NHK土曜ドラマ「3000万」は観始めたら止まらない面白さ。途中から観た人は「どこで最初から観られるの?」と必死になって再放送を探している。
祐子(安達祐実)はコールセンターで働いているが、隣に座っている同僚・舞が不思議な役。どうやらただの同僚ではない雰囲気。演じているのは工藤遥。
この記事では、同僚の舞について、そして演じている工藤遥について深掘りする。
不思議な同僚・舞
祐子は「ゆとりの生活」という生活雑貨全般を扱っている会社のコールセンターで働いている。お客様の質問や意見にお答えするのが仕事だが、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)も多く、ストレスの多い仕事だ。
会社名は「ゆとりの生活」だが、仕事にはまったく「ゆとり」が感じられない。上司も嫌みったらしい男で、嫌われ度マックスだ。
いつも祐子の隣で同じくお客様対応をしているのが、橋本舞。独身だが、不倫していた過去がある。いろいろ悩む祐子に、「ばれなきゃいいんですよ」とおかしなアドバイスをする。
舞といつも愚痴を言い合い、疲れている祐子に「こんな仕事早く辞めちゃえばいいんですよ、私もそのうち辞めます」と言う。
ここまではよくいるタイプのパートタイムの女性だろう。舞という女性は、正義という観念が無い。自分ば不倫していても、罪悪感はなかった。バレなければよいという考え。
計算で動くタイプで、あのタイプはすぐに寝返るのが特徴。表向きはニコニコしていても、裏で何を考えているのか分からないタイプである。心から話し合える親友はいないだろう。ある意味、寂しい女性と言うこともできる。だが、敵も作らないので誰とでも摩擦なくつきあえるのが長所でもある。
そんな舞が、とある事件の時に偶然?居合わせ、物語は思わぬ方向へ発展することになる。
ショッピングセンターの出会いは偶然か?それとも…
祐子はコールセンターを辞め、かけ子として働いていた。ある時、金を受け渡す日が分かり、奥島に匿名でタレこみをした。当初予定していたレストランではなく、ショッピングセンターでの受け渡しとなった。
あわてる義光と祐子だったが、ポッと現れたのが舞だった。祐子が会社を辞めて、初めて外で偶然会った舞は、祐子に会社の様子を話したりして引き止める。
その間、祐子も義光も大津と坂本の様子が気になって仕方がない。さらに、奥島と野崎も駆け付けた。舞は二人の様子を知ってか知らずか、一緒にスマホで写真を撮る。
あわててその場を去ろうとする祐子を、無理矢理引き止める舞。舞の様子は明らかに不自然だった。
もちろん、一番不自然なのは祐子と義光なのだが、彼らの「不自然さ」に独特の感性で気づいてしまった舞が、二人から何かを引き出そうとしていたのだろうか。
舞が一味の仲間だとは思えないし、ショッピングセンターで会ったのも偶然だろう。
だが、祐子から「さっきの写真は削除してくれ」と頼まれ、その場で削除したふりをしたが、本当は削除していないのではないかと思う。
そして、その時に3人で撮った写真が、後々に何かの証拠として提出されるのではないかと思われる。あるいは、写真で祐子をゆするかもしれない。
舞が何を考えているのか皆目見当がつかないが、自分の好奇心で動いているだろうことは、予想がつく。とにかくこの手の女性は、物事を深く考えているときもあり、考えていないときもあるので、心の中をのぞくのはやっかいだ。
舞を演じる工藤遥ってどんな人?
このように、何を考えているのか分からない、ちょっと不思議な女性が舞なのだが、そんな女性を演じるのは並大抵の演技力ではない。
舞を演じるのは工藤遥(くどうはるか)。
1999年生まれの25歳(2024年現在)。以前は「ハロプロ(ハロー!プロジェクト)」に所属し、元モーニング娘。として活躍していた。ハロプロでは2011年に10期としてオーディションに合格し、活動を始めた。
2017年にハロプロを卒業し、その後は女優として活躍している。
工藤遥は、モー娘。時代からミュージカルや舞台劇に参加していた。本格的に演技をやりたいと卒業して、オーディションを受け、特撮物(戦隊ヒロイン)の主演メンバー(男女7名)に入ったのが最初の女優としてのスタートとなった。
それ以来、数々のドラマに出演しているが、今回NHKの3000万に出たことは、彼女にとって大きいと思う。
NHKは演技力のない俳優(男性、女性どちらも)しか出さないし、今回のドラマ3000万は、初の「複数の脚本家で仕上げるドラマ」として力を入れている。
他の俳優陣を見ても、演技派・実力派として認められている人間ばかりだ。その中でも重要な人物・舞を演じる女優は、演技力がなければ務まらない。
ドラマ「3000万」は、青木崇高が脚本を読んで「永久に残るドラマ」と言うほどの力作だ。確かに、回を重ねるごとに「今期一番の面白いドラマ」としてネットを賑わせている。
また、工藤遥の顔は非常に整っており、クセがなく、個性がないように感じるが、これは女優として非常に重要なことである。どのような役もこなせる、変幻自在の顔だからだ。髪型や化粧でいかようにもなる顔は、ありそうでない。どんなドラマや映画でも、「使える女優」として引っ張りだこになるだろう。
まだ物語はあと2話残っているが、これから舞がどのような立ち振る舞いを見せてくれるか注目している。もちろん、舞を演じる工藤遥の今後の活躍も期待している。
工藤さん、まだまだ「敵だか味方だか最後まで分からない舞」を演じて、私たちを惑わせてほしい。