悪あがきもほどほどにしたほうがいい」「ルール違反してない?」などと書き込まれました。
中傷コメントの詳細
【1つ目の投稿】 (午後0時56分)
いい加減もう東京パラも無理だし代表入りも無理なの気づきませんか?
悪あがきもほどほどにした方がいいですよ。
ちゃんとルールを守れないような人、代表になんかなれないです。
【2つ目の投稿】 (午後6時33分)
ルール違反してない?してるから言ってるんですけど。
車いすに乗って競技してはいけないのに車いすに乗ってますよ。何度も注意してるのにきかない。 代表選手になりたいならルールを守るのは最低限のマナーです。
あと、ちゃんと結果を残すことですね。
これら2つの投稿について、発信者情報開示請求の訴訟を起こしたところ、重定さんによるものと判明しました。その上で、損害賠償を求めたのが本件訴訟になります。
重定選手側の言い分
こちらが小野寺選手から訴えられた、重定選手です
重定選手側は、「代表選手としてふさわしくないという感想を述べたもので、公益性がある」などと反論していました。
判決で、東京地方裁判所の大久保鉱季裁判官は、「投稿は小野寺選手への攻撃が目的で、真実だとは言えない。名前を隠してブログに投稿していて卑劣だ」と指摘し、重定選手に120万円余りの賠償を命じました。
裁判官は「身に覚えのない投稿を立て続けにされた上、投稿者が自身のライバルであると知った精神的苦痛は相当だ」と述べました。
弁護士によりますと、重定選手は今回の判決を不服として控訴する意向です。
判決を受けて小野寺選手は
小野寺選手は、判決後の会見でこう述べています。
「開示されたとき、とても信じられない思いでした。判決が出て、いけないことはいけないと気づいてもらえればうれしい」
「代表の自覚があれば、このような書き込みはできない。パリ大会出場は残念に思う」と語りました。
パリパラ アーチェリーの日本代表選手は?
アーチェリー日本代表
・上山 友裕(男子/リカーブ/大阪府/リオ・東京)
・大江 佑弥(男子/コンパウンド/岡山県/初出場)
・重定 知佳(女子/リカーブ/福岡県/東京)
なんと!重定選手の名前がありますが、どうなっているんでしょうか?パリパラはすぐに始まります。
パリ2024パラリンピック競技大会は、2024年8月28日から9月8日までの12日間にわたり、世界で最も優れたパラリンピック選手4,400人が一堂に会して開催される。
残念ながら、小野寺選手の名前はありませんでした。
重定選手の画像はこちら
パラリンピックに水を差すような行為
パリオリンピックも終盤戦にかかり、毎日日本でも盛り上がりを見せています。オリンピックが終わると、次はパラリンピック。
昨今は、パラリンピックの選手もメディアに大きく取り上げられ、私たちもオリンピックと同じようにパラリンピックで応援します。
障害の差は多々あれど、皆さん大変な努力をされて、ここまで来られたわけです。苦労や悔しさを乗り越えてこられたからこそ、優しさや思いやりを人一倍お持ちのことだと思っています。
それなのに、同じ選手同士で、このようなことがあるのでしょうか。私もちょっと信じられない気持ちです。
障害があるにせよ、無いにせよ、人を中傷するコメントや投稿を匿名で行うのは卑怯だと考えます。
ですが、情報を開示請求することが昨今普通に行われ、匿名だから大丈夫だろう、バレないだろうという前提が無くなることは、良いことではないでしょうか。
匿名による中傷コメントは絶対にダメ!
今回の判決において、アスリートに対する匿名の誹謗中傷が問題となり、特に「関係者と思しき匿名の人物から、身に覚えのない投稿を立て続けにされたこと」が慰謝料額の算定に影響を与えました。仮に、重定さんが実名で投稿していた場合、以下のように判決の結果が異なった可能性があります。
賠償額の減額
:実名での投稿であれば、匿名性の影響がなくなるため、誹謗中傷の悪質性が軽減され、結果として慰謝料の額が減額される可能性がありました。
発信者情報開示請求訴訟の費用の削減
実名で投稿していた場合、発信者情報開示請求訴訟が不要となり、その費用が賠償額から除外されることになったでしょう。
したがって、実名での投稿であれば、賠償額が現状よりも低くなる可能性があったと言えます。
でも、実名で中傷コメントをする人は少ないでしょうね。
中傷コメントの被害者のSNS
この記事を受けて、SNSでは「自分も中傷コメントを受けて傷ついたことがある」という発言が多数存在することがわかりました。
一部紹介します。
私も誹謗中傷を受けて民事での裁判をしました。 裁判は一年以上、その前の誹謗中傷期間を含めると二年以上も精神的苦痛を味わいました。
弁護士費用は100万円近く、裁判で勝っても損害賠償金はわずか5万円。 誹謗中傷行為に対しては、もっと罪を重くし、損害賠償金を高くしないと、世の中から誹謗中傷行為は無くならないであろうなと思いました。
今回、誹謗中傷に対してこのような今までより厳しい判決が出る事は、とてもいい判例になると思います。
裁判て、めちゃくちゃお金と時間がかかりますよね。だから、馬鹿らしくなって裁判しない人も多い。小野寺選手の勇気ある行動に拍手を送りたいと思います。
『匿名で投稿されているため読者はその信用性を高く評価しない』 というのがこれが重定さんの言い分。
匿名なら信用性高くないから問題ない、なんて言い分が通るわけがないし、 匿名性の裏に隠れて陰湿にやりたい放題で、 この言い訳をしてるという事は何も反省していないんだと思う。
故に裁判官の厳しいコメントにもなったのだろう。 この重定という人がどんな人か知らないが、 スポーツもネットもやる資格ない。
もはや、「匿名だから分からないだろう」というのは過去の話になっていきますね。「言論の自由」とはき違えている人がいますが、何でも言っていいわけではありません。相手を傷つけたり、おとしめたりする言論は、ただの「暴力」にほかなりません。
ネットで発言するときは、よくよく考えて、言葉を選んで、この発言が世の中に出たらどう受け止められるだろうか、そんなことを考える必要があるんだな、と感じました。
追記:重定選手がパリパラリンピックの出場を辞退
重定選手は判決を不服として20日付で控訴していました。
パリ・パラリンピックの日本代表を23日に辞退したアーチェリー女子の重定知佳選手(41)が地裁判決への控訴を取り下げたことが23日、分かった。代理人弁護士が明らかにした。
産経新聞
JPCは「スポーツの高潔性を脅かす行為に関与してはならない」などとした国際総合大会への選手派遣規程に違反する可能性があると判断しました。
規程に基づき、重定に聞き取りを行うなどして、事実確認や処分の検討を進めていたところ、辞退の申し出があったということです。JPCによると、代表選手の入れ替えはないそうです。
ブログへ中傷などしなければ、オリンピックに出場できた人でした。才能もあり、資格もあるのに、なんともったいないことでしょう。自分の人生を自分でつぶしてしまうなんて。
とても後味の悪い終わり方になってしまいました。
でも、これを機に、新たなスタートを切ってはいかがでしょうか。人生、まだまだ捨てたものではありません。
両選手にエールを送りたいと思います。